MAZDA ATENZA Sport & Sport Wagon 23S(4AT) 2002年7月

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ATENZA Sport 23S & Sport Wagon 23S

   分厚いドア…
5ドア・ハッチバックの“Sport”ですら全長4,670o,全幅は1,780oですから,Mクラスとしては結構大きな車です。室内幅はレガシィと較べて,さして驚くほどの広さではありませんが,ドアやサイドシルの厚みがすごい!セールス君は「ヨーロッパ基準なんです」と自慢していました。側面衝突に対応しての拡幅でしょう。5ナンバーに押さえたレガシィとは,安全性の基準が違うのか,技術が違うのか…。もっとも直接の先代にあたるカペラは5ナンバーだったものの,以前のクロノスなんかは3ナンバーでしたから,大きくなったといっても驚くには当たらないのかもしれません。

   パーテーションネットは◎
面白かったのはSport Wagonのパーテーションネットです。普段は荷室前端の車体側に固定されているのですが,荷室を拡大したときは倒した後席シートバック上端に取り付けて使うというもの。なかなかのアイデアですよね。分割可倒にも対応するし,ベルトで引っ張るタイプより着脱ははるかに楽そうだし。ネットが2分割のために,真ん中付近の後方視界が悪化しがちなレガシィ(BG/BH)よりいいかも知れません。トノカバーケースが一体だから,定位置から外した時の置き場所を考えなくてもいいのもメリットです(レガシィのトノカバー,出先で外した時にどこに置くか,いつも悩みます)。

シングルフォールドでも座面が沈み込むためにフラットになる,というのが“カラクリシート”の能書きですが,しっかりしたダブルホールドにはやっぱり適いませんね。完全にフラットにはならない上,シートクッションのせいでフワフワします。また,荷室拡大時にパーテーションネットを使用すると,荷室長は当然ダブルフォールド並にしか使えなくなります。

   良く回る2.3lエンジン
試乗車のグレードは“Sport”も“Sport Wagon”も一番高い23S。2.3lのL3型エンジンは割りと気持ちよく吹き上がります。土曜日なのに渋滞した国道中心の試乗だったため,4,000rpm程度までしか試せませんでしたが,中回転域までの感じは,いや,なかなかのものでした。クヴォ―――ンといった感じのエンジン音は,そんなに静かというレベルはないものの,決して耳ざわりではありません。“アルファみたいにスポーティな音”といったら誉めすぎでしょうか。でも,ALFA156V6を思い出したのは本当です。もっとも直列4気筒ですから,アクセルを踏む右足の裏にそれなりの振動が感じられます。しかし不快というほどではありませんでした。ただこの振動,“Sport Wagon”より“Sport”の方で顕著に感じられたのは何故でしょう?

   制動性能は?
交通量が多かったこともあり,ABSが作動するまでの緊急制動は試せませんでした。「踏み込んだところから,さらにコントロールが効く」とのセールストークでしたが,チャレンジできなくて残念! 少々強めに踏んだ分には,確実に車速を落としていくことを確認できた程度です。でも踏み具合と減速感に違和感は無く,まずは合格の部類でしょう。ブレーキといえばこの車,最近のニューモデルとしては珍しく,ブレーキアシストがDSC(ダイナミック・セーフティ・コントロール)とのセットオプションのみ。つまり標準装備になっていない!平気でABSを作動させる私には,無縁な話ですけれどね。

   旋回性と乗り心地と
タイヤは215/45R17のBS POTENZA-040。これって,280PSを誇るレガシィGT-B E-tuneUとおんなじスペック!178PSのNAにはオーバー・スペックじゃないかしらん…などと考えつつ,(セールス君が少々無口になるくらいの)ちょっと速めの速度でUターン。さすがに215の幅広タイヤは悲鳴もあげず,安定した姿勢で回りました。またカローラやアリオンで怖い思いをしたいつもの降りカーブも,ハンドルを切り込んだ瞬間に横Gの立ち上がりを感じ,適度なステアリング・インフォメーションを得たまま駆け下りることができました。カローラやアリオンの時より,いささか速い速度だったにも関らず…です。軽いレーンチェンジも試みましたが,少なめのロールで機敏に進路を変えたのが印象的でした。

でも乗り心地はあまり誉められたものではありません。ま,比較の対象がビルシュタインのダンパーを装備したスバル車のせいもあるのかもしれませんが,45タイヤの車としても,かなりゴツゴツと路面を拾います。純粋なスポーツカーならこれでも文句はいいませんが,長距離巡航を得意分野として欲しいミディアムクラスのワゴンとなると,ちょっとねぇ,と思ってしまいます。ただ,新しいPOTENZA-040の特性も絡むから一概にはいえないのかもしれません。車雑誌によると010より乗り心地が“格段に向上”したことになっている040ですが,6気筒のレガシィRS30に乗った時にも,けっして良いとは感じませんでした。このあたりは好みの問題にもなるだけに,何ともいえませんが…。(2002/07/24)