07 郭公カッコウ鳥の話(八幡平)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔の話こです。
 昔は郭公と云う鳥は、大変贅沢ゼイタクな鳥でした。
 大変大金持ちの家に生まれて、何不自由無く暮らして居ました。
 そうしたところが、この家では贅沢な暮らしをして、竈カマド返し(財産を無くすこと
)をして、何ナンにも食う物が無くなってしまいました。
 そして何もかも、稼いでいる人によって、物を持って行かれて、無くなりました。そ
したところが、何とか食う物は、無いだろうかと思っていたところへ、坊様が来て、
「何をしているのか」
と言いました。
 
「俺オレの家ではみんな、他の人によって持って行かれてしまって、何にも食う物が無く
なって、今食う物を探しに来ているところだ」
と言いました。それは、
「稼がないで、あまり贅沢をしたためなのだ。他の人達は一生懸命稼いでも、稼いでも
大変なのに、その罰バチが中アタってそのようになったのだ。お前があまり、贅沢をしたか
らだ。それでは、苦しんで稼いでいる人にしてやるから」
と言って、
「鳥になって、カッコ、カッコと千八つ鳴けば、一回の飯マンマが食える」
と言いました。
「それでも食わないより良いだろう。死ぬより良いだろう」
と言いました。
 そこで、晩バンゲになれば、昼間になれば、カッコ、カッコと鳴いているのです。「飯
ママ食いたい、食いたい」と鳴いているものだから、可哀想だと思うでしょう。
 米と云うものは、何百回も繰り返し、繰り返し手を掛けて、一粒の米が出来るもので
あるから、米は粗末にするものではありません。
 どっとはらえ。
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