Last Update 00-11-28

私がCANONを選ぶわけ

ひさびさの予告ネタです。配信音楽の前科があるだけに、何とかがんばりました。


このページで紹介した通り、今年の3月にBJF300を購入しました。このページは意外と好評で、プリンタ購入の相談が結構ありました。今回、ジャンクのPM-700Cを入手して復活を試みたので、紹介します。

私の手元にやってきたのはPM-700Cで、これは、750C,760Cとヘッド周りはほぼ同一の物です。

Windowsのテストプリントを行ってみたところ、動作はするのですが、白紙の紙が出てきます。よく見ると、かすかに黄色が見えています。

状態としては、メカ−○、ヘッド−×と言ったところで、ヘッドの詰まりさえ直せば、どうやら使えそうです。

そこで、次の物を準備する事にしました。

ここで、お約束のひとことを。

「ここで行っているのはあくまでも実験であり、自己責任を完逐出来る方以外は、絶対に真似しないで下さい。真似した場合の損害は、EPSON社はもちろん、私も一切関知しません。」

準備したものは、10ccの注射器(針なし)と自転車の虫ゴム、そして、エチルアルコールです。

お持ちの方はご存知だと思いますが、EPSONのプリンタのインク吸入口は、下図のような構造になっています。

ここに虫ゴムを付け、アルコールを充填した注射器をセットし、吐出を行います。

最初はピストンが非常に堅く、吐出できませんでしたが、何度かやっているうちに、カラーインクの方は、ピストンが動くようになって来ました。ただし、黒ヘッドだけは、どうしても動きません。

この状態で再度動作をさせてみると、黒インク以外は、見事に復活しています。ただし、黒がなければプリンタとしての役目を果たしませんから何とか黒ヘッドを復活させなければなりません。

そこで、空の黒インクカートリッジに注射器でアルコールを充填し、しばらく置いておくことにしました。

3日後、ヘッドには何の変化がないので、私は次の作戦を実行に移すことにしました。

私がこのページで宣言した事を、ついに実践する時がやって来ました。そうです。プリントヘッドの超音波洗浄です。

しかし、PM700Cのヘッドを外すのはちょっと面倒です。ワンタッチで外れるCANONとはえらい違いです。

外したヘッド洗浄漕の中に入れ、アルコールを入れて、洗浄開始です。

しかし、黒インクだけはどうしても詰まりが取れません。何度やっても、注射器のピストンが動くことはありませんでした。

上の図を見てもらえばわかると思いますが、EPSONのプリンタは、ノズル先端にある小さな穴からインクを吸入するようになっています。この吸入口をこじ開けなければ、洗浄は出来ません。さらに、ヘッドをよく見ると、微粒子成分(カーボンブラック)が多く、最も詰まりやすい黒インクのポートが一番長いことが判りました。(写真)

結局、「プリントヘッドの超音波洗浄」という作戦は失敗に終わりましたが、ヘッドをじっくり覗くことが出来ました。

PM-700Cのヘッドを見た時、罫線を多用するドキュメントでは、BJF300はPM-700Cに勝てないと思いました。

BJF300をお持ちの方はみんな感じていると思いますが、F300は、Excelのシートなどを印刷すると、罫線がぎざぎざに印刷されます。これは、F300のヘッドのLが短い為で、Lが長い750Cではその辺はほとんど目立ちません(図)。また、同じCANONでも、F600シリーズはEPSONと同様にLが長い為、問題が発生しにくいと思われます。

(ノズル配置図)

 

印字速度を見ても、一世代前のPM-750Cの方がBJF300より早いし、音も静かです。プリンタとしての完成度は、EPSONの方が数段上です。

 しかし、何で私がCANONを選ぶかというと、やはりメンテナンス性とランニングコストです。インクジェットプリンタのヘッドが「消耗品」であることは、この実験で嫌というほど思い知らされました。ヘッドを外すのに上の画像まで分解しなければならないEPSONは、この時点で失格です。

 もうひとつ、ランニングコストについても触れておかなければなりません。独立タンクの優位性は、いまさら言うこともないのですが、今回の実験で、私はあることに気づきました。

それは、「EPSONのインクタンクは再利用が出来ない」事です。

EPSONプリンタは、タンクをセットする時に、タンク下面のビニールをヘッド側のノズルが突き破るように出来ています。このビニールは、2度、3度と使う事で、だんだん穴が大きくなって行き、使用不能になります。サードパーティーから販売されているインク詰め替えキットも、これでは使えません。今回の実験中にも、2回ほど新品のタンクを使いました。

ちなみに、PM-820C以降はインク交換が出来るようです。ヤマダ電機でデモ品のインクタンクを外して見たところ、タンクの内側にパッキンらしき物が入っていました。しかし、ニードルの先端の小さな穴からインクを吸い取る構造は変わっておらず、インクタンクを外してヘッドが乾いてしまうと復旧は難しいでしょう。

CANONは、この部分はゴムのパッキンできちんとシールされる構造になっており、何度も再利用が出来ます。私は、全色の詰め替えインクを持っており、現在は、全て継ぎ足しインクを使っています。再利用の方法に、若干問題はあるものの(ハンマーで一部を壊す必要があります)、極めて順調に使えています。更に、インクとヘッドの接合部は広めのフェルト?であり、万が一ヘッドが乾いても、溶剤に漬けておけば復旧の可能性は高そうです。

しかし、CANONにも言いたことがあります。このページには、「モノクロテキスト9ppm」と書いてありますが、これはウソです。この数値は、オプションのBC-30eカートリッジを付けないと出ません。でも、その辺は中をよく読まないとわからないんですね。私はこれに完全にだまされました。同様の例は、BJF660の6色フォトの部分にもありますね。その他、F660の比較対象が780Cじゃなくて760Cになっているのも、かなりアンフェアな比較であり、恣意的な物を感じます。

CANONには、人を騙した償いとして「クリーニングタンク」の販売を要望します。長期保存の際などに、溶剤が入った「クリーニングタンク」で印刷し、インクを排除してから保存することにより、ヘッドへの目詰まりを減らす事が出来るというもの。そういうのがないと、年賀状の為にしか使う予定のないBC-34eフォトカートリッジは買えませんぜ>CANON殿。

あ、でもいいです。なくても作っちゃいますから(笑)。

EPSONは、圧倒的なシェアをバックに、ロールプリント、フチなし印刷、そして、友人Oが購入する決め手となったCD-Rへのダイレクト印刷など、新しい使い方を提案している非常に好ましい商品戦略となっているのに対し、CANONの方は、ほとんど詐欺に近いスペック重視の戦略を取っています。しかし、独立インクタンクと交換可能なヘッドは、インクジェットプリンタの欠点を補う非常にすばらしい考え方だと、私は思います。

 もっと言うと、CANONの「独立タンク+交換可能ヘッド」は、「インクジェットプリンタはノズルが詰まる」ということを前提としたメーカーの良心です。その事がコストアップを招き、モーターや筐体におカネをかけられない(=うるさい)というネガティブを生み出した事は否定できません。更に、F8XXシリーズやS600は、ヘッド交換構造自体をやめています。

という事で、私はこのページでS2000を選ばず、RX-7を選んだ事と同じ理由でCANONのBJF660をおすすめします。ただし、写真画質にするためにはあと5千円必要な事をお忘れなく。

 

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