大振之尻子、これがわからなかった、しばらくして大振は私達は大きめ、小さめ、
というときの大ぶりとか、小ぶりとかいったあれだナ、と思った。が、尻子がわか
らない。あるときふっと思った、あれは「しりこ(と読んでいた)」ではなくて、
「しっこ」なんだと。鉱石を出すとき使ったエボとかしっこの、あのしっこだと。
これで一件落着と思ったが、もう一つあった。「角石」、私は「かくいし」と読ん
でしまったから、何んでかく石、石垣でも作るんでもあるまいし、と、これが頭か
ら抜けない、思い込んでしまったら転換がきかない。これもしばらくしてから思っ
た、ナーンだあれは「かど石」なんだと、相手をやっつけるために、ぶっつける石
だから丸い石より「かど」のある方がいいに決っている。次のつぶて打ちの文を読
めばすぐ気付くはずだが。 ○物見は上下弐人江人足三人召連候事 但鉄炮壱丁笛附太鼓用意之事、龍ケ森之後并南森北森横沢小山沢之間道在之向 気を附相図之事 ○物見場処兼て相心得置可申事 ○物見相図は頭役之者ニて心得可申事 ○鬨の声は眠り流しの太鼓を打笛を吹、先小頭声を懸候ハヽ同音ニヤア 〃 と叫ひ 可申事 ○盆踊太鼓を打笛を吹籏を振り候ハヽ其靡(ナビキ)ニ随ひ、別手一手ニ成可申事 但一沢ニ太鼓壱ツ笛鐘持参之事 ○押留は太鼓鐘合打 ○引揚は鐘計之事 ○起シハ●●●●●●●●●●ト打事 ○懸リハ●●● エイ 〃 〃、●●● エイ 〃 〃、ト打候事 ○味方偽リ敗走之躰をなし卒然伏兵起り候節は、鉄炮一声相鳴候ハヽ縦横より無二 無三ニ突立、尚一炮相鳴候ハヽ敗兵取て返し、前後より挟打之心得之事 ○新田人足并此方組子之内樵(キコリ)巧者之者共鐇壱丁宛用意之こと 右は臨時昴リ合近所より通行筋路傍大木を為剪通路を塞キ候手立ニ候、木之大小 ニ寄壱木江弐人懸リ三人懸リと下知を伝ひ剪倒候事 |