公開質問状回答

 9月30日に前期自治会・後期学生会・院生自治会は学長候補者四名に公開質問状を送りました。10月7日に回答が出そろったのでここに掲載します。まだ途中までしか掲載していませんし、読みにくいですがご了承下さい。

候補者の名前はここ

その1  その2  その3

T 候補者のプロフィールと基本姿勢

(1)候補者のプロフィール

(a)これまでのご自身の経歴について、特に一橋大学の業務に携わった経験があればその印象も含め、具体的にお答え下さい。
(b)今回学長候補者に選ばれての感想をお聞かせ下さい。



村井
(a)1964年一橋大学商学部卒業、66年同法学部卒業、同年司法修習生
68年一橋大学法学部助手、以後、講師、助教授を経て、84年教授、現在にいたる。
96年5月から98年4月まで、法学部長。
(b)大変に戸惑っています。



(a)最近の主な業務経験は次の通りです。
1988年4月〜1990年3月  評議員
  1993年4月〜1995年3月  経済学部長
  1997年4月〜         附属図書館長
その他,学生,学務関係,入試関係などほとんどすべての委員を経験しました。いずれの場合も全力投球したつもりです。
(b)正直いってたいへんに当惑しております。現在,一橋の抱えている難しい問題を考えるにつけ,次期学長に誰がなってもたいへんだろうなという感を深くします。


富澤
(a)私は大学院博士課程単位取得後の1966年から今日まで、一橋大学に付置されている経済研究所に勤務しており、現在は米・欧・ロシア経済研究部門でヨーロッパ経済(とりわけ民間非営利セクター)の研究をしております。1992年から94年にかけて経済研究所長として大学運営に関与しましたが、学部教育に関与していない関係上、学生の実状を十分把握できず大学全体の状況判断に苦労したという経験をもっています。
(b)今回学長候補者に選ばれて、光栄と感じるとともに、正直なところたいへん困惑しております。私的な事情を述べることが許されるならば、第1に、上記のように、私は学部教育に関与してこなかったので大学運営の大切なところで的確な判断をすることができないと考えるからです。第2に、所長時代の経験からして自分には管理能力とリーダーシップがないということを痛感しているからです。第3に、私は来年3月に定年退職をすることになっていたので、4月以降ある私立大学で勤務をすることがすでに決まっており、この約束を破ると先方に非常な迷惑をかけることになるからです。
 このような事情ですので、私としては「学長となれば○○問題に対してこう対応する」あるいは「○○を約束する」という趣旨の質問に対して応える準備ができておりません。また、学部教育の実状を十分に把握していないので、カリキュラム改革問題などについては的外れの回答になるのではないかと恐れます。関連する資料についても、限られた時間内であらためて勉強することができなかったので、多くの点で情報不足のまま回答せざるをえませんでした。以下では現在の私の立場から回答できる範囲内で私見を述べるということで、ご容赦ください


安藤
(1)(a)旧中和寮寮監(昭和61年 3月〜63年 3月)、学生部長(平成 2年12月〜 4年12月)、評議員( 5年 4月〜 7年 3月)および商学部長( 8年 8月〜10年 7月)を務めましたが、それぞれ大変でした。
(b)今回のことは晴天の霹靂(ママ)です。



(2)基本姿勢

(a)一橋大学の現在に至る歴史に関して、大学としての教育研究のあり方を中心に思うところをご自由にお書き下さい。
(b)現在、大学改革を通じ「21世紀に向けた大学」のあり方が問われています。一橋大学がどのような大学を目指すのか、その基本理念をお聞かせ下さい。
(c)ご自身が研究者・教員として今まで培ってきた考えをどのように大学運営に生かしたいと考えていますか。



