下タ沢会によせて(覚書)

軍律きびしき中なれど

 こうして、田畑へいたずらしてはいかん、鶏や犬はとって食な、組から逃げるな、 酒は禁制だが少しは飲んでもいいが、決して深酒はするな、と私の勝手な解釈だが、 ここで一番気に入ったのは、酒は少しは飲んでもいい。軍律きびしき中なれど、少 しは気分のゆとりは必要だ。ということで、いろいろ準備を整えて命令が下れば、出 陣となったろう。このほか手柄を立てたらどうするかとか、一人で抜がけをするな とか、ケガしたらどうするかなども書かれているが、省略する。
 
 こうして金掘部隊は、南部軍の各隊に配属されて出陣したものと思われる。
 先の解題に、大葛口に出陣した人達は大葛から扇田大滝へ出て、帰ってきてご苦 労さんと酒肴を頂戴した、と書いてあるが、ここのところを阿部恭助日記によって 見直してみると、
 
○御銅山勢大葛口より御打入、扇田大滝江打出夕方不残御帰陳、兵粮方富太郎甚八 は吉沢ニ小荷駄相守滞陳、兵粮奉行福治忠七は御軍勢之跡へ押行候処、何れへ相廻 候哉今晩帰陳無之
○今晩御帰陳御祝ひとして、出陳之御人数江御酒御肴三種被下置候、三沢笹小屋之 人数江は左之通被下置候
 明一日休息いたし明後日五日より出精相働可申旨御達
 
○直し酒弐荷              田郡 御役方諸働共出陳之
  御肴鯡三王                者共江
として、同じく、元山、赤沢、獅子沢笹小屋、そして御酒御肴(量は書いていない) 、御台処中間共江、としている。
 
 ここでいう明後日五日より出精ということは、23日の記事だから、24日1日休んで 25日から働きに出るように、ということだと思う。

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