南へ1000キロ離れた東京都 小笠原諸島・父島の旅
(第2日目)2003年9月9日(火)

朝5時前、私は自然に目覚めました。
実は夜中も何度か目が覚めて、入り口ホールのテレビで位置情報を確認したり、
地図で場所を確認していました。北緯と東経がわかれば、近くにある島がわかるだけ
私は日本列島の島々の位置を熟知しています。
既に伊豆諸島最南端の孀婦岩近海も超えて、夜明け前に北緯30度線を突破していました。
果てしなき海・海・海のど真ん中。北緯29度台の洋上を更に南下中。
九州南方で言えば、鹿児島県の屋久島の南にあるトカラ列島と同緯度になります。

私は昨夜9時から熟睡の彼女を起こして、甲板に出ました。
既に日の出を見に来た人たちでいっぱいでした。

雲の合間から覗いた「今日初めての太陽」です。


空と雲の様子が既に南国の趣を醸しだしています。既に亜熱帯の空?


晴れているのに突然襲うスコール雲。スコール雲の下では強い雨に見舞われます。

普段はなかなか海から上がる太陽を綺麗に見ることが出来ません。
南国の洋上に上がる太陽は、都会で見る太陽とは一味もふた味も違う気がしました。
最初は眠くて怒っていた彼女も、日の出の綺麗さで自然に機嫌が治ってました(笑)

さて、船の中で3回目の食事です。 まだ持ってきた食材が残っており、タマゴサンド以外は保冷バックのおかげで
腐らずに、調理から丸24時間大丈夫でした!これで食材はついに底尽き(笑)

朝9時前、小笠原諸島の最北にあたる聟島列島が見え、昨日の房総半島以来の陸地を
見ることが出来ました。全て無人島なのですが、不思議な島々です。

最北端は標高88メートルの聟島、針之岩、続いて標高155メートルの媒島と続く。
九州で言えば、鹿児島県の徳之島とほぼ同緯度にあたります。
既に北緯28度線も突破し、亜熱帯圏に突入しています。

父島の北にある弟島です。


これは兄島。父島のすぐ北にある無人島です。


到着30分前。早くも父島からお迎えの船が来て、手を振っています。


同じくお迎えに来た船。この船には翌々日お世話になることに。
「父島タクシー」と書いてあるが、本業はタクシーよりダイビングショップ!?

目前に近づいてきた父島の接岸の様子を見る為、彼女と二人でデッキに出ていました。
まるで待ってましたかのように、おがさわら丸が入港する頃に出迎えに来てくれた船。
まさに今までに無い感じの旅を思わせていました。

やがて昼前の11時20分、定刻よりも10分早く父島の二見港に到着しました。

接岸直前の様子。島の方々が船の到着を待ちわびています。


各民宿の方が立て看板を持って待っています。車で宿まで送迎

そして、車での送迎。車窓から見る父島のメインストリートは、南国情緒豊かで、
ここがまるで日本で無いかのようなお洒落な建物がたくさん並んでいました。

宿までは車で2、3分程度。早速チェックインして、荷物を置き、
初日の午後は見学を中心としたプランで楽しんでみました。

まずはお昼ご飯。ガイドブックにも乗っているお店で普通にランチを食べます。
内地から運ばれた食材と島で生産した食材が混ざり合っているんだなと
思いながら。
父島で初めて食べた食事は、まあごく普通のメニューでした。
小笠原では、お役所など大半の機関で12時から1時半まで一斉に昼休みです。

JA東京島しょ小笠原支店の様子。ここでもお土産が買えます。


父島のメインストリート。中央に見えるのはスーパー。夕方には内地から届いた食料が並びます。


地形が急な小笠原の父島。繁華街(?)の裏はすぐに山が迫る!

東京よりも南中高度が約9度高い父島では、日光が痛いくらいに感じました。
海に行く訳でもないのに、日焼け止めは必携。海面の色がコバルトブルーで
あるのも、まさに亜熱帯の海を表しているかのようでした。

バイパスとも言える様な歩行者・自転車専用のトンネル。
外は炎天下で暑いので、有難い抜け道です。


まさにこれぞコバルトブルーの海?

暑い中歩き通して、最初に行ったのは「小笠原海洋センター」
ここでは、海流による漂着物の話や、子ガメたちをたくさん見ることが
出来ました。


海洋センターで育てている子ガメの様子です。

「ビジターセンター」では、入場無料で、小笠原の歴史や地形など、多角的
多面的に小笠原を知ることが出来ました。
特に小学生が使っている教科書が展示してあり、水道事情や買い物事情など、
小笠原の生活のことを良く知ることが出来ました。
他には、お土産屋さんを覗いたり、JAに行けば、ドラゴンフルーツや
スターフルーツ、パパイヤなど、本土ではあまり見ることが出来ない果物が
たくさん並んでいました。

途中の道端にあった小笠原村の紋章の説明


東京へは1007キロ。他の小笠原村の島々への距離は半端じゃない!


同様の距離表示は海外バージョン


挙式も出来るという「聖ジョージ教会」


夕日は三日月山の展望台へ、平均上り勾配10%の車も通れる道をゆっくり
上って行きました。海沿いには、気象庁父島測候所がありました。
台風の通り道である小笠原にとって、重要な測候所と言えます。
二見湾を山の中腹から見下ろすのは、すごく綺麗でした。湾の水の青さと
向かいの陸地の山の緑。そして山は亜熱帯性のジャングルと言った感じ。

二見湾を山の中腹から見ると、こんなに綺麗!

展望台からの夕日は水平線に沈んでいきます。しかし、雲の影響で水平線には
沈まず雲に隠れてしまいました。遠くの海には入道雲が黒くなってスコールの
ような集中豪雨が降っているのが遠くから見え、まさに亜熱帯特有の
不思議な天気だと感じました。

画面右の霧状の部分はスコールが降っている部分。
中央に見える小さな島は「烏帽子(えぼし)岩」です。


父島から見る水平線上に沈む夕日です。


宿に戻って夕食後は、夜の二見湾の大村海岸を歩いてみました。
この日は満月に近かったので、空全体が明るく、星空を眺めるには
あまり都合がよくありませんでしたが、それでもたくさんの星たちを
眺めることが出来ました。海岸は珊瑚が砕けた白砂で、水はぬるく、
まだまだ小笠原は真夏なんだと実感しつつ、夜は更けていきました。

(更新日;03.9.28)