「Funny World じょたの冒険」
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プロローグ「マルク」
 うっすらと紫色にかすんだ遠くの山々の裾野まで、人の背丈ぐらいの細長い植物が、見渡す限り広がっていた。風が吹くたびに流線形をした植物が葉をひるがえして、大地に 規則的な縞模様を織り成していた。その幾何学的とも思える縞模様を分断して、2本のレールがまっすぐに伸びていた。風の音に混じって機関車の蒸気音が響いてくると、霧に かすむレールの先から、もくもくと煙を吐き出しながら機関車が近づいてきた。
 さほど混んでいない列車内に、4人掛けの向かい合わせの座席に腰掛けて、窓の外に続く緑の絨毯をぼんやりと眺めている少年がいた。年の頃は12、3歳くらい、左胸に青 い鳥の刺繍の入った黄色い半そでシャツを着て、薄緑の半ズボンを履いている。髪はブロンドで、瞳の色はコバルトブルー。ほっそりとした体型、色白できめ細やかなほっぺた と整った目鼻立ちの美少年である。彼の名はマルク。彼は、ノインツェンの寄宿学校から特殊な病気の治療を受けるために、シュティル地方の有名なミスティックの先生に会い に行くところであった。
 マルクは、これから会わなければならないミスティックの事を考えると、不安な気持ちが胸の中に広がってきた。魔道の力を信用しないわけではないが、どうも彼らの行動に は理解しがたいものがあったし、聞いたことも無い神様を崇拝している者もいるという。小学校の魔道の授業で、魔道の基礎理論や初歩の魔道を習ったものの、やぎの心臓やか えるの目玉、鯨の背油のごった煮で魔道の感覚が研ぎ澄まされるとは到底信じられない。魔法陣の中から現れる神様というのも、彼の目から見れば動物園の猛獣のように見えた し、事実猛獣が召喚されている事もあるわけで、あまりありがたいものには見えないのであった。そういえば、向かいに座ってよだれを垂らして眠っているおばはん、この間見 た魔道の本に似たようなのが載っていたぞ。あれは、確か・・・。不意に背後の扉が開いたとき、どきりとして彼はひざの上に載せた小さなかばんを確認すると、目覚めたおば はんに軽く会釈をした。乗車券を拝見いたします。検札に来た車掌に細長い切符を見せると思い出した。ムーンフェイスだ。ぷっくりと膨らんだ顔面から目玉がぎょろりとむき 出して、団子のような鼻が飛び出ている。確か鼻が弱点なんだよ。ムーンフェイスが彼を見てにこりと微笑み、どこまで行くのかと訪ねた。シュティル・シュバイゲンまで、ミ スティックのスタイン先生にお会いするのです。あ、余計なこと言ったかな?彼は先生の名前を出したことをちょっと悔やんだ。スタイン先生は確かに有名な大魔道師には違い ないし、王立魔道院にも彼の門下からたくさんの優秀な人材が選出されていた。ただ、時としてわけのわからない講義をすることがあるのである。この世界が、物質界マテリア ルプレーンと精霊界アストラルプレーンで構成されていることは、彼にも理解できる。先生の理論によると、幾つかの宇宙の揺らぎがこのプレーンを通過する際に、世界の虚像 が発生するというものであった。分かりやすく言うならば、ぴんと張り詰めたギターの弦を指でそっと弾いたときに生じる弦の揺れのようなものだという。揺れは最大値からだ んだんと小さくなり、無限の線の集合体がまた1本に戻る。弦は1本しか存在しないが見かけ上は無数に存在するのである。ほう、そうですか?だから?と返答したミスティッ クがいたそうである。たくさん存在するように見えても、実体は一つしかないではありませんか。