TOYOTA CELICA SSU (4AT) 1999年9月
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試乗車の数が少ない!
早速,発表されたばかりの7代目セリカに乗ってきました。去年の秋に発表されたアルテッツァのときと違って,今回は試乗車の置かれた拠点が非常に限られているようです。某カローラ系ディーラーの場合,数拠点に1台配置され,月に数日の割で回すのだそうです。ちょっとみみっちい話ですね。ネッツ店とカローラ店の姿勢の違いなのか,それともトヨタの方針なのでしょうか。ということで,わざわざ春日井まで試乗に行ってきました。写真よりスタイリッシュ!
モーターショーの参考出品車やプロトタイプの写真は,まるでペーパークラフトのようなぎこちない線と面に見えましたが,実物はけっこうスタイリッシュで塊(かたまり)感もあり,なかなかいい感じでした。特にリアフェンダーあたりの面の張りは,国産車離れしています。最近のトヨタ車では,ヴィッツも写真より実車のほうがよかったですね。CALTYのデザインだそうですが,5代目のラグビーボールといい,トヨタはセリカではデザインで冒険するのを厭わないのでしょうか。着座感などなど
ヘッドレスト一体のバケットシートは見た目のデザインはGT‐Rかインプレッサかというおどろおどろしさ(ちょっとオーバーかな?)なのですが,座ってみるとホールドはさほどでもありません。当然,乗り降りに不自由はしません。着座姿勢は自然で,楽といえば楽です。エアコンの吹き出し口などはちょっとレトロっぽい凝った造形ですが,全体の印象はやっぱりトヨタ車。非常に無難ではありますが,スポーティーカーとして吹っ切れていない感じです。もともと乗用車ベースのスポーツスペシャリティーとして誕生したのがセリカですから,血は争えないのかもしれませんね。メーター類はアルテッツァと異なり,ごく普通の速度+回転+コンビネーションの組み合わせ。見やすさでは問題はありませんが,回転計が速度計より小さいのはちょっと興ざめ。RX-7のような巨大なタコまでいかなくても,せめて速度計と同径の回転計が欲しいですね。
勇ましすぎるエンジン音は…?
試乗車はステアリングシフトの4速AT車でした。リッター当たり105馬力という新設計の2ZZエンジンを,6速MTで試してみたかっただけに,少なからず残念。こうした車でも,ATの需要の方が多いのでしょうか。アクセルを軽く踏んでスタート…のつもりが,予想外にドンと前に出ます。ちょうどひと頃のホンダ車のよう。ちょっと子供だましの設定です。エンジン音はけっこう勇ましく,6000rpmもで回すとかなりの音量です。いや,そこまで回さずとも,ヴォーッというややくぐもった音が耳につきます。1.8gという比較的小さなスポーツユニットに期待される,抜けるような音には程遠いようです。また,トヨタのHPに記載された主査の談話では,スポーツカーではなくGTだということですが,長距離を巡航するのにこの音はいただけません。(もっともトヨタはスポーティーなモデル〜DOHCとかターボとか〜には,どんな小排気量でもGTと名づけていた時期がありました。トヨタにおけるGTの定義って,何なんでしょう)吹きあがりはスムーズ,シフトはいま一つ
加速感は6.1kg/PSの馬力過重のデータから想像されるほど感動的ではありません。もちろん速いには速いのですが,試乗車がATのせいもあってか,実感がともなわないうちになんとなく100km/hの大台に乗ってしまう感じです。いわば分かりにくい速さ。でもさすがは新設計のエンジン,アルテッツァの3S‐Gのような段付感もなく,スムーズに吹けていました。休日の夕方だというのに交通量が異様に多く,べた踏みをする機会はほとんどありませんでした。Dレンジとマニュアルモードと,両方とも試してみましたが,特にマニュアル時のシフトショックが気になりました。タイムラグは感じませんでしたが,シフトアップでゴツンとくるのは興ざめです。レガシィB4 のスムーズさが印象的だっただけに,トヨタの負け!といったところです。ステアリングのスイッチの操作性も今一つで,さらにB4のようにセレクターではシフトできないため,大舵角の時は困りそうです(それとも,大舵角では変速をするな,ということでしょうか…?)。
轍(わだち)に弱い?
前述のように交通量が多かったため,コーナリングはまったく試せませんでした。交差点を流れに乗って曲がる程度では,スポーティーカーのハンドリングにコメントの付けようがありません。でも気になったのがレーンチェンジでの挙動。加減速しながら速めのレーンチェンジをすると,轍に足を取られるような妙なキックバックと挙動=姿勢の乱れを感じました。タイヤが205/55R15で,ホイールベースが2600mmありますから,そんなに外乱に弱いわけはないと思うのですが…やや疑問符がつきました。トヨタのことですから,きっと半年もたつ頃にはこうした点がきれいに解消していことでしょう。ホンダのインテグラも近いうちにモデルチェンジをするようです。SSUのスーパーストラット仕様とTypeRの限界での比較が車雑誌をにぎわすのを,楽しみに待つことにしましょう。