下タ沢会によせて(覚書)
というわけで、牛の背負ってきた荷物を更めて見てみたが、わからいものが多い
ので、少し辞典をひっくりかえしてみた。
○七島表(しちとうおもて) = 七島というのは、鹿児島県の屋久島の南にあるト
カラ列島、こゝで産する藺(いぐさ)で織った畳表。粗悪なものは筵(むしろ)に
する、という。茣蓙(ござ。藺草で織った筵に縁りをつけたもの)、私達が子供の
頃はどこの家にもあった。
○釼(はがね?) = 広辞苑は「はがね」として「匁金」の字をあてゝいる。
○羽口竹 = 羽口(はぐち)は熔鉱炉などの送風路をいう、というが、どんな竹を
どんな風に使ったのか、製錬に働いた人達ならわかるかもしれない。
○狸皮 = 「取らぬ狸の皮算用」は皆さんご存じのように、……。
狸の皮でフイゴをつくると聞いたような気もするのて、広辞苑をみたら、毛皮は
防寒具・鞴(ふいご)用とし、毛は毛筆に用いる、とある。尾去沢にきた狸の皮はフ
イゴをつくるのに使われたと思うが、麓さんの本の熔鉱の工程を書いたところには、
「これを床吹きといゝ、その仕事場を床屋といった。」「第一段階を素吹(白吹と
も)、第二段階を真吹といった。」として、素吹の床を築く工程などくわしく書い
ているが、その中に「床の内部に風路二条を設け、鞴二台によって送風する」とあ
る。また真吹きのところでは「鞴は転馬二丁のほかに沸足と称するものを用いた。」
とあるので、フイゴはどうしてつくったかは書いていない。だいたいこゝでいう
「転馬」も「沸足」もわからない。
マインランドの歴史館には、製錬作業場の模型も絵図もあり、皆さんも見ておら
れると思いますが、たぶんこれだろうと思うが、口ではうまく説明できないので、
次の機会に写真をつけたいと思っている。
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