そて、また元に戻って、出陣日記の内藤調一さんが戦さが終って家に帰って、ど
ぶろくを飲む話しだが、 ○「家の醸の濁醪」を何んと読むか、「醸の」でなやんだ。醸は「かもす」「つく る」の意味があるようだし、濁醪は「だくろう」で、にごり酒、どぶろくのことだ というから、ここは「家のつくりのどぶろく」でいいかもしれない。 ○次に「先ツ」だが、これは「まず」として、 ○「今更親戚に対面」の今更だが、これは私達が「いまさら何をいうか」の今更 ではなく、「今、更に」かもしれない。 ○さて「可憫」を何んと読むか、可は「か」として、憫は「びん」、あわれだとい った意味の「かれん」という場合は「可憐」と書くようだ。同じような意味の「ふ びん」だという場合は、「不憫」と書くみたい。となれば「可憫」はなんとなる。 いずれにせよ戦死した人達はあわれだ、かわいそうであった、ということか。続い て、 ○「儕輩(せいはい)」という言葉は、今頃お目にかからないが、同じ仲間とか、 同輩といったことのようだ。 ○「心栄人に勝れ」は、「心ばえ人にすぐれ」か。 ○「鑑」はかがみ、かんがみる、となれば「鑑みせしめんと」はよくわからない。 「鑑み」の次に「と」をいれて「鑑みとせしめん」となれば、私達にもわかるよう な気がする。 ○「可禄の長(は長男のことか)善一郎沢出善右エ門の嗣となる」ということは、 さきに沢出家のことを書いたときに、六代目の二男は源佐久、そして善平、可禄と なるが、長男のことは書いていない。となれば可禄の長男の善一郎が善右エ門の 跡をとったということは、善右エ門という長男がいて、その跡を嗣いだのか、父 (祖父)善右エ門の跡を嗣いだということか、その辺がよくわからない。 ○「恬憺(てんたん)」、心が安らかで無欲なこと。あっさりしていて物事に執着 しない。 ○「兄賢良翁」とは善平のことか。 ○「蘊奥(えんおう)」奥義、極意。 ○「火箭(かせん)」@火矢、A艦船の信号用火具。厚紙の筒に薬品を装填し空中 に打上げると彩火、彩煙、音響を放つもの。 火矢:火を仕掛けて放った矢。また火薬を仕掛けた兵器。石火矢、棒火矢、炮烙 火矢など。 ○「炮烙(ほうろく)」素焼の平たい土鍋。火にかけて食品を炒ったり、蒸焼きに したりするのに用いる。 ○「炮烙仕合」炮烙を頭にのせて打合い、割られた方を負けとする仕合。学校など で騎馬戦はあまりやらなくなったが、やっても帽子を取り合ったり、頭につけた風 船を新聞紙を丸めた棒で割合ったりしている。 ○「炮烙火矢(ほうらくびや)」戦国時代、銅製の丸(たま)に火薬を込め、布で 包んで漆をぬり、火を点じて敵中に投げて爆発させたもの。 「ほうらく」といえば、私達が子供の頃はどこの家にもあったと思ったが、さて どんなと思ったら、その形、その大きさなど思い出せない。ということは、我が家 にはなかったかもしれない。 ○「中将」南部藩主のこと。武家の官位は、四代将軍家綱までは朝廷に奏上した後 に、幕府が叙任していたものが、五代将軍綱吉以降は、幕府が叙任した後に朝廷に 位記(いき)、口宣(くぜん)を申請するように変化した。 位記:叙任の旨を記して天皇が授与する文書。 口宣:職事(しきじ、官職上の務め)が叙位、任官などの勅令を上卿(しょうけ い、@大臣または中納言など。A朝廷の議事の首座となる者。B記録所の長官)に 伝えること。またその時に発せられる文書。元来職事のメモであって文書となるべ きものでないので、口宣案と称した。 四代家綱の時代、大名家の当主の官職の最上(極位(ごくい)、極官(ごくかん) といった)はほぼ一定の基準が出来上ったという。南部公は中将といっているから、 正式?には従四位上近衛中将かもしれない。 |