下タ沢会によせて(覚書)

鉱石を鹿沢(ししざわ)にどうして運んだか

 さて話しは鉱石の1升からカンテラの話しになってしまったが、また鉱石1升にも どって、とにかく坑内から20貫目背負ったか、5貫目しょったかは別として、いずれ 「エボ」や「しっこ」に入れて出してきたと思うが、今度はそれを鹿沢まで運ばな ければならない、やはりエボや叺などに入れて背負っていったろうか、麓さんの本 をみても書いていない。たゞ次のような記述がある。
 「鉱石を三沢の金場から鹿沢のノ(ハク)方役所まで運搬するのは、ノ(ハク) 下げ定番と称する定雇のほか、附近に居住する水呑など日雇で使用したらしく、こ れを安行といった。安行の頭分を安行頭といい、三沢に1人づつあった。」という。

○定番 = 今流に読めばテイバンだろうが、私達昔の頭で読めばジョウバン。今、 京都議定書を批准するのしないのとさわいでいるが、私はどうしても、京都ギジョ ウ書と呼んでしまう。テレビなどきいたいると、ギテイ書といっているようだが。 尾去沢でも坑内あっちこっちにお昼を食べる時などの休けい所があったが、そこを ギジョウバといっていた。字で書けば議定場だったろうと思ったいる。どうも戦後 かな使いがどうの、漢字制限がどうの、といわれてから、もともと適当に使ってい た私の頭は益々こんがらかっておかしくなってしまった。ついでに、
○安行 = アンコウと読むのだろうか、どう考えてもわからない。日雇で使った人 達をいったようだから、今でいえば臨時雇、アルバイトだと思うので、安い賃金で 鉱石を運んで行くから、安く行く、で安行といった、ではこじつけもいいとこ、笑 い話しにもならない。もう一つ、
○水呑 = ミズノミ。広辞苑によると、@水を呑むこと。またそれに用いる器。あ たり前の話だが、A水呑百姓の略。水呑百姓とは、田畑を所有しない貧しい小作ま たは日雇いの農民。ということなので納得、は、いゝとして、下タ沢にも水呑みと いわれた人達がいたろうか。

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