村井
(a)自由な学風は好きなところです。ただし、教育面においては、学生諸君にいささか伝統に寄りかかって勉学にいそしむ気風は欠けているようにも思われます。
(b)「一橋大学がどのような大学を目指すのか」ということについては、私は答える資格がありません。大学、とくに国立大学の存在意義が根本から問われている時代であるとの認識はあります。私は、一国立大学という観点ではなく、インターカレッジ的な国立、私立の別なく連携が必要な時代が来ると思われます。
(c)研究者、教員としての資格から個人として自由な発言をしていきたいと願っています。



(a)開校以来120余年のおよぶ本学の歴史自体,日本における教育・研究の中心であり続けたと自負しています。しかし21世紀を迎えるにあたり,新しい大学作りの視点から,より一層の飛躍のため全学一体となった努力が必要とされていると思います。
(b)21世紀には,生き残りをかけた大学間の競争時代が来るのは確実です。大学院重点化による研究志向の大学,学部の教育を一層充実させる教育重視の大学,そして言社研,神田に創設される独立研究科を中心とする社会人養成の大学と,すべての面で世界一流を目指した大学作りこそ,これから本学がもつべき基本理念でしょう。
(c)在職期間は残り数年となりましたが,これまでの自分の研究(財政学の分野)・教育経験をできる範囲で,大学運営に生かせたらと考えています。幸い,数名の若手スタッフも育ってくれましたので,今後彼らの活動にも大いに期待しています。


富澤
(a) 一橋大学は、その歴史をふりかえればよくわかるように先人の努力の積み重ねによって、教育研究機関として社会に誇れる立派な伝統をもっています。社会科学の総合大学としてのアイデンティティが明確であり、そのアイデンティティを核とする一体感が強いのが特徴です。この一体感は、教員間の一体感にとどまらず、職員と学生を大学の構成員として考えるというところにも見られます。教職員と学生の積極的な参加によってよい大学をつくっていこうという意欲が伝統的に強かったと思います。
(b)現在は社会全体が変動期にあり、大学も例外ではありません。一橋大学もそのあり方を根本的に見直す時期になっています。まず第1に、上記のような伝統を大切にすることが重要です。しかし、第2に、伝統を大切にすることが伝統に固執する保守的な態度につながると、大学は社会の変動に取り残され、衰退することになってしまうでしょう。したがって、伝統を大切にしながら、時代を切り開くような思い切った改革をすることが必要だと思います。
(c)最近私は民間非営利組織の研究をしています。そのような組織においては組織構成員と組織関係者の活力がなによりも重要になります。組織はそれぞれ立場を異にする人びとから構成されるのが一般的ですから、各層がどのように組織参加したら組織としての力を最大限に発揮できるかという問題が大切になります。大学運営のおいても検討を要する問題だと思います。


安藤
(a)商法講習所いらい 120年余、戦後に一橋大学となって49年の歴史を有する本学は、それぞれの分野で一流の研究教育を行い、各界に優れた人材を送り出してきました。
(b)今後ともこのような研究教育の拠点であり続けることが、社会に対する本学の責務であると考えます。
(c)専門の会計学でも重要な「バランス」を大切にしたいと思います。



U 学生の勉学生活の環境


1 一橋大学における「大学改革」

(1)カリキュラム改革

(a)これまでの一橋大学のカリキュラム改革をどのように評価しますか。
(b)今後カリキュラム改革を行う場合、具体的にどのような改革を行いますか。また、それはどのような理由からなされますか。学部・大学院にわけてお答え下さい。
(c)カリキュラム改革に学生の意見を反映させるため、具体的にどのような対応を行いますか。たとえば、様々な問題点が指摘されている「英語統一テスト」について、どのように思われますか。
(d)ゼメスター制の導入に教職員が追いつけず、窓口業務の不手際・ガイダンスの不備といった問題がおこっています。教員への周知徹底や、窓口業務の質的向上のために職員を増やすなどの措置について、具体的にどのような対応をとられますか。



