TOYOTA CROWN 2.5 ROYAL SALOON (4AT) 1999年10月

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   初めて運転「いつかはクラウン」
小学校の低学年のとき,父親の会社の支社長用の社用車に乗せてもらったことがあります。それが観音開きの初代クラウンでした。トヨタの総生産1億台記念車の「オリジン」の,文字通りオリジナルですね。以来,クラウンに乗った経験がほとんどありません。まぁ,タクシーは別として。「いつかはクラウン」という,CM史上に残る傑作コピーがありましたが,自分としては別に乗りたいとも欲しいとも思わない,縁のない車でした(こちらに円がないせいもあったりして…完全にオヤジギャグですね)。

輸入車&高級車がけっこう好きな悪友に,発表展示会の案内状が送られてきたというので,彼に付き合ってディーラーに出向きました。中年のおっさんが二人,ユーノス・ロードスターなんぞで訪れるから,これはそうとうの車馬鹿と思われたのでしょう。えらく丁寧な接客を受けてしまいました。そうこうしているうちに「試乗車がありますよ」と水を向けられ,「じゃ,せっかくだから」と試乗することになりました。クラウン,初めて運転するんですね,これが。

   本当に「クルマ」だろうか?
思ったよりも高めのドライビングポジション。シートは予想通りふかふかではあるものの,サポートは意外にしっかりしていて,きちんと座れます。ふぅ〜んと思いながら発進。いや,ほんとうにしずしずという感じで動き出しました。自分のレガシィBG9より120kg重いだけなのに,なんだかやたらと重厚な感じです。またBG9と同じ2.5gから,+25PS/2.5kgmの200PSと26kgmを発生するエンジンは,踏めば豊かなトルクを湧き出させ,ほぉと思わせる加速を示します。アクセルの踏み込み量と加速との繋がりがリニアさに欠け,少なからず違和感がありますが,そんなことは,もうどうでもいい世界へ突入です。

60km/hほどで巡航していると,エンジン音はどこか遠くのかすかな呟き声。ハンドルは極端に軽く,パーキングスピードから60〜70km/hまで,小指一本引っかけていればこと足ります。で,そのハンドル。切ればあたりまえ向きを変えるのですが,まったく操舵力,保舵力がいらず,キックバックなんぞも感じないため,完全にインフォメーション不足。はっきりいえば,本物の「クルマ」を運転している感覚がほとんどなく,まるでテレビゲームのようです(テレビといえば,NAVIの画面がやたらと大きいのが印象的でした)。

乗り心地にも同様に驚嘆。NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)というものは,ここまで見事に遮断できるものなのか…。50〜60km/hでロードノイズはわずかに聞こえるものの,それは気にすればと聞こえるなあという程度で,簡単に意識の外に追いやれるくらいのレベル。とにもかくにも,ゆったりふんわりに終始し,非現実的な感覚に付きまとわれました。

   無音の世界
結局,急加速や急減速,すばやいレーンチェンジやコナーへの突込みなどという,いつもの試乗で試すようなチェックをする気にもなりませんでした。しずしずと(笑)試乗を終え,最後にディーラーの敷地内を20km/h程度でゆっくり移動させたのですが,エンジンノイズ,ロードノイズ共にまったく聞こえず,路面からの入力もぜんぜん感じませんでした。かつてロールスロイスの宣伝コピーに「聞こえるのは時計の音だけ」というのがあったそうですが,クラウンはそれさえも聞こえません(時計はデジタルだから当然ですね)。

善くも悪くも,これがトヨタの目指すクラウンの世界なんでしょうね…。やっぱり欲しくないなァ。