寶泉寺 (瀬戸市寺本町) 瀬戸MENU

門前:舟形高60cm 三面八臂 坐像 持物(輪宝・水瓶・数珠・独鈷杵・鉞斧)
境内:船形高48cm 三面六臂 坐像 持物(輪宝・宝剣・鉞斧・独鈷杵)

 
【左】「馬車組合」の馬頭観音  【右】山門前の立派な祠

   山門の外の立派な祠
瀬戸川に沿った瀬戸の町並みの東の端,国道248号線が大きく北に曲がる突き当たりの丘の上に,新しい多宝塔が見えます。これが寶泉寺です。坂道を登って行くと白壁の立派な山門が見えてきました。その山門に向かって左手前に,民家と石碑の間に挿まれて,しっかりした造りの大き目の祠があります。この中に馬頭観音が納まっていました。

光背の高さは60cmあり,尾張旭・瀬戸・長久手の馬頭観音の中では比較的大きめの石仏です。やや面長でしもぶくれ気味の顔立ちは,実物より写真の方がハンサムに見えますね(笑)。三面六臂の姿ですが,両側の2つの顔もはっきりと彫られているのが印象的です。冠は朱に彩色され,馬の顔と首が具象的に浮き出ています。顔は黒く磨かれたような仕上げです。

    「馬車組合」建立
台座の石の正面には「瀬戸 馬車組合」,向かって右側の側面には「明治四十四年九月」と刻まれています。この地域で,馬稼ぎがもっとも盛んになろうとした時代の建立です。尾張旭の三郷交差点の馬頭観音には「馬車連中」と刻まれています。尾張旭より瀬戸の方が馬車運送業者の組織がきちんとでき上がっていたたということなのでしょうか?

    もう一つの馬頭観音
山門を入って左手に折れて進むと(ガイドマップ参照),大小の石仏が土塀に沿ってL字型にずらりと並んでいます。各地の路傍などにあったものを,一ヶ所に集めて祭ったものなのでしょう。多くは地蔵菩薩像のようですが,聖観音や如意輪観音も見られます。頭部など一部分が欠損したもの,風雨による磨耗が激しく,確かな形が分かりにくいものが少なくないのですが,1体だけ,馬頭観音らしい三面六の石仏を見つけることができました。

舟形の高さが48cm。もともとの彫りが浅い上にかなり磨り減っていて,表情は今一つはっきりとはしませんが,かなり穏やかな顔立ちのようです。冠にはやや抽象化された馬の顔が見えます。全体としては嫌味のない,バランスのよい石仏ということができるでしょうか。おそらく上の馬頭観音より古いものでしょう。もしかしたら,江戸時代にまでさかのぼるかもしれません。

    境内には道祖神が
本堂前の境内には,道祖神などいくつかの石仏が置かれています。野ざらしにもかかわらず,どれも摩滅が見られず,新らしそうです。そのうちの双体道祖神を撮影してきましたので掲載します。

  
【左】境内の馬頭観音  【右】本堂前の双体道祖神