その夜に書かれたと思われる日記の文章

ラジオ出た。6回目。ドリアンさん、本当に元気になったんだよ。
人間技じゃないよね。もしかしたら、不死身なのかもしれないね。
ドリアンさん、かよのこと、強い強いってあんまり言わないで。
強いんじゃなくって、単に、白血病という病気に負けたくない。
手強いってことはわかってるよ。でも勝てるかもしれないし。
やっぱりがんばってみようと思う。
リスナーのみんなやドリアンさん、スタッフの皆さんの前で、
明るくしているのは、それは、かよがその方が楽だからです。
あわれんだ目で見られるよりも、なんだ、元気なんじゃないかと、
拍子抜けしてしまうぐらいの方が、かよは楽です。
泣いたり、くよくよしたりするのは1人の時、いくらでもできるから。


    6月8日の日記
 ついに学校に行ってきました。といっても、行って、授業日程の
書類をもらいに行っただけで、授業は受けていません。
  でも、なんかすっきりとした気分です。
  がんばって合格した学校ですから、みんなといっしょに早く通い
たいです。
  学校に行った帰りに図書館に寄ってきました。久しぶりに読書で
もしようかと余裕が出てきたようです。
  今日借りてきた本は(?)・・・お医者さんが書いた本なんですけど、
どんな本かというと、一般の病院は人が死んでいくのにふさわしい
場所なのか、お医者さんに任せるだけでなくて、自分の意志や選択で
決められる死を迎えるにはどうしたらいいのかなど、実際の患者さん
や、その家族との、一人の医師の関わり合いの中で見つけ出していく、
そういう本です。
  かよはね、どうせ病気が治らないなら、少しくらい死期が早くなっ
てもいいから、痛みがないように楽に死んでいきたい。
  でもやっぱり生きたいです。年とっていきたいんです。みんなは、
年をとるのを嫌がるけれど、生きてる年月が長くなれば長くなるほど
たくさんの経験をして、たくさんの人とも出会う可能性があると思う。
ひとりの女性として年をとって、老いていくのはいやなことかもしれ
ないけれど、かよは八十になっても百になっても自分の誕生日にはお
祝いを言っていきたい。