だいたい虚像の世界が幾つあろうと、我々のマテリアルプレーンに影響を与え ることなど、あるはずがないではないですか。その質問に対してはこうである。確かに大元の実体は一つかもしれない。しかし、弦の振幅の最大と最小では弦の持つ性質そのも のは変化している。弦の長さが異なるようにだ。従って、弦の揺れが無限に見えるように、性質の異なる世界が無限に発生するのだという。また、他のプレーンへの干渉につい ては、召喚系魔道力学によれば理論的には可能であるとの事だった。この理論を発表してからというもの、スタイン先生どうも学会から煙たがられがちであった。
 大草原が川の流れで途切れると、ようやく人家が見えてきた。踏切を通過するたびに、警報機が音痴になるのが面白かった。線路際には、そこかしこに魔道の大きな看板が並 んでいて、きれいなお嬢さん達が宣伝文句をしゃべりながら踊っていた。お土産には沈黙香を!すかっと爽やか沈黙香!これらは、人が近づくと反応するタイプの看板で、ゴー レムやガーゴイルと同じ付与系魔道理論で動いているはずである。物体の密度と魔道の収束率は正比例するが、体積の大きさと魔道密度は反比例する。ただし、体積が大きいほ どより多くの魔道を注ぎ込むことができる。従って物質の粒子が細密格子を組んで結合した宝石などはよい魔道の媒体となり、大粒のものともなれば高値で取引されるのもうな ずける。
 駅舎の時計がお昼の鐘を鳴らす頃、マルクは石畳の広場に降り立った。白いローブを着た学生達が、駅前の噴水広場に集まって話をしていた。駅の正面には、けやきの並木道 がなだらかに山の上へと続いていて、小さな商店が幾つも軒を並べていた。殆どはマジックアイテムや薬を取り扱う店で、喫茶店や飲食店が、駅前に2,3軒と、アイテムショ ップに混じって、独特の看板がぶら下がった下宿が何件かあった。めざすスタイン先生の研究室は、この坂を1kmくらい登った先、魔道の学園にある。学園は、山頂で見つか った古代遺跡をそのまま利用して運営されていた。バラの花で飾られた正面玄関からまっすぐ進むと、400mくらいで掲示板の広場があり、そこから放射状に8方位に道が分 かれている。今入ってきた正面玄関は南口に当たり、東西南北に門が存在する。道の両側には、石造りの建物が規則的に建てられており、門と広場の中間地点には尖塔が建って いた。この塔は、昔頂上で明かりを灯してお互いに連絡を取り合っていた連絡塔らしいが、今では大先生たちの研究室となっていた。スタイン先生の研究室は、北の尖塔であっ た。
 マルクがこのツタで覆われたかび臭い尖塔へ、スタイン先生を訪れたのにはわけがあった。彼は小さな頃から不思議な頭痛に悩まされていたのだ。視界の中に光る弓か三日月 のようなものが現れ、それがうねうねと揺れながらだんだん大きくなる。弓矢の弦を指で弾いた波のような映像か、三日月の先端から稲妻が走るかのような映像が現れ始めると 、耳鳴りが始まり、頭がぎりぎりと痛くなるのである。発作は周期的に訪れ、毎月の恒例行事となっていた。痛み止めの薬を地元の病院でもらっていたが、その成分について知 る機会を得たときから薬に頼るのはやめにした。なぜなら薬はあまり効果が無かったし、頭痛の後に強烈な吐き気が襲ってくるのは、薬の中に入っている成分のせいに思えてな らなかったから。町医者へ1年ほど通って、見切りをつけたかつけられたのか、魔道のヒーラーに医者がバトンタッチすると、そのヒーラーのつてで、かの有名な大先生にお話 が伝わったというわけである。症状が始まる前駆症状の映像が、大先生の興味をひいたらしい。町医者は、これは医学的な問題というよりも、君の魔道に対する感受性が普通の 人と少し異なることによるのだと言っていた。恐らくは月の満ち欠けの周期とイソギンチャクの繁殖行動か、紫アメフラシの大陸棚大移動と銀色スズメバチの採餌行動に関係が あるとか無いとか、要するに良く分からないらしい。
