佐倉市立美術館 体感する美術2002  耳をひらいて Open your ears

風鈴プロジェクト(IFSによるワークショップ)  


風鈴屋台繁盛記その12

8月3日(土)、4日(日) 風鈴プロジェクト@佐倉市立美術館

 京成佐倉駅を下車し丘の上にすっくとたつ美術館をめざすと、あちらこちらから風鈴の音が聞こえてくる。

 現在「体感する美術2002」の展示真っ最中。
商店街にも各店オリジナルの風鈴が並ぶ。風鈴の音と絵柄に誘われて店にあいさつに行き会話する。
「キレイですねぇ。柄もイイし上手い具合に下げはって。」
「そうですか、ありがとうございます。楽しい企画をどうもね。」
というのは魚屋の奥さん。つづいて和菓子屋の奥さん。
「どうもご協力ありがとうございました。いかがですか風鈴は?」
「イイわよ。気に入ってますよ。これでお客さんが増えれば尚いいんだけど。それにしてもホントにお疲れさまねぇ。で、まだその格好してんの?どこのひとが歩いてるのかと思うわよ。」
と僕のじんべい姿を指しておっしゃる。あ、蔵六餅もくださった。
ここにきて「音の種を蒔く―風鈴プロジェクト」、音の種が蒔かれて発芽し始めたんだなと感じる。まちを抜け美術館に着くと正面玄関にも風鈴がひとつさがっており来館者を迎え入れる。

 今日(8月4日)は風鈴屋台最後の出店日。
ふぅ、ついにここまで来たか。
昨日(8月3日)と今日は美術館のなかで店開き。受付を3階展示室前に設置して受付の済んだひとから展示室に置かれた屋台に座って音のエクセサイズをやってもらう。エクセサイズが終わると1階エントランスホールに移動しそこで風鈴絵付けを体験。昨日と同様最終日の今日も開店前から受付には長蛇の列。そして、開店と同時に大勢のひとが展示室になだれ込んで来る。風鈴屋のアンチャン、じんべいに麦わら帽子姿で美術館のなかをあっちに行ったりこっちに行ったり。考えてみれば、この姿も今日で見納めだ。

 これだけ、参加者を集めた要因はなんだろう。
それはおそらく風鈴というわかりやすい素材が多くのひとを惹きつけたのだろうと思う。
風鈴に絵付けして自分オリジナルの作品がつくれる、これほどわかりやすく魅力的なことはない。だから、参加者の年齢層は広く、これといって美術に関心のないひとも参加されていたと思う。というか、ほとんどのひとがアートと呼ばれるものなどどうでもいいひとだったろう。どちらかというと僕もそちらの類なのだが、これだけのひとを集めコミュニケーションを醸成させたのはやはりアートの力だろう。
ただ、「周囲の音に耳を澄ます」というコンセプトがどこまで伝わったか疑問も残る。風鈴屋のアンチャンの力量不足もあるし、送り手と受け手の間にあるそもそもの齟齬に因するのかもしれない。今後の、あるいは永遠の課題だ。

 美術館内風鈴屋台は風鈴が売り切れてしまったためお昼過ぎには終了し、午後からは静かな美術館に戻った。毎日書いてもらった音のエクセサイズはさっそく壁に打ち付けて展示した。そんなわけだから、壁いっぱいにエクセサイズのカードが広がっていき終いには展示する場がなくなるほどだった。閉館時間間際になると来館される方はごく小数になって、展示室にはでーんとかまえた屋台と色鮮やかなエクセサイズカード、時折響く風鈴の音が残った。

 僕は最後まで展示室にいてエクセサイズのカードを一枚一枚見たり、屋台に座ってボーッとしていた。

 「風鈴プロジェクト」、なんとか無事終えることができた。
粗削りな風鈴屋のアンチャンであったが、のびのびやらせてもらった。永山さん、IFSのみなさんには感謝しないといけない。ありがとうございました。思えばたくさんのひととともに共同で作業を進めてきた。学校の生徒さん、商店街の方々、ワークショップ参加者、数え上げればきりがない。
感謝するとともに今回の試みが今後の美術館の活動に活かされればと思う。

風鈴プロジェクト@佐倉市立美術館の様子はこちらでもご覧いただけます。


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