南へ1000キロ離れた東京都 小笠原諸島・父島の旅
(第1日目)2003年9月8日(月)

「東京を基点に最も時間がかかる国内旅行先はどこ?」
の質問に、あなたは答えられますか?
沖縄県の与那国島や波照間島、南北大東島と答える方も多いと
思いますが、このあたりは全て飛行機の乗り継ぎで容易に行くことが出来ます。

では、飛行機で行けない場所を考えると、船しか使えない場所を
考えると思います。そうです。船でしか行くことが出来ない上、
便が平均で6日に1回しかない。答えは小笠原諸島です。
東京から南へ約1000キロ。沖縄とほぼ同緯度に位置する
小笠原諸島の父島と母島は、東京都でありながら亜熱帯の気候の島。
一番寒い冬でも平均で18度近くもあり、雪は全く降りません。
一方、海水浴可能なシーズンは4月から10月と半年以上。
冬でも晴れて暖かければ十分に泳げるそうです。

この島に行くためには、東京の竹芝桟橋から出航している小笠原海運の
「おがさわら丸」に乗船し、約25時間半の船旅をすることになります。
東京の竹芝を午前10時に出ると、翌日の昼前に父島に着きます。
母島に行くには、父島から「ははじま丸」に乗換えて更に2時間。
まさに日本最後の秘境とも言える地と思えます。

今回の私の旅では、9月8日の朝に東京を出るおがさわら丸に乗船し、
父島に2泊出来るコースで行ってみました。
出航手続きは何故か出発の1時間前まで。朝のラッシュと重なって、
大荷物は通勤電車に多大な迷惑を掛けました。
竹芝桟橋に着くと、大きな荷物を背負った人が既にたくさん居ました。
今回私と一緒に旅をするのは、私と同じく島好き&海好きな私の彼女です。
以前にも2人でミニ旅行はしたものの、今回のような本格的な旅行は初めて。

庶民的な旅を希望の我々は、2等船席のいわゆる雑魚寝状態。
出航と共に船の甲板に上がり、薄曇りの東京湾クルーズを楽しんでいました。

おがさわら丸の甲板から撮った写真です。これで1日後には南の島!


まもなく、おがさわら丸はレインボーブリッジをくぐります。


レインボーブリッジの下を通過中!


横を追い抜いて行く派手な色の船は、東海汽船のジェットフォイル
伊豆大島や新島、神津島へ短時間で結んでいます。

船の中のテレビでは、現在の位置情報が北緯・東経、父島までの距離と地図で
容易にわかります。波の穏やかな東京湾をどんどん南下。
出発から30分で羽田沖。1時間で横浜沖を通過しました。

やがて、お昼ご飯の時間。今回の旅の為に私は前夜から食材を準備していました。
一般に外食や船内のレストランはお値段が少々高いので、少しでも出費を控えてるようにと、
最近は外出時や会社にも、自作の弁当を持っていくことが増えました。
今回はおにぎりやサンドイッチ、煮物、唐揚げ、お新香やバナナ、それにペットボトルの
飲料も予めカバン一つ分持ってきました。もちろん保冷剤や保冷バッグも複数利用。
お昼だけでは食べきれない量で、もちろん続きは夕飯で(笑)
潮風が心地よい船の甲板のベンチに座り、これからの旅がどうなるか話しながら食べました。

一見、島のように見える陸地は、東京湾の入り口・千葉県館山市の洲崎です。
予想以上の霞みで、これが最後の島影になるとは思いませんでした。

館山沖にて北緯35度線を超えて、船は南へ南へ速度を上げます。
やがて、房総半島も遠ざかると、進行方向に対し右手に伊豆大島が見えるはずなのでしたが、
この日は晴れている割には霞がかかっていて視界が悪かったのでした。
携帯電話は出発から3時間半後の午後1時半には圏外になってしまいました。
見えるはずの伊豆諸島が見えない海をひたすら南下。やがて眠くなってきました。

彼女と船室に戻り少し昼寝。1時間半後に私だけ起き上がり、位置情報をチェック。
本来ならば三宅島・御蔵島の近海で、既に北緯34度線を超えていました。
北緯34度・東経140度の海。日本地図で見ると、千葉県房総半島沖の洋上になります。
でも、見たところ360度海ばかりで、行けども行けども海。不思議な世界。
嬉しい反面、怖くもなりました。海の様子も東京湾とは違い、伊豆諸島の青々とした海でした。

1日目の夕暮れです。この日の日没は午後6時前。水平線上に雲こそありましたが、
都会では見られない綺麗な日没を見ることが出来ました。

夕方6時前には八丈島の近海を通過、しかしこれも見ることは出来ず。
やがて外は日暮れと共に暗くなり始めました。船に戻って交替でシャワーに行くことに。
おがさわら丸には風呂の設備はありませんが、シャワーが24時間使いたい放題です。
私が入った時は船の揺れもあまり気にならず、普通に使えました。

シャワーの後は、ラウンジを使って2人で持ってきた食事の続きで夕食タイム!
しかし、彼女は船酔いをしてしまい食欲無し。船の売店で、酔い止め薬を買って飲んできました。
おがさわら丸クラスの大きさともなれば私は全然船酔い知らず。保冷バッグに持ってきた
ビールや酎ハイを出したところ、まだまだ冷たく冷えてたので嬉しくなり、飲んでました。
しかし、船酔いはおろか酒酔いもしませんでした。
具合の悪い彼女は9時前に寝てしまいました。私は2等船室の消灯の10時までは、持ってきた本を
読んでいました。明日の日の出は5時14分。それに備えて消灯と共に寝ました。
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(更新日;03.9.21)