NISSAN FAIRLEDY Z Version S (6MT) 2002年9月

MENU


実際の試乗車は黒でした

Zって,やっぱりすごいですね。フェアレディを運転するのはひょっとして20年ぶり近いかも。その時はS30のZにスポーツ走行用のライトチューンを施したというとんでもない車を,なんと修理工場から代車で借りていたというケース… 今回はまともなディーラーの試乗車で,なんと試乗コースの中に某霊園の中のワインディングを取り入れてくれていました。いや,ほんと。こんなにぞくぞくする試乗って滅多にありません。

  回る回る…VQ35DE
3.5gのV6は大排気量エンジンとは思えない軽快な吹け上がり。トルクでドーンと持っていくというより,なめらかに回転を積み重ねるタイプ。もちろんトルクが細いという訳ではありません。いつ,いかなる時でも踏込みに応じて,という感じで加速します。1440kgの重量にに280psと37kgmですから当然なのですが,NAらしい回転の上昇感には,思わずニコニコしてしまいます。振動はV6としては十分に躾けられており,アイドリングでも回転を上げても,まず気にはなりません。でも,ボクスターの水平対向6気筒に較べるとちょっと負けるかもしれませんね。遮音がいいのか,音量もかなり高回転まで引っ張らない限り控えめ。回せばそれなりに…です。乗り心地も225&245幅の45タイヤを考えれば十分に満足のいくもの。ハーシュネスも目立たず,スバルのビルシュタイン装備車に迫る凹凸のいなしかたでした。

  ワインディングで
人気(ひとけ)のない夕刻の霊園,80km/h+αでのコーナリングを試してみました。左右左右と切り返すコースですが,ステアリングに正確に反応し,正確に向きを変えます。ロールも殆ど出ず,恐怖感なんて全くありません(自分のユーノスだと,ちょっと怖い)。1815mmも幅があり,前記のサイズのハイグリップタイヤを履いていれば当たり前,とは悪友の言ですが,インプレッサStiのようなセダンベースの高性能車と違い,全高(重心)の低さも効いているのでしょう。カーゴスペースに何か入っているのか,それが左右に吹っ飛ぶ音だけが響く,安定したコーナリング。もちろんスキール音の発生も無し。ここで245のタイヤを鳴かせようと思ったら,とんでもない速度域に持っていく必要がありそうです。それにしても,こうしたワインディングでは,NAってやっぱりいいなぁと再認識します。ターボ車だったら初めて乗った車でこんなことはできそうにありません(「せっかくここにお連れしても,こういう走りを試されないお客さんが多いんですよ」とはセールス氏の弁)。

  街中で
強めにブレーキを踏んだときでも,期待通り(時には期待以上)の減速をしますし,タイトな交差点での回頭もスムーズです。車両の四隅は全く見えないものの,操作に応じて機敏に動てくれるから,これなら街乗りに使ってもおおむね大丈夫でしょう。もっとも狭い路地などでは,絶対的な横幅は要注意になりますが。気になったのはクラッチ。踏込んだ一番奥からちょっと上げただけで唐突につながり,またドンっと一気に踏まないと切れないという設定です。慣れてしまえば,の範疇ですが,ユーノスとのあまりの違いにとまどい,久々にエンストを経験してしましました(^_^; もう一つ,シフトレバーのストロークが意外に大きいのもイマイチです。シフト方向もセレクト方向も結構ストロークがあり,ローへ入れつもりがサードだったなんてことも。入りきる瞬間のコクッとした感触はいいだけに,ちょっと断念です。(セレクト方向のバネが強すぎるのも原因のようです)

  brembo
試乗車はスポーティー志向の強いVersion S。標準のZにより大きなホイールとブレンボのブレーキを装備して+30万円。セールスさんによると,このブレンボが曲者だそうです。GT-Rの場合の話だそうですが,パッドを前輪だけ替えても10万円。仮にローターを交換すると,これまた1枚10万円。消耗品のプレーキにここまでお金がかかるというのも,高性能GTならでは? 肝心の効きは一般道路では国産品と差がないとのこと。ただしサーキットに持ち込むと,国産品が3周で音をあげる場合でも,ブレンボは平然と何周でも耐えるとか。あるセールスさんは「はっきりいってお薦めしません」といっていました。金色のキャリパーはそれなりにカッコいいんですが,コストパフォーマンスは極めて厳しいようです。(2002/09/15)