村井
(a)初期の頃の四年一貫制論議から関わった者として、キャンパス統合と四年一貫カリキュラムの実現については、喜ばしく思っています。
(b)学部教育と大学院教育とのドッキングをどうするか、社会人の受け入れをその体制、カリキュラムを含めてどうするかなど、学部・大学院ともにそれぞれの組織毎に多くの課題を抱えていると思っています。
(c)基本的には、学生諸君がどのような要求とニーズを持っているかが問題であり、学部・研究科毎に学生・院生とのカリキュラム改革についての意見交換の場を設けるべきであろうと思っています。「英語統一テスト」については、私にはその是非を判断する材料がありませんし、また、その立場でもないと思います。
(d)職員をはじめとする教育サポートシステムと要員の不足・削減が根本的問題です。将来的には、職員の増員を実現すべきでしょうが、さしあたり、教員・学生の側の認識と協力が必要でしょう。



(a)経済学部の6年一環カリキュラムは,今後の改良の余地はあるもののよくできていると考えています。
(b)若干,科目の整理をする必要があるかもしれません。いま経済学部の検討委員会で審議を始めているので,その結果を待って具体化を図りたいものです。
(c)経済学部ではカリ改革にあたり,学生の意見を聞く機会を設けたこともありますし,アンケートなども必要に応じて行うべきです。「英語統一テスト」について,問題点が多いなら改善して継続すべきでしょう。
(d)ゼメスター制を導入してまだ間がないので,導入時に混乱が生じるのはある程度やむを得ないことでしょう。教職員の習熟度も向上すると思われますので,混乱は次第に解消されるはずです。目下の状況で職員を増やすことは非常に難しいと思います。


富澤
(a)前述のように、私は研究所勤務ということもあってカリキュラム改革については十分な情報を持っておりません。したがって、これまでの大学全体のカリキュラム改革に関しては的外れの回答になるかもしれませんが、全体的には学部と大学院との繋がりを考慮にいれた改革として評価しております。
(b)学部においては専門教育偏重を避け、教養教育と専門教育とのバランスのとれた改革が必要だと思います。大学院においては、とりわけ高度専門職業人養成のためのカリキュラムについてさらに工夫が必要だと思います。これまでの教育実践によって再検討のための素材が集積されつつあると思われるからです。
(c)「英語統一テスト」などを含めて、カリキュラム改革の結果を学生側がどのように受けとめているのかを十分に調査する必要があると思います。
(d)学外的には定員削減反対と定員増要求を行い、学内的には実態に応じた職員再配置について検討することが必要だと思います。

安藤
(a)本学のこれまでのカリキュラム改革は一定の成果をあげたと考えます。
(b)学部・研究科によっては、大学院重点化等にともない引き続き改革の必要があり得るでしょう。
(c)これからのカリキュラム改革は学生の声も聞きながら進めることが大切ですが、そのための具体的な対応は各学部および教育委員会等で検討されるべきでしょう。 
(d)学期始めにおける教務関係の窓口業務等の混雑にはいくつかの要因があると思われますが、とにかくこの問題は早急に解決される必要があります。具体的な対応策については学生部長が中心となって検討されるでしょう。



(2)図書館改革

(a)現在一橋大学で行われている図書館改革についてどのように思われますか。
(b)図書館の移転・改築は全学に大きな影響を与える問題であることをお認めになりますか。
(c)図書館改革に当たって、学内各層から充分に意見を聴取しそれを反映させるために、具体的にどのような対応をとられますか。
(d)開館時間の延長・土日開館など図書館利用の充実を望む声が多くあります。三多摩地区の多くの大学では土日開館が実現していますが、こうした要望についてどのような取り組みをお考えですか。また、これが職員の労働条件悪化につながらないことも必要となりますが、これに関する取り組みはどのように行いますか。
(e)98年8月から始まった第2期図書館増改築工事(〜2000年)により、多くの図書が小平分校の図書館に移転されます。今後、長期に亘って学生の図書利用に支障が出ないよう具体的にどのような対応をなさいますか。
(f)閲覧を自由にするなど、地域住民に図書館を開放する取り組みについてはどのようにお考えですか。



