ポータルサイト ベスト10を選ぶ

ポータルサイトとは インターネットでブラウザー(即ちマイクロソフト・インターネット・エクスプローラ
又は ネットスケープ・コミュニケータ)を起動したとき最初に接続されるように設定されている
ウェッブサイトを意味します。  インターネットに接続した時にまず最初に表示され 多数の
ユーザーが「入り口」または「拠点」として頻繁に利用する場所が Portal Site です。 
ポータル(Portal)とは玄関とか入り口という単語です。 

日本経済新聞が平成10年8月に 「自宅でインターネット(WWW)を利用する際のポータルサイトは
何か」という調査をしたところ結果は以下でした。


      検索サイト(YahooやGooなど)              21.7%
      利用しているプロバイダーのホームページ        20.1% 
      ブラウザーの初期設定のまま                19.0%
      その他                             39.2%

色々な見方ができると思いますが ブラウザーの初期設定のままと その他 を合わせた合計が
6割近く占めるということは 日本でのポータルサイト主導権争いが未だ序盤戦 の段階で 
これから熾烈な戦いとなるということだと思います。

米国では1998年からポータルサイトが注目を集めており ポータルサイトの熾烈な主導権争いは
インターネット関連企業だけに留まらず テレビ等の旧来メディアも捲き込んだものとなっています。
ポータルサイトが注目される理由は ポータルポジションを獲得できた企業には 非常に高い
視聴率を稼ぐネットメディアとして ラジオや雑誌を上回る 巨額のインターネット広告収入が近い
将来期待できることと 電子商取引(ElectronicCommerse 又は EC)連携による莫大な
コミッション(又はテナント料)収入を確保できるからです。 

先行している米国での動きを見ていると 日本でもポータルサイトの主導権争いが激化するのは
必至です。 「検索エンジン ベスト10を選ぶ」の中でも説明しましたが 日本ではホームページに
アクセスする際に 検索エンジンを利用するのは全アクセスの内20%以下であり 検索サイトの
地盤低下が続いています。 検索サイトの地盤低下は 最近 増えつつある低レベルで見るに
耐えない個人のホームページを検索サイトで探すより リンク集を使いネットサーフィンする方が
激増していることによります。 こうした中で 検索サイトを運営していた各社は 検索サイトを
ポータルサイトという多角経営に切り替え 改善を図っています。 最終的に日本で存続できる
ポータルサイトは吸収・合併による淘汰により 2〜3社に集約 されると言われています。

ポータルサイトとして多くの人から利用されるには 検索サイトであるというだけでは満足して貰
えず ポータルサイトを拠点とし リンクを利用して 多目的に使えることが必要となります。 
様様なサービスを提供することによりユーザーの囲い込みも可能となります。 トラフィック
(アクセス)の多いポータルサイトとなるには 色々な機能とコンテンツを持たせることが肝要であり
具体的には次ぎのような構成が必要です。

   ポータルサイト構成に必要な要素:
    
          1) 検索エンジン
          2) ニュース・情報
          3) コミュニティー(フリーメール 掲示板 チャット ゲーム パーソナルページ
            無料ホームページ等)
          4) 電子商取引
          5) カスタマイズ(サイトをパーソナライズ) 

日本のポータルサイトとして My Yahoo が開始したのは 平成10年7月27日であり 各社とも
内容の充実を急速に計っています。 各社のポータルサイトが 一応 出揃いましたので 私なりの
評価をしてみました。

評価項目と評価方法は以下です:

    評価項目  A:カスタマイズ  B:自前の検索エンジン  C:ニュース
            D:掲示板     E:フリーメール       F:グリーティングカード
            G:チャット     H:ゲーム           I:電子商取引

     評価方法  ○:あり      ×:なし     
A B C D E F G H I
マイヤフー
NTTマイディレクトリ × × ×
マイエキサイト × ×
マイイサイズ × × ×
フレッシュアイ × × × × × ×
Goo ×
MSNスタートペ−ジ × × × ×
インフォシーク × ×
マイライコス × × × ×
ネットスケープセンター × × × × × × ×

日本のポータルサイト ベスト10 を上記評価から決めるのは難しいところですが 私の独断と偏見
で以下の如く選びました。

   日本のポータルサイト ベスト10 
 1.  マイヤフー  http://my.yahoo.co.jp/
 2。  インフォシーク  http://www.infoseek.co.jp/
 3.  NTTマイディレクトリー  http://myd.nttnavi.co.jp/
 4.  マイエキサイト  http://www.excite.co.jp/my_excite/
 5.  Goo  http://www.goo.ne.jp/
 6.  MSNスタートページ  http://www.jp.msn.com/
 7.  マイイサイズ  http://www.isize.com/myisize.html
 8.  フレッシュアイ  http://www.fresheye.com/
 9.  マイライコス  http://my.lycos.co.jp/
10.  ネットスケープセンター  http://www.netscape.com/ja/
番外  @nifty  http://www.nifty.com/
番外  ビッグローブ  http://www.biglobe.ne.jp/
番外  ジオシティーズ  http://www.geocities.co.jp/


