HYUNDAI COUPE 2.7 V6 (4AT) 2003年8月

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なかなか派手なデザインです!

  2.7リットル,199万円!!
なによりも2.7gのV6を積んだクーペが,199万円というバーゲンプライスで売られているということに驚愕。その他は,もうどうでも…では試乗記になりません。「COUPEの試乗車が出るのは珍しい」とのセールス君の言葉を聞きながら乗り込むと…比較的低く落としこまれたシートは座面が小ぶりで,ゆったりとは座れないものの(小柄な私にとっては)まずまず良好なホールド性です。そういえば最近の車って,小さめのシートが多くなりましたよねぇ。サーブ9-3もそうでしたし…。気になったのがサイドミラーによる視野の阻害。着座点が低いこととウエストラインが高いことがあいまって,まともに視界に入ってしまいます。Z33のフェアレディZもそうでしたが,コーナーの曲がり具合によっては「見えんぞ!」と不安を感じました。1330oというクーペとしては高めの全高と,小さめのサイドウインドウの組み合わせで,ウエストラインが高くなってしまったんでしょう,きっと。悪友は「側面衝突安全性確保のために,窓を小さくしたんじゃないか」なんていっています。

  コーナリングは合格
ステアリングはやや重め。スポーツカーらしく,しっかりした重厚な感触…ならいいのですが,中央付近の遊びは結構あり,おまけに切り始めは軽いのに,切り足すと重くなるという,やや“?”なパワステの設定です。変なフリクション感はないからまだいいのですが,試乗コースが長めだったにもかかわらず,この重さには最後まで慣れませんでした。でも足回りはなかなか快適。固めの設定で,舗装の継ぎ目などの大きな入力に対してはさすがに“ガツン”とくるものの,小さな凹凸はよく吸収していました。ン〜悪くない…215/45R17という,最近のスポーティーカーとしては標準的な寸法のタイヤを履いていましたから,その割には,まずまず健闘しているといえます。もっとも車重が1380sもありますから,乗り心地がこれくらい落ち着いていても当然ですか。コーナリングは,街乗り速度+α程度では気持ちのいいものでした。ステアリングをスッと速めに切りこんでも,横Gが滑らかに立ち上がり,少ないロールで安定して回頭します。レーンチェンジでも素直な動きをみせ,傑出したものではないながら,スポーティーな外観のクーペにふさわしい足といっていいでしょう。でも,もっと速度を上げたらどうなるんでしょう。馬脚を現すか,それとも…。その上「FF車だから,その程度の回頭性は当たり前」との厳しい声もありました。

  エンジンは滑らかだけど…
エンジンはさすがに2.7gという大排気量です。175PSに25smという,排気量を考えると控えめなスペックですが,軽くアクセルを踏んだだけでスゥーと滑らかに加速します。でもその加速ぶりは極めて乗用車的。エンジン音が静かめなこともあって(さすがはV6),スポーティーカーとしての感動はありません。グッと踏み込んでやっても,やっぱり淡々と速度を上げるだけという風でした。同じ現代(ヒュンダイ)でいえば,XGのような大型セダンには似つかわしい性格のエンジンかも…これでもXGの3.0gエンジンよりはこころもちハイチューンなんですね。ATのスポーツシフトの反応は特筆すべきことはなく,まぁこんなものか,という出来でした。シフトショックは可もなし,特別な不可もなしというレベルです。6MTを試してみたい…というほどのエンジンではないというのが正直なところでしょう。

このサイトでヒュンダイの車が登場するのは2回めになります。TBとこのCOUPEと…。いずれもエンジンはイマイチながら,車全体として見ると良い印象が残りました。最近の国産車,特にコンパクトカーで“???”な足回りの設定が見られることが多いだけに,“大韓民国製あなどりがたし”を強く感じます。このCOUPE,サイドウインドウのグラフィックなんかはちょっと前の国産車,例えばS15系シルビアや80系スープラまがいですし,ごきごきしたデザインのリアウィングなど“竹槍出っ歯”的品の無さ(前出の悪友による),内装も統一性が無くて各部がバラバラのイメージですが,どういう車を作ろうか,という方向性はちゃんとしているように思います。まぁ,COUPEはTBほど徹底はしていませんけれど。じゃあ今すぐTBやCOUPEを買うか,と尋ねられたら,“否”と答えるんでしょうが,こうした車造りへの姿勢を,日本のメーカーも見習って欲しいと願うしだいです。(もっとも,アテンザやBP型レガシイのドタドタした脚については,まだ熟成が進んでいないという事で,今の段階で比較するのは酷かもしれませんね)(Test:2003/08/15)