下タ沢会によせて(覚書)

斤(きん)を忘れていた − 重さ −

 それはそれでいゝとして、銅の荷造りのところで、久しぶりに「斤」という言葉 が出てきた。今の人達にはわからないだろうが、私達が子供の頃はまだ生きていた。 「砂糖1斤買ってこい」という具合に。今考えてみたら、砂糖の外に斤で買ったもの に何があったか思い出せない。とにかく1斤は160匁(もんめ)とおぼえていた。グ ラムでいえば600グラムということだが、そっちの方はおぼえていない。物によって は、1斤は120匁とか180匁とかいう違いがあったというが、遠い昔のことといった感 じだ。
 さて、銅1箇75斤で12貫というから、念のためと計算してみたら、160匁×76= 12,000匁、1貫目は1,000匁だから12貫で○(まる)ということになる。

 こゝで問題は、という程でもないが、「運搬の途中、荷姿がくずれたり、破損し て抜銅が出来るので」とあることだ、荷姿がくずけることはあると思う。尾去沢か ら港まで何日かかゝって行くから、途中で宿ることになる。と、牛の背中からも荷 物を下ろして休ませなければならないと思うから、下ろしたり積んだりしているう ちに、私のように「テドの悪い(腕前が悪い。手際が良くない。→不器用、下手 <花輪弁今昔>。)」者が荷造りすると、荷くずれするのはわかるが、破損して抜 銅が出来る、がよくわからない。積んだり下ろしたりしているうちに、欠けたり割 れたりするだろうか。なんぼ牛追い唄をのんびり唄って行ったにしろ、片方の荷が 抜けて落ちるのに気付かずに行くことはないだろうと思ってみたが。

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