村井
(a)図書館は大学の教育研究の中核的施設として、できるだけ質量ともに充実したものにすべきであり、そのための改革として評価しています。
(b)認識しています。
(c)学内各層から十分に意見を聴取すべきであると思いますが、具体的にどうするかは、図書館長、図書館委員会など所管の部署がありますので、現在、私は答える立場にありません。
(d)ニーズと職員の労働条件の衝突は解決の難しい問題です。図書館長などが職員との話し合いなどを重ねたうえで、できるだけ実現可能な手段を考える必要があるでしょう。
(e)学生のみならず、私のような教員の研究・教育に支障のないような対応がなされるように、私自身も切に望んでいます。
(f)ある程度の開放というのは、私個人としては賛成ですが、学生・教職員の利用に支障をきたさないとか、職員の労働条件を悪化させないなど、検討すべき問題も多いように思います。



(a)老朽化した建物を全面的に増改築しようとする三期に分けた改革は,すばらしいことだと思います。
(b)大規模な増改築だけに,大きな影響を与えるのは当然でしょう。しかし2年後にはすばらしい本館が建ち,よりよいサービスが提供されるわけですから,辛抱するほかはないと思います。
(c)要望があれば随時,図書館長宛に出してくれればよく,図書館委員会などで検討し,その実施に向け所定の手続きをとることになります。
(d)土曜日はすでに開館していますので,日曜開館と平日の時間延長が問題でしょう。一橋の図書館の内容,格からすれば,すでに先行している他大学並みに日曜開館と平日9時までにサービスを向上させるべきです。このためには,利用者側から正式に図書館長あてにもっと要望を出してもらう必要があります。また職員の労働条件の悪化を極力避けるため,業務の外注なども合わせ検討すべきです。
(e)移転した図書もできるだけ開架式に配列し,また現に行っている小平からのピックアップのサービスもより充実させるべきでしょう。
(f)本来の利用者に迷惑がかからない範囲で,地域住民に開放するのは大賛成です。

富澤
(a)蔵書スペースの拡大は積年の課題でした。改築問題を含めて図書館改革に伴う問題は種々あるでしょうが、一時的な不便はあっても、図書館を重要視するという大学の伝統的な立場にたって長期的な見地からよりよい図書館をつくるために各層が協力すべきだと考えます。
(b)図書館の移転・改築は大学にとって重要な問題ですが、その影響度は各大学構成員や各部所によって異なると思います。
(c)利用者側の要望とサービス提供者側の要望を十分汲み上げて両者の調整をはかることが重要だと思います。
(d)Xの2の「文教予算」の項目でも述べたように、基本的には文教予算の増額と定員増に努力することが必要だと考えます。現状のもとでは、利用者側の要望と職員の要望をふまえるとともに他学の実践例を参考にして、実現可能な方途を探っていく必要があると思います。
(e)利用希望図書の小平からの移送をできるだけ迅速化する必要があります。
(f)学内利用者と学外利用者とのコンフリクト、職員増など、解決すべき問題を種々伴いますが、地域住民への図書館開放をはかるための方途を検討すべきだと考えます。

安藤
(a)〜(f)附属図書館は本学の研究教育の要ですので、図書館の増改築等は全学に大きな影響があります。中長期的には必要な増改築も、短期的にはデメリットを伴います。増改築等に伴う問題等については附属図書館委員会が中心となって今後とも検討されるでしょう。


(3)大学院重点化

(a)一橋大学が大学院重点化を進めていることについてどのように思われますか。
(b)言語社会研究科・地球社会専攻の「独立研究科/専攻」設置、社会人の専修コースの設置などにより、近年院生の数は急増しています。一方で、増加に見合う分の環境の整備は未だ遅れています。研究室の不足などは特に重大な問題だと考えますが、この点についての対応はどのようにお考えですか。
(c)大学院重点化により学部教育が軽視される、切り捨てられるのではないかという危惧が学部生にありますが、学部教育については今後どのような対応をとられますか。



