大湯環状列石:B配石の目的は? |
△なぜ日時計を必要とするのか? 時計の目的は、時刻とそれに伴う時間を測定することにある。 日時計は、太陽の軌跡の変化を利用する。 手軽で作れる日時計は、太古の人々が太陽軌道を巧みに応用した例の典型であろう。 日時計が最も効率よく機能する地域は、大平原とか、大洋の孤島とか、周囲に邪魔物の ない所である。鹿角のような青垣の山々が額にぶッつかるような狭隘な盆地では、 日時計はあまり効率的とは云えない。 また前者のような広い所では、太陽の位置を見定めるに、目標となる物がないため、 (日時計のような)棒を立てて、その影の形や長さで太陽の軌跡を分析する こととなる。後者にあっては、山々峰々の位置が目視できるので、 容易に太陽の軌跡を測定し得る。 日時計の応用の延長線上に、方位の測定がある。 例えば大平原のような広い所では、身近に目印がないため、 @自分たちの故国(母国)とか、 A敵対する集団の所在とか、 B富(生活の糧)の在り処、 なとを見失いやすい。 そのため、太陽の軌跡、つまり日時計などの棒の影の形状のデータを 蓄積しておき、そのデータと、太陽の位置と、時刻などとを 照合することによって、当該所在地を割り出すことが出来る。 ところが、ここ鹿角では、 「私共の一族は、あの山の向こうからやってきたのだ。 故国のことと、そしてあの山の位置とを忘れるなよ」 で事足りる。もし一族の故国で、既に日時計文化を持っていたとしても、 近くの山々で太陽の位置を確認出来るので、わざわざ日時計を用いなくても 良いのである。 つまり鹿角辺りでは、太陽の軌跡は、住宅など建物の向きを決めるには重要な因子 であるが、時刻や時間には特に影響しない。明るくなったら起きればいいし、 暗くなったら寝ればいい。四季を通して、昼と夜との時間差には、大して変化は ないのだから……… 日時計の応用は、東西南北の方位も割り出すことも出来、更には軌跡の蓄積データは、 暦としても応用されるのである。 (H18.02.05)
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