NISSAN FAIRLEDY Z Version T (6MT) 2002年10月

MENU


ハイライトを入れてみました(^o^)

  気になったノイズ
もう一回,Zに乗ってきました。近所のディーラーに試乗の希望を伝えて2ヶ月近く,ようやく試乗車が入ったとの連絡がきました。よほどタマ不足なんでしょうか。ディーラーによって,試乗車入手の差が大きいような気もしますが…。今度はノーマル,つまり国産のブレーキと本革シートを装備したVersion T。日曜日の昼過ぎ,かなり混んだ地方道での試乗です。流れに乗って普通に走った中で,一番気になったのは騒音。2回目の試乗とあって少々落ち着いて乗れたせいか,エンジン・ノイズがやけに耳につきました。4000rpmを越えるとかなりの音量になり,しかもよくいわれる“コォーンと抜けるような快音”には程遠い,“グォワァ〜”とくぐもったような音質です。大トルクのエンジンですから,一般路では回さなくても,つまり音量が大きくならない回転域でも走れてしまいますが,いったん回すとこの音はなぁ…。ライトウエイトスポーツなら少々の騒音は…と許容できるところもありますが,大排気量のGTがこれではねぇ。趣味性の高いクルマとしては少なからず興ざめです。

  曲がって止まって
さて,45タイヤを履いたVersion Sに対してこちらは50タイヤ。乗り心地はやっぱり50に軍配が上がります。もっともコーナリングを試せるようなコースでは無かったので,旋回性能については判断しかねます。やっぱりVersion Sの方がいいんでしょうか。乗り心地と性能のバーターなら納得がいきますよね。一方,ブレーキはちょっと強めに踏む程度でしたが,その限りではブレンボとの違いは分かりませんでした。やはり違いはサーキットで,なのでしょうか。ブレーキといえば,気になったのがペダル配置。ヒール&トゥが本当にやりにくい!(自分が下手なだけ?) 前回,今回の試乗とも,納得のいく操作ができず終いでした。中年のセールスさんにそのことを言ったら,「買ってからやってください」だって。クラッチやミッションを痛めないように気を使っているのにねぇ。ひょっとしたら,ヒール&トゥ+ダブルクラッチの意味が分かっていないんじゃぁ…?

  視界,車庫入れ
視界では,後ろは本当に見えません。スタイルからも斜め後方視界が利かないことは想像できましたが,リヤストラットメンバーのせいか,真後ろの視界も非常に限られています。また,サイドミラーがちょうど視線の高さにあり,交差点で右前方の視界が損なわれるのは大きなマイナスです。もっとも,座高が高い人ならミラー越しに見るから問題は無いのかも…。ハイトコントロールはついていないですね,確か。車庫入れも試してみましたが,これが結構大変。最小旋回半径は5.4mですから,そんなに大きくはないのですが,1815mmの全幅と四隅が全く見えないデザインのためか,直角バックで真っ直ぐに入れるのに苦労しました。AE86も鼻面が見えない車でしたが,比較になりません。でかいだけに,他の車にぶつけるんじゃぁないかと,心配で心配で(^_^;

数少なくなったFRのスポーツカーとしての期待が大きかった車だけに,かなり重箱の隅突付き的辛口コメントになりました。でも,高い可能性を持った車であることは確かなような…少しずつ改良して,息の長いモデルとして完成度を高めていってもらいたいものです(←ちょっとお世辞)。ユーノスの後継になりうるかどうかは別にしても,ね。