村井
(a)反対ではありません。
(b)院生数の急増による研究室不足の問題は、大変深刻な問題であると認識しています。大学院棟の新設などの対応が必要であると思います。
(c)本来、大学院重点化構想は学部教育の充実とセットのものでなければならないと思います。その意味において、学部教育と大学院教育との連携が必要になると思います。


(a)様々な問題点が指摘されていますが,一橋の将来のために大学院重点化を進めざるをえないと思います。今後の文教政策を展望すると,研究水準を維持し研究志向の一流の大学として発展するために,ごく少数の大学のみが重点化として対象となるはずです。バスに乗り遅れては,取り返しがつきません。
(b)研究室の不足は重大な問題だと思います。これに対応すべく,言社研の新しい建物(予算要求中)が実現すれば,院生用の研究室ができる予定だし,また図書館の改築後にキャレルが30席近く新設されるはずです。
(c)社会への人材供給も含め,大学の identity はやはり学部にあります。学部教育が軽視されたり,切り捨てられることなどありえないことだと考えています。事実,各学部のカリキュラムなど,入門コースなどを学部教育に配慮していると思います。


富澤
(a)教育・研究内容が高度化している今日の状況を考慮すると、それに対応する能力をもつ一橋大学が大学院重点化を進めることは必要なことだと思います。
(b)予算増・定員増に取り組むことが基本だと考えます。
(c)学部教育は大学院教育の基礎です。このような見地から学部教育を重視する必要があります。

安藤
(a)大学院重点化は、昨今の国立大学をめぐる状況の中で、本学が国立大学として存続していくために採れる一つの選択であると考えます。
(b)最近の大学院生の急増に伴う施設設備不足は、本学に限らず諸国立大学でも大きな問題となっており、文部省でも大学院設置基準を見直す可能性があります。この問題については国立大学協会等を通じて文部省に働きかけるべきでょう。
(c)大学院重点化と学部教育の関係については、まず関係学部・研究科で検討されるべきでしょう。


(4)事務機構再編

(a)事務職員の削減(守衛・寮炊フの外部委託、職員のアルバイト・非常勤採用など)は、学生にとって事務対応に困難が生じるだけでなく、職員の労働条件悪化という人権問題にもつながる重大問題です。大学として主体的に職員雇用の問題にどのように取り組みますか。


村井
(a)現在の国の政策からは、大学における職員増を現実化することは大変に困難なことだと思いますが、教育研究の充実は、職員によって支えられていることからして、大学は総力を挙げて職員増実現に取り組むべでしょう。



(a)全国的に事務職員の定員削減が実施されており,一国立大学では対応しきれない側面もあります。大学として定員確保に粘り強く交渉するほかはなく,事実,一部で成果も挙がっています。


富澤
(a)ここでも基本的な問題は予算増・定員増です。定員削減がなされている現状では、一橋大学の努力だけでは定員増の実現は困難です。全国の大学の力を結集して文教予算・定員のあり方について政策提言をする必要があります。


安藤
(a)本学に限らず国立大学の公務員の定員削減は大変厳しい問題で、既存の事務機構のままではこれ以上の定員削減には耐えられないでしょう。本学においても事務機構の再編の検討は避けられないと思います。


(5)副学長制

(a)多くの大学で導入されつつある「副学長制」について、どのように思われますか。
(b)副学長制を導入した大学では、「学生部長」職が廃止され、学生に関する事務が統合されその責任者が事務局長(文部官僚)となっています。このことについてどのように思われますか。
(c)学生部長が廃止されることで学生と大学当局との間の窓口がなくなった大学があります。このことについて、どのように思われますか。



村井
(a)学長補佐の体制は必要でしょうが、副学長制度の採用によって対応するのがよい方法かは、(b)の点とも絡んで私個人としては疑問があります。
(b)学生部長職を廃止することには、賛同できません。
(c)そうした事態があるとすれば、大変に憂慮すべきことだと思います。



