3.2日目 青い吊り橋 → 守内
翌朝は寒さで目を覚ました。6時30分。テントから這い出ると更に寒い。ラジオのスイッチを入れる。今朝の山口の最低気温は3度だそうだ。ここも同じぐらいだろう。川面からわき上がる蒸気が白く揺れ幻想的だ。
寒さのため家庭用カセットコンロは使いものにならないが、ビールはよく冷えている。口にしようかとも思ったが、やはり暖かいコーヒーにしよう。木炭に火をおこしお湯を沸かした。桂が目を覚ます。続いて海野。最後の久保田が起きてきた時は8時を回っていた。
夕べの残りのお酒を飲みながら朝昼兼用の食事を済ませ、テントを片づけいよいよ出発。10時45分。昨日全くカヌーに乗れなかった久保田は川に飢えていた様子で、一気に加速する。海野も決して負けてはいない。僕はというと、今日は川の美しさを堪能しようと、しんがりを決め込み、桂が出発するのを水上で待つ。
だがいっこうに桂は出発しない。何かあったかな、と近づいてみると「ウイスキーの瓶が割れた」といって、瓶の中身をコップに受けようとあくせくしていた。「もったいない」と僕もコップを差し出す。本日の配給缶ビール2本にコップになみなみと注がれたウイスキーが加わった。こぼしてはならないので、なるべく早く飲んでしまおう。酔っぱらってしまうかもしれないが止むを得まい。何かあったら桂のせいだ。
美しい錦川といえどもそろそろ汚れてくるかな思いつつスタートしたが、今日も錦川の水質は衰えを見せない。昨日同様に美しい。山を一気に下ってきた流れは、行皮を過ぎたところで正面の山に行く手を阻まれ、左に鋭く向きを変える。水量も多くなり水深は増す。この辺りはひときわ美しい。昨日よりも断然きれいだ。
川底に沈められたカニ籠を発見。水深は2メートル位だろうか、中に捕らえられたカニの姿がはっきりと見える。1匹、2匹。いや4匹だ。こっちの籠にも3匹いる。4艇のカヌーはまたしても速度を大幅に落とし、必死になって沈められたカニ籠を探した。
正午過ぎに小さな沈下橋を通過、そして国道の通る錦橋を過ぎ、2時30分に今日の目的地、守内の沈下橋に到着。待ちかまえていた久保田の親父さんにお願いし、スタート地点まで車を取りに行き再び守内に戻る。久保田親子とはここでお別れ。今夜は桂、海野との3人でのキャンプとなった。
今夜のメニューはすき焼き。疲れからかあまり食が進まない。岩国が近いせい、一日分月が太くなったせいか、星たちは昨夜のようには瞬かない。寒さは昨日同様で、時間と共に身にしみてくる。昨日同様11時にテントに入る。