下タ沢会によせて(覚書)

余談 − ふいごでキミを焼いた話し −

 また余談になるが、鍛冶屋があった話しで思い出したが、私達が子供の頃(小学 校の低学年の頃か)、定雄さんの家と吉沢さん(アワの家(え)といった)の家の 土間にフイゴがあって、坑内で働いている人達がよくそこでタガネを焼いていた。 フイゴを押して風が出て炭に火がつくと、フイゴを押すたびに青白い炎がフーッ、 フーッと出て、タガネが真赤に焼けてゆく。それが面白くて、よくフイゴを押させ てもらったか、立って見てないで押して手伝へ、といわれて押したか忘れたが、ど っちの家だったか思い出せないが、その火の上で焼いたキミをもらって食ったこと があった。キミも焼くとうまいもんだナーと思った記憶がある。今では焼きトウモ ロコシなんて珍らしくもないが、その頃はキミは煮て食うもんだと思っていた。昭 和5〜6年の事だったろう。フイゴは今は見る事もなくなったが、マインランドの鉱 山歴史資料館に行けば実物がある。昔は鉱石を掘るのはみな手掘りだったと思うか ら、タガネを焼くためのフイゴの設備は、絶体必要だったと思う。

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