 窓の無い薄暗い室内に、ぼこぼこと何かが沸騰する音や、じりじりと電気がショートしているような音がする。天井からぶら下げられたランプの下で、背の高い男と丸っこい 男の影が、ランプの動きに合わせてゆらりゆらりと動いていた。部屋の中央のテーブル上には、ガラス管が曲がりくねり、からまってできたと思われるオブジェに、モニタや計 器につながったビニールのコードが何本か接続されていた。その装置の隣には、色とりどりの液体が入ったフラスコが1ダースほども並べられ、そのうちの一つはアルコールラ ンプで加熱されていた。バイエル君、3番のバルブを開けてくれたまえ。樽のような男が言うと、背高君は沸騰しているフラスコに接続されたバルブを、ぐるりと左に回転させ た。逃げ道を得たフラスコ内の緑色の液体は、緑の蒸気に変化してガラス管の中をしゅるしゅるぐるぐると移動した。途中、百近くあると思われる電極からの放電を受け、水槽 の中の透明な液体を通過して冷却されると、少しずつ青く変色してきた。そして、ガラス管終点の大きなフラスコに液体が溜まると、あたかも命あるものが、自分の意志で行動 するかのごとく、水面に波紋が広がり始めた。樽男は腕組みして、鋭い視線をフラスコ内の波紋に向けていた。背が高くひょろ長い助手らしき白いローブの男は、ふたを被せて アルコールランプの火を消すと、目玉だけを左右にきょろきょろと動かし、体をふらふらと揺らしながら揉み手をしたり、手をこすり合わせたり所在無さげであった。フラスコ 内部の水面の波紋はどんどん大きくなり、やがて中央にひときわ高く水が立ち上がるとそのまま固まり、揺れがおさまった。うーむ、すばらしい。樽男が、ため息をついた後そ う言うと、ひょろ長はひょろ長い両腕を樽男の方に伸ばし、どもりながら、せ、せせ、せんせい。お、おぉ、おめでとう、ございます、と言った。見たまえバイエル君、この水 面形状が我々の存在するマテリアルプレーンの性質を表しているのだ。波の高さと間隔、そして単位幅あたりの波の数がこの世界の特性値といってよい。蒸留と電極によって活 性磁気化されたアメーバクリスタルが、結晶化する際に時空振動を内部に閉じ込めているのだ。は、はは、はい。ひょろ長は、ぱちくりぱちくりと目をしばたかせると、口元を ゆがめぎこちなく笑った。私はこれから人に会わなければならない、データの集計は頼んだぞ。は、はは、はい。樽男は扉に向かって歩きながらひょろ長に指示を与えた。間隔 は必ず山と山の頂上を結んだ距離について、フォノンメーターを用いて計測するように。水深と波高の比率も調べること。写真も撮っておくように。それからスケールの変換係 数には充分気をつけること。樽男が扉を開けて実験室内を振り返ると、ひょろ長がひょろ長い腕を振り上げながら、ふらふらとした足取りで棚の方へ歩いていくところであった 。その姿に一抹の不安を感じながらも扉を閉めると、塔の外壁内部に沿った螺旋階段を登ってマルクの待つ応接室へと向かった。かつこつという足音の聞こえる実験室内で、ひ ょろ長がまだひょろ長い腕を振り上げてふらふらと踊っていた。