以下は まとめとして ポータルサイト全般について 私の考察です。

A. 日本のポータルサイト ベスト10を選ぶに際し カスタマイズできるかどうかを評価の
   最重点に置きました。 ユーザーの好みに応じてカスタマイズできる余地を与えないと
   浮気なユーザーの囲い込みは困難であり ポータルサイトとして生き残れないと思い
   ます。  カスタマイズさせる手段として 通常 登録ユーザーにID番号とパスワードが
   与えられますが ユーザーの名前 アドレス 職業 年収 性別 年齢 趣味 などの
   情報が代わりに求められますので ポータルサイトのスポンサーにとって貴重な情報と
   なります。 ユーザー情報の取れないポータルサイトはスポンサーにとって魅力が
   少なく 広告媒体としての価値も減ります

B. 個々の人がポータルサイトとして どこを選ぶかは 好みと使い方次第であり
   上記の順位とは 当然 異なる筈です。 番外の3サイトは未だトップ10のレベルにない
    と判断し評価から外しましたが 米国のケースを考えると トップ10に入っていて
    オカシクないサイトです。  ポータルサイトの利点をフルに活用するには インターネット
    が常に接続された状態であることが望ましく 電話代を気にしないでも使えるような
   インフラの整備が日本では先ず望まれます。

C. Portal Site が その言葉の意味する如く 単なる「入り口」であると ユーザーはすぐ
   他のサイトへ流れ戻ってこない恐れがあります。 ポータサイトからの収入を増やす
   には できるだけ長くユーザーを同じポータルサイトに留める必要があります。
   米国ヤフーのCOOマレット氏は同社のサイトを ハブサイト(Hub Site)と呼んでいます。
   Hub とは中心という意味です。 私個人としては Hub Site の呼称の方が実態に
   合っていると思いますが 広まるかどうかは分かりません。

D. 日本のポータルサイトを米国の状況と比較すると興味深いです。 2000年7月に
   米国で最も利用者の多かった ポータルサイト ベスト10 は次ぎの如くでした
   (メディアメトリックス調査)。

       1. ヤフー                6. ネットスケープ
       2. MSN                 7. エキサイト    
       3. AOL                  8. アイウォン   
       4. ライコス               9. インフォスペース  
       5. ゴー                 10。 ゾーム

   私が選んだ日本のポータルサイト ベスト10 とはかなり様相が異なります。
   パソコン通信の最大手 AOL は ブラウザーの生みの親である ネットスケープ・
   コミュニケーションズ買収しました。 3大ポータルサイトでブラウザーを持たないのは
   ヤフーだけとなっています。 1999年今年1月末にヤフーは39億ドルでジオシティーズを 
   更に ネット放送局のブロードキャスト・ドット・コムを57億ドルで 買収しました。 
   インターネット関連企業でない既存メディアもポータルサイト事業への進出に積極的です。 
   ウォルト・ディズニーによるインフォシークの買収 NBCによるCNET系スナップ・オンライン
   への出資 AOLとCBSのニュース分野での提携  USAネットワークスによるライコス吸収
   などです。 既存メディアが メディア市場だけでは将来の発展に限界があるので ネット
    市場の開拓に積極的乗り出しているというのが米国での現状です。 平成12年1月には 
   AOLとタイムー・ワーナーの合併が発表され インターネットとテレビ・映画・出版などの既存
   メディアの両方に軸足を置く巨大メディアが誕生しています。 

E. 米国ではAOLがネットスケープを総額40億ドルで買収したと既に説明しました。 AOLの
   会員1400万人 ネットスケープが運営するポータルサイト「Netcenter」の会員900万人 
   両方を合わせた会員は米国WEBユーザーのほぼ7割を占めることになり ポータルサイト
   としては文字どうり最強のものとなります。 個人ユーザーに強いAOLと 企業ユーザーに
   強いNetscapeがお互いに補完する体制ができたことになります。 AOLはネットスケープ
   買収と同時にサン・マイクロシステムズ社との3年間に亘る契約も発表しています。
   Sun が AOL に電子商取引用ソフトウェアを開発することになっており AOL/Netscape/
   Sunという有力3社の連合はマイクロソフトにとって脅威となりそうです。
   AOLに対抗する会社として CATVを利用したプロバイダーサービスの会社アットホーム
   があります。 同社はエキサイトを67億ドルで買収しています。 この買収は米国での
   ポータルサイトの勢力地図を塗り替えるだけでなく 日本法人のエキサイト(株主は
   米国エイキサイト50% 伊藤忠45% 大日本印刷5%)の戦略にも影響を与えそうです。

