体験的吃音改善論
10年前に書いた体験的吃音論も10年たってみると随分と吃音の見方に変化が生じて書き直したいと
思うようになり、この春(2012年2月)から全面的に書き直しを行うことにいたしました。
なぜ吃音は起こるのか
まず、人間がある行動を起こすときに、何を考えるかというと、その行動は危険か危険ではないかというこ
ととその行動はできるかできないかということを考えるはずです。これをどのように考えるかというと、過去の
経験に照らして考えるものです。ここで吃音者が他者に発語行動を起こそうとするときに、これから行う発語
行動は、出来るのか出来ないのかをこれまでの経験から判断するものです。吃音者に取ってこれまで苦手な
場面で数限りなく吃音が起こっていたとすると今回の発語行動も吃音になるのではないかという不安を持つ
ことは、ごく自然です。これが吃音予期不安の姿であります。ここが吃音者と非吃音者の違いになります。
従って、吃音が改善するためには、吃音の経験をなくして発語成功体験を数多く重ねることによって経験から
発語は、できるという自信を作っていくことが必須になると思います。
発語成功体験をつくるには、
なぜこれまで吃音になっていたかの原因を理解することが必要になります。なぜ吃音の原因をつかむことは、
難しいのでしょうか。それは、発語動作というものは、目に見えないからだと思われます。もし野球やスケートと
同じように発語動作が目に見えるものならば、吃音者の発語の欠点は、第三者が指摘できるでしょう。しかし
発語動作というものは、外から見ることができないために発語上の欠点は、吃音者本人にも他者にも分かりず
らいものになるのです。ここで筆者が長年の観察によって吃音の発語上の欠点を特に難発性吃音の欠点は
次のようになります。
@ 発語をジャンプする動作に例えて語れば
ジャンプすることには、膝を曲げて体を下に沈み込まして体の力を抜くという準備動作を行います。
ここ膝も曲げずに体も力の入ったままの状態でジャンプしようとしてもできないように、吃音の欠点
は、発語の前の準備動作で力が抜けていないのです。力んだままで発語しようとする。これでは、
ジャンプできないように発語もおこせいないことが容易に想像できるでしょう。まず、発語の前に
力みを取る練習を行う。(この練習は、当ルームの重要項目です。)
A 発語動作と回避動作を同時に行っている。
スケートで初心者は、手すりにつかまりながら滑ろうとします。手すりにつかまることは転ぶことを
回避する回避動作になるのでしょう。ここで転ぶことを極端に恐れると手すりにつかまる力が強く
なります。手すりに強くつかまればつかまるほど滑ることができなくなります。吃音もこの回避動作と
発語動作を同時行っていることが見られます。吃音で回避動作に当たるものは、息を止める動作に
なります。発語は、息を吐く動作の上につくられます。ここで発語不安が強いと、息を止める力が強く
なりすぎて息を吐く動作にスムーズに移行できなくなります。これが難発の特徴でもあります。
(当ルームでは、この息を止める動作から息を吐く動作への移行をスムーズにできるようなトレーニング
をおこなっております。)
この息をとれる動作から息を吐く動作を一種の切替部品に例えると、吃音者の切り替え部品は、
錆びついたりしてスムーズな切り替えができないでいる。この切り替えをスムーズに変えるトレーニンを
行ってみませんか)
この二点、力みをなくし、息を止めて息を吐くという切り替え動作のスムーズな改善は、難発性吃音には、
大変な効果があるという当ルーム独自の発見があります。
このように吃音の欠点を正していくと発語成功体験の蓄積ができるようになり、吃音の改善が進みましょう。
す。
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更新日:2012/2/14
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