日進市北新田の道標仏 (日進市北新町南鶯MENU

  

県道233号岩作諸輪線の「北新田」の交差点はY字をした三叉路。ここから県道233岩作諸輪線にそって北東に進むと長久手町前熊を通って菱野を抜け,瀬戸の市街地に到ります。また北西の道を選ぶと,古戦場南の交差点をへて長久手町役場のある岩作(やざこ)へ到ります。その交差点にほぼ南を向いて建っているのが木造トタン葺きの祠です。中には聖観音菩薩と思われる石仏がありました。

右手は施無畏印(せむいいん),左手は予願印でしょうか。髪は五山髻に結い,宝冠をつけているように見えます。こうした石仏にはめずらしく,天衣(てんね)が優雅にひるがえっています。顔立ちはあまりはっきりしませんが,穏やかな表情のように思えます。細かな部分までていねいに彫りこまれた石仏です。舟形の光背には,次の文字が刻まれています。上の写真でもわかるように,黒い顔料が入れてあるため,容易に読めます。

右 やくさ せと   左 やざこ 水の

右へ進めば八草(豊田市)と瀬戸へ,左へ進めば岩作と水野(瀬戸市)へ。これは現在の道路とも一致します(ガイドマップを参照してください)。「やくさ」の「や」はに変体仮名が使われていますから,おそらく江戸時代末ごろの建立かと思われます(コンクリート土台の祠は,もちろん最近の建て替えですね)。ともあれ,尊像道標の見本のような石仏でした。

   言い訳の記
以前から路傍の祠に気づいていたのですが,なかなか確認する機会がなく,そのままになっていました。今回デジカメを持って雨のそぼ降る中を行って来ましたが,残念なことに,特に尾張旭市に縁があるというものではありませんでした。岩作から水野へ至るには,当然稲葉や新居を通りますから,全く無関係というほどではないのですが…しかし,最近はネタ切れで更新をサボっているため,ないよりましということで記載しておきます。

2001年4月29日に現地を訪れたところ,祠ごとなくなっていました。近くの道路で工事が進行中ですが,そうした関係でどこかへ一時的に避難しているだけならいいのですが…。ちょっと心配ですね。