F. 3大ポータルサイトとして 米国でのヤフーの地位は 下位サイトの追い上げもあり
   安泰とは言えません。 日本のポータルサイトとして ヤフーは現在のところブランド力も
   あり他社を圧倒していますが 独立したネット企業としてどう強みを発揮し続けていくか
   注目されます。 ポータルサイトとして生き残れるかどうか 最有力な検索サイトという
   ことで甘んじてはいられないということです。

G。 (株)リクルートは平成11年1月11日にMixJuiceと検索エンジン「あちゃらNAVI」を
   統合した「イサイズ」をスタートさせました。  イサイズは生活関連シーンを15に分け
   各シーンに関連するホームページを紹介するシステムに変えました。 従来あった
   検索エンジン「あちゃらNAVI」の検索機能が見当たらないので問い合わせたところ 
   ビックリしたことに 検索機能はイサイズ移行に伴い廃止した という確認を得ました。
   (株)リクルートとしては検索サイトから完全撤退したことになります。
   イサイズには検索エンジンがないので ポータルサイトの主導権争いに加わるのは難しい
   と私は思います。 イサイズの真意が分からないので 問い合わせたところ 副編集長
   から 「イサイズが目指しているのは ポータルサイトではなく ハブサイトです。 単純に
   他のサイトの通過点となる玄関ではなく 目的地であり他への通過もできる軸になって
   いきたいと考えている」 という返事をいただきました。
   ポータル or ハブ 何れの言葉が適切かは別の話として イサイズがポータルサイトを
   狙って万端の準備をし 平成11年1月にスタートしたことは確かであり 私としては全く
   期待外れの内容でした。 東芝 凸版印刷 電通の3社が昨年末スタートさせた 
   フレッシュアイ についてもポータルポジションをヤフーと争うつもりなら ニュースサービス
   が無いことを含め 出来の悪いサイトと言わざるを得ません。  ヤフーの競合他社がこの
   ような体たらくでは 日本のポータルサイトとして独占的なヤフーの地位は 当分の間 
   揺らぎそうにありません。

H. ポータルサイトが注目される理由は 前にも書きましたが 広告媒体としての価値と
   電子商取引の手数料収入にあります。 電通の発表によると 1999年の日本の
   インターネット広告市場は250億円(前年比2.1倍)に達しました。  現時点での数字は
   日本全体の広告費6兆円に対し0.4%のみで インターネット広告費は決して巨額とは 言え
   ませんが 毎年 急進   しており ポータルサイトの集客争いが激化しています。 尚 
   1998年の日本の   インターネット利用人口は前年度比46.6%増の1700万人に達し 人口
   に対する普及率は13.4% となっています。 郵政白書によるとインターネットを使った個人向け
   電子商取引は1998年度で1665億円に達しました。

I.  ポータルサイトを評価する尺度としてPV(ページビュー)という閲覧頻度が良く使われます。
   各社が発表する数字は水増しが多いので私の評価ポイントには加えませんでした。
   ヤフーのPVは1999年9月単月で十億ページ(前年比3倍) 登録者数140万人だそうです。
   参考までにヤフーの1999年10-12月第3四半期の売上高は16億円 経常利益は約6億円
   (前年同期比4.2倍) 株価は不動株が約2000株と少ないこともあり加熱気味です。

J. 日本リサーチセンターが接続回数や時間などから調べた日本で人気の高いWebサイト 
   トップ10は  ヤフー ニフティー 楽天市場 マイクロソフトネットワーク ジオシティーズ グー
   マイクロソフト ビッグローブ インプレス ソネット の順でした(平成12年1月25日の朝日
   新聞記事)。 検索エンジンとして 16位 エキサイト 23位 インフォシーク 37位 ライコス が
   入っています。 同じ日本リサーチセンターが平成12年3月末に調べた 日本の検索ポータル
   のランキングは Yahoo!  Goo Excite Infoseek  Lycos の順でした。

K. このページをまとめみて 私にとって最大の収穫は ポータルサイトがインターネット経済
   の要(かなめ)となりつつあることを実感できたことです。 ネットメディアとしての広告収入
   だけでなく ポータルサイトを軸とした電子商取引の将来性を考えると ポータルサイトの
   動向を軽視できません。 ポータルサイトの持つ将来の重要性について 日本の経済界
   ではどうもまだ充分認識されていないような気がしてなりません。  
   電話代を気にしないで インターネットを常時使えるようなインフラの整備が先ずなされ
   まで 日本のポータルサイトは米国のようには発展しないかも知れませんが 米国と
   同様に何れなるであろうことは確かだと思います。  米国の状況を早めに把握し 
   日本での対応を考えることが益々重要となりそうです。 

独断と偏見で私が選んだ 「日本のポータルサイト ベスト10」 は必要な都度 評価項目 
評価方法を含め 時々 見直すつもりです。 お気づきの点などありましたら   ご指摘いただけ
ると幸いです。

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