(a)全国の主要大学の大半で,1〜2名の副学長をすでに任命しています。国際的にまた学外的に訪問客も増え,学長の業務も激増したいま,一橋だけが例外的に副学長なしでやっていけるとも思いません。
(b)副学長新設が学生部長のポストと引き換えになるのは問題です。できるだけ工夫し,この問題を避けるよう努力をすべきです。
(c)学生との窓口になるような「学生部長」のポストを実質的に残すことも可能でしょう。


富澤
(a)学校教育法では「大学には、副学長を置くことができる」とされ、「副学長は、学長の職務を助ける」と規定されています。学長職が激職であることを考慮すれば、副学長制は活用しうる制度だと考えます。問題は副学長制そのものではなく、その運用のあり方だと思います。
(b)学生部長は大学当局と学生との窓口として重要な役割を果たしています。「学生部長」職の廃止は望ましくないと考えます。
(c)大学当局と学生との間の窓口がなくなれば、大学の民主的運営がたいへん困難になると思います。


安藤
(a)副学長制の問題も上記(4)の事務機構再編問題の一環を成すものですが、本学は後発のメリットを生かし、先行他大学の情報を集めて検討すべきでしょう。
(b)〜(c)副学長制を導入しながら学生部長を廃止していない大学もあるようです。


U 学生の勉学生活の環境

2 小平改革

(1)「創造の杜」構想

(a)現在公表されている小平再開発計画では、研究施設の運営について「研究・教育の分離」の原則が取られています。また、施設運営に他大学教員・官庁・民間企業など「各界有識者」による「研究理事会」も参加することになっています。こうした運営の方法について、どのように思われますか。
(b)研究については、教員や官庁・民間企業からの出向者が内容を事前審査し、1〜2年の研究期間を設けた後研究の継続についても同様に審査する「プロジェクト」制を採用する計画となっています。こうした研究の方式をどのように思われますか。
(c)予算については文部省以外に、他省庁・民間企業からの寄付で賄おうとしていますが、これにより大学にどのような影響がありますか。



村井
(a)この構想はいまだ具体的に煮詰まったものではなく、きわめて漠然としているので、意見をいうべき段階ではないように思います。
(b)上記のように、私としては必ずしも明確なイメージをいだけませんが、プロジェクト制の採用自体はあり得る方策だとは思います。
(c)もし、研究財源の確保が干渉につながり、大学の自主的研究に支障をきたすとすれば問題です。


(a)小平は「創造の杜」として,その再開発にこれまでにない新しい構想をもつべきです。利用の不十分な行政財産処分が話題になりつつある今日,その迅速な具体化が必要不可欠です。まだ具体的に熟知していませんが,新しい運営方法も積極的に考えるべきでしょう。
(b)様々なやり方の一環として,「プロジェクト制」を導入するのも一つの方法でしょう。
(c)文部省からの予算が先細りになるだけに,多方面から寄付を募るのは必要です。外部資金の活用は世界的な流れだし,本学だけに悪影響があるとも考えられません。

富澤
(a)研究施設では研究中心の運営がなされるのは当然ですが、大学の施設である以上、教育とのつながりを軽視してはならないと思います。また、外部に開かれたかたちでの施設運営としては、研究施設の自主性が阻害されないようにすることが肝要だと思います。
(b)大学の施設としての自主性を堅持することが基本原則となるべきです。この原則にたった研究であれば、プロジェクト制も有効な方式だと考えます。その際、大学の施設としての自主性を堅持する方途をしっかりと確立しておくことが重要になります。
(c)この問題についても、上述のように、大学の施設としての自主性を堅持する方途をしっかりと確立しておくことが重要になります。「自主性の堅持」と「社会に貢献する研究」という原則にたてば、研究発展のための寄付を受け入れることはあながち否定すべきことではないと考えます。

安藤
(a)〜(c)小平キャンパスの利用計画として現在公表されている案(小平地区長期構想専門委員会の第2次中間報告/1997.6.10)については、商学部から修正提案が出されており、小平地区長期構想専門委員会を中心に再び検討されることになるでしょう。


