0505 嘉名(かめい)のこと
わが国の地方の歴史を知る上での貴重な史料として、『風土記』がある。
この風土記を作成するにあたって、大和朝廷は次のような詔勅を発した。
『続日本紀』和銅六年(713)五月二日条に次のようなことが記されている。
「制す。畿内七道諸国の郡郷の名は好字を著けよ。其の郡内に生ずる所の銀・銅・彩
色・草木・禽獣・魚虫等の物は、具に色目を録せ。及び、土地の沃脊(土偏+脊、痩せ
地のこと)・山川原野の名号の所由、又、古老の相伝ふる旧聞異事は、史籍に載せて言
上せよ。」
また、『延喜式』巻第二十二民部上に次のようなことが記されている。
「凡諸国部内郡里等名。並用二字。必取嘉名。」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
@『続日本紀(しょくにほんぎ)』とは、平安時代初期に編纂された勅撰史書で、『日
本書紀』に続く六国史(りっこくし)の第二に当たる。菅野眞道らが延暦16年(797)に
完成した。文武天皇元年(697)から桓武天皇の延暦10年(791)まで九十五年間の歴史
を扱い、全四十巻から成る。奈良時代の基本史料である。編年体は漢文表記である。
A『延喜式(えんぎしき)』とは、 905年(延喜5年)から編纂され、927年(延長5年)に
完成。 967年(康保4年)に施行された。全50巻。1〜10巻は神祇官に関わるものである。
9、10巻が神名帳(神社の一覧表)となっていて、祈年祭奉幣を受けるべき2861社の神
社が記載されている。延喜式神名帳に記載のある神社を一般に式内社と言って社格の一
つとされ、当時朝廷から重要視された神社であることを示している。現在では消滅した
り不明となっている神社も多い。28巻は兵部省に関わるものである。その中の諸国駅伝
馬条には五畿七道の402ヶ所にのぼる宿駅の名称と備えるべき駅馬や伝馬の数が記載さ
れている。
つまり、
@地方の郡や郷の名は、好い字を付けるように、いろいろな産物は詳細に記すように、
土地の良し悪しや山川原野の名前の由来、古老の言うことなども調べて風土記としてま
とめるように。
A郡里の名は、漢字二字を用い、必ず嘉名(好い名)とするように。
[次へ進む] [バック]