 マルクは、スタイン先生の研究室の女学生に応接室へ案内されると、木製の椅子に腰掛けて珍しいオブジェや壁にかけられた絵画、棚の中に詰まった分厚い書物群などを眺め ていた。室内は乱雑に散らかっており、普通ならばとても応接室とは呼べない場所であろう。目の前の小さなテーブル上の食べかけサンドイッチには、レーズンが載っていると 思ったら、大きなハエが3匹とまってマルクに命乞いをしていたのだった。部屋の奥には小さな机と丸椅子が置かれていて、机の上には開いたままの書物や書きかけの書類が放 り出されていた。机の横のごみ箱からは、くしゃくしゃに丸められた紙くずが床の上にこぼれだしていた。マルクはため息を一つつくと、背伸びをして天井を見た、というか見 えた。目が合ってしまった。自分の真上に小さな穴が開いていて、そこから何かが覗き見ていたのである。そいつは口の周りに生えたひげをひこひこと動かし、穴の周りの様子 をうかがっていた。やどねずみだ。大きいものになると体長1mほどにもなるげっ歯目の動物であるが、小さいものは家の台所等に現れては野菜などをかじったり、屋根裏で虫 を食べたりしている。ねずみ君はマルクにご挨拶すると、暗い穴の中へもそもそと戻っていった。
 しばらくすると、かつこつという足音が聞こえてきて、丸い金色のドアノブががちゃりと回転すると扉が開いた。お待たせしてしまってすまない、私がミスティックのスタイ ン・アンスバッハです。恰幅の良い、というより少し太めの初老の男が扉の前に立っていた。始めまして、マルク・マンハイムです。立ち上がるとお辞儀をした。スタイン先生 は、マルクの正面に腰掛けると、テーブルの上の食べかけサンドイッチを見て言った。これは君が食べたのかね?違うのか、それでは私が頂くとしよう。レーズンの無くなった サンドイッチをほおばると、件の女学生が飲み物を持って入ってきた。彼女は、空になった皿を見て一瞬ぎょっとしたが、マルクの方を見て微笑んだ。僕が食べたんじゃないっ て。
 女学生が退出すると、スタインが話し出した。さて、話はノインツェンのヒーラーから概ね聞いているが、今一度ご説明願えるかね。マルクは、頭痛の前の前駆症状である、 視界の中の銀色三日月がだんだん大きくなって、最後には丸い輪が形成されること、1ヶ月くらいの周期で発作が起きること、薬は殆ど効果が無いことなどを話した。腕組みし て口をへの字に曲げて聞いていたスタインは、ふーむ実に興味深い、私の研究している波動の理論に通ずるものがあると言った。恐らくそれは、月の満ち欠けによって生じる時 空のひずみが、空間の魔道力場に波動を生じさせ、その波動を君の魔道知覚がキャッチする事によって起きる症状と思われる。従って、症状を発生させないようにするには、あ る一定以上の時空ひずみが起こった際に、それを打ち消す波動を君の周囲に発生させればよいことになる。そしてその波動発生装置は、当研究所に存在するため、君は今後その 頭痛に悩むことは無くなる、というわけだ。スタインはそこまで話をすると、異国の文字が掘り込まれた、うぐいす色の湯呑みに入った緑色の液体をごくりと飲み干した。マル クは、さっきのレーズンのせサンドイッチと、ねずみ君こんにちはを思い出すと、このにごった緑の液体の中に得体の知れない物体が入っていそうで気持ちが悪かったが、飲ま ないとスタイン先生が気を悪くするので一気に飲んでみた。しぶい。液体が胃袋におさまった後、頭の後ろあたりがぞくぞくっとするような、くらくらするような感覚におそわ れた。願わくば葉っぱ以外の原材料が使われておりませんように。