(2)創立125年記念施設について

(a)小平再開発計画では、課外活動施設の存続について「『創立125周年記念館』との関連で考える」としか書かれていません。これは、「課外活動施設の面積を現行のまま維持する」とした「6・8確認書」に抵触する可能性があります。小平の課外活動施設の保障は具体的にどのように行いますか。
(b)125周年記念館は施設運営を民間業者が行う予定となっています。これについて業者委託では運用形態・利用時間の面で十分な福利厚生がはかられないという不安の声があります。125周年記念館の運用は具体的にどのように行いますか。
(c)施設利用に当たっては、利用のたびに「使用料」を払う計画になっています。使用料を徴収することの是非をお答え下さい。また、使用料徴収の問題に具体的にどのように取り組みますか。
(d)施設運営が赤字となった場合、具体的にどのような対策をとられますか。



村井
(a)約束は果たされるべきであり、大学執行部は、約束した内容を果たすように努力するでしょう。
(b)業者委託のあり方次第だと思いますが、運営に問題が生じないようにすべきが当然でしょう。
(c)学費には大学の施設使用料も含まれているでしょうから、学生から「使用料」をとることには問題があるように思いますが、そのあたりについては私は勉強不足です。
(d)施設運営費のために大学の教育研究予算の執行に悪影響が生じないようにする責任が、大学管理機関にはあるでしょう。


(a)小平再開発計画の詳細プログラムはこれからです。課外活動施設の保障もこの中で考えられるべきです。
(b) 民間業者が運営することが,決定されたとは聞いていません。しかしいま世間の常識では,「官」より「民」の方がよりよいサービスを提供してくれるということです。具体化にあたり,業者委託も含め,多くの可能性を探ったらいいと思います。
(c)他大学のケースも一般的に使用料を徴収しています。膨大な経常費が必要となる以上,利用に応じて負担するのはしかたがないでしょう。問題は使用料金を皆から納得してもらえるように reasonable な水準にすることです。
(d)赤字にならないようにするのが先決で,そのようにできると考えています。赤字の可能性がでてきたら先送りにせず,迅速に対策を講じるべきです。

富澤
(a)課外活動施設の面積を現行のまま維持するためには、なによりも小平キャンパスの維持が大前提になると思います。小平キャンパスを維持するためには実現性のある再開発計画をつくり、それが学内外で承認される必要があります。今はこの問題に努力を集中すべき時期だと思います。
(b)業者委託であるが故に十分な福利厚生がはかられないとは言えないと思います。業者委託の方法を含めて、種々の運用方法のメリット・デメリットを十分検討したうえで最適の運用方法を選択すべきだと思います。
(d)赤字を出すことは絶対避けなければなりません。今の段階でそのようなことが想定されうるのであれば、計画そのものの見直しが必要だと考えます。

安藤
(a)移転改築後の小平キャンパスの課外活動利用状況を前提に考える必要があると思います。
(b)記念施設運営について外部委託を行うとすれば、それは大学の限られた人員・予算の関係などから考え出された選択であり、やむを得ないことでしょう。
(c)福利厚生施設の利用に対し使用料を取ることに問題はないでしょう。
(d)仮にそうなった場合には、全学の叡智を集めて対策を考えるほかはありません。



(3)地域への説明

(a)大学がそれ自体を支える「社会」との関わりを切り離すことができない以上、キャンパス移転・再開発の際は地域住民に対する事前の説明が必要になると思われますが、今回の小平再開発ではそうした説明を行いますか。


村井
(a)大学は地域とのつながりを大切にするという一般論は賛成です。キャンパス移転の問題も、できるだけ地域の人々に理解を得る努力を行うのが望ましいと思います。



(a)小平市役所などを通じ行うべきでしょう。


富澤
(a)適切なかたちでの説明が必要だと思います。


安藤
(a)大学が大規模工事を行う場合は、事前に周辺地域の関係者に説明を行っているはずです。



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