下タ沢会によせて(覚書)

きつねと夜タカ

 子供の頃の記憶はあまりないが、夕方うすぐらくなる頃、夜タカがよく鳴いてい た。その鳴声を今思い出せないで考えているが、それは、カッ、カッ、カ……、よ りむしろクワッ、カワッであったかもしれない。仕事がおそくなって帰ってくると、 なぜか場所(前項参照)の前の道路に何羽も集まって、クワッ、クワッ、クワッ、クワ ッと鳴き交していた。

 狐の鳴声はほとんど聞いたことはないが、シベリアから帰ってからだから、昭和 24、5年頃だと思う。冬の夜、暗くなると稲荷さんの山の方でよく鳴いた。ギャー ッ、ギャーッとするどく物を吐くような、きたない鳴声だった。絵本などには、狐 は「コン、コン」となくと書いてあったように思うが、えらい違いだと思った。が、 コン、コンと鳴く時季があるのかもしれない。

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