 早速その装置を君にお見せしよう。ついて来たまえ。スタインは湯飲みを置いて立ち上がると、尖塔の地下実験室に下りていった。ぐるぐると回る螺旋階段を下っていくと、 さっきのお茶を飲んだときと同じようなくらくらする感覚におそわれた。頭痛の起きる前触れにも似ている。大丈夫、この間発作が起きてからまだ1週間しか経っていない。マ ルクは、自分にそう言い聞かせると、スタインの後をふらふらとついていった。螺旋階段の細い通路の先にある扉をスタインが開けると、中では色白で背の高い、痩せ型という よりはひょろ長い、白いローブを着た学生が、やはりひょろ長い腕を上げて、女学生の攻撃をのらりくらりとかわしていた。女学生は、備品の取り扱いや収納方法について、ひ ょろ長君に文句を言っているようだったが、聞いているのかいないのか、遠くを見る眼で諸手を上げて、万歳の格好をしてふらふらと動いていた。降参しているのかもしれない なとマルクは思った。スタインが実験室に入ると、女学生はむすっとしてテーブルの上を片付け始めた。ひょろ長君は、相変わらず諸手を上げてゆらゆらと揺れていた。紹介し よう、彼は私の助手のバイエル・ヤークスト、そしてお隣がカーリン・アイゼナッハ嬢だ。スタインは助手たちを紹介すると、部屋の中央にあるガラス管が曲がりくねった装置 をマルクに見せた。これが先ほどお話した波動発生装置である。この入り口からアメーバクリスタルを注入し、段階的に電圧をかけていくことによって結晶化を促進し、マテリ アルプレーンの波動を閉じ込めることができるのだ。その波動を微調整すれば、君に影響を与える時空ひずみを無力化できるというわけだ。説明を聞いているうちにだんだんと 気分が悪くなってきた。バイエル君、結晶化した波動クリスタルを持ってきてくれたまえ。ひょろ長君が、のろのろと青い揺らぎの入った水晶玉を持ってきた。玉の中には、水 面にできた波紋のようなものが閉じ込められていた。このクリスタルにほんの少し振動を与えてやると、閉じ込められていた固有振動波が周囲に放射されることになる。スタイ ンが、クリスタルの表面を指先で軽く弾くと、ぴーんという涼やかな音がした。そして次の瞬間、マルクの頭の中にじーんとくるような痛みが始まった。マルクは頭を抱えてそ の場にうずくまった。いつの間にか銀色の三日月が視界の中に現れていた。どうして?まだ1週間しか経っていないのに。三日月はどんどん大きくなり、うねうねといやらしく 揺れ動き始めた。しまった!この周波数がまさに彼の起爆スイッチだったのだ!バイエル君、すぐにこの波動クリスタルの双子の片割れを持ってきてくれたまえ。ひょろ長君は 諸手を上げて、あたふたと右往左往している。両足があさっての方向に動いて、まっすぐ進まない。もう、なにやってんのよ!アイゼナッハ嬢が、彼を押しのけてすばやく隣室 の倉庫の扉を開いた。マルクは、銀色三日月から稲妻が四方八方に飛び散るのを見た。だめだ、こうなったら、もう、だめだ。マルクは、額から脂汗がだらだらと流れ出し、顔 面蒼白になって実験室の床に倒れこんだ。ぎりぎりと強烈な頭痛と吐き気が始まりかけていた。そして、いつもの耳鳴りの代わりに、不思議な音楽のようなものが聞こえてきた 。薄れゆく意識の中で彼は、銀色三日月の周りで踊る子供達を見て、リズミカルな太鼓の音と手拍子と不思議な歌を聴いた。どんがどどんが、どんがどど、ぱん、どんがどどん が、どんがどど、ぱん、ほうほうほうら、みてごらん、はう、このこもうすぐ、たべられる、はう、おやまのかみに、ささげられ、ふう、ひるでもくらい、もりのおく、ふう、 こおにのむらで、いけにえだ、はぃっ、こおにのむらで、いけにえだ、はぃっ、どんがどどんが、どんがどど、ぱん、どんがどどんが、どんがどど、ぱん・・・・・・。何か鋭 い音がしたかと思うと、ぶわーんといういつもの耳鳴りに戻って、銀色三日月と子供達は霧が晴れるかのように消えていった。膝枕をしてくれているアイゼナッハ嬢の顔が目の 前にあり、スタイン先生とバイエル君も心配そうに覗き込んでいた。マルクはほっとすると、そのまま深い眠りの底に落ちていった。
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