35a 染色考
 
かばちゃ 天和の頃、「そうてんがらちゃ」の名ありて、一時の流行たり。
紅とび
やまと柿
ときがら茶
照柿 「丹土ニド染」、古名「くちばいろ」
 
遠州茶 元おりものゝ地色にして、小堀遠州侯の好み給ふところと云ふ。
黄雀キガラ茶 古名「きはちぞめ」
もえぎ 古名「みどり」
松葉色 古名「とくさいろ」、寛政年中「あゐびろうど」の名ありて、一時の流行たり。
せいさい茶 当世「さわらび」と号。
 
あゐみる茶
みる茶 俗に「こんびらう」と云ふ。
鉄おなんど
藍墨アイスミ茶 根津権現の祭礼の節、浅草にて三右衛門助七なんど争論の折から、双方和
 談調ひたる祝儀にとて、この色を新たに染めさせ著揃へたりしより、「あゐすみ茶」
 の名こゝに始まれり。
ひわもえぎ 古名「浅みどり」
 
ひわ茶 古名「をみなへし」、「鴬茶」とも云ふ。
とくさいろ 一名「青茶」
ぬれば色 或は「青竹いろ」とも云ふ。
柳ねずみ 俗に「豆がら茶」
草柳 当世通名「梅幸茶」
 
笹の青 一名「しら花いろ」
うら柳 古名「青色」
利休茶 千家に見るところ、当代通用の色目に反す、是か非か。
勝軍色カツイロ 一名「ぬるでなんど」とも、又「ゑぶりいろ」とも云ふ。
沈香茶トノチャ
 
あゐとの茶
御召茶
御召おなんど
柳すゝ竹
ねずみ 古名「にぶいろ」「こきつるばみ染」と云ふ。
 
こい鼠 俗に「どぶねずみ」と云ふ。
あゐねずみ
紅ねずみ
あゐなまかべ
生壁ねずみ
 
みなと鼠 この頃流行して、「深川ねずみ」と云ふ。
藤ねずみ
はと羽鼠
藤すゝ竹
ぶどう鼠 古名「えびぞめ」で、「薄葡萄」と「葡萄」の二種あり。
 
紅けし鼠 古名「くろがき」
おなんど
あゐおなんど
紅みなと
いは井茶
 
ろかう茶
こび茶
藍こび茶 一名「りくわん茶」
きみる茶
高麗なんど
 
威光茶 或は「柳茶」とも云ふ。
水がき 俗に「ときあさぎ」
桑茶
錫色 又当世「ぎん鼠」と云ふ。
柿兼房カキケンボウ色
 
紅ひわいろ
                   (手鑑模様節用 新古染色考説 附 色譜)
 
△茶ぞめ総名に品ある事
 
「濃ちゃ」とは、とうせいちゃ、がまちゃ、てうじちゃ、さうでんちゃ、こげちゃ、き
 ゃらちゃ、くりかはちゃ、もゝしほちゃ、すゝたけちゃ、てうせんすゝたけちゃの十
 色
 
「薄ちゃ」とは、やなぎちゃ、うぐひす茶、白茶、すみるちゃ、すこぶちゃの五色
 
「灰汁アク茶」とは、からちゃ、きがらちゃ、むかしから茶、しゆすちゃ、くはちゃの五
 色
 
「花いろ」に下染する茶とは、あいみるちゃ、なんど茶、せんざん茶、御召茶、金いろ
 ちゃ、茶びろうどの六色
 
「ちくさ色」に下染する茶とは、あをちゃの一色
 
「うすあさぎ」に下染をし、また「青柳ちゃ」は「こいあさぎ」に染る茶とは、ひはち
 ゃ、あいこぶちゃの二色
 
「紺とび」は下染「花色」に染る。「あいとび」は下染「そら色」に染る。「中とび」
 「あかとび」「紫とび」「黒とび」「ひはたいろ」は下染なし。
 
 其外茶染め類に、様々の品あれども、紛らわしき色の分は記さず(染物重宝記)
 
△染物匂ひを去る事
 
何色にてもにほひあり、別して黒に匂ひあり、夜風に一夜あつれば、にほひさるなり。
                                    (同)
△小紋手鑑
 
鱗がた、七宝形、あられ、伊予すだれ、滝、青海波、ぐりぐり、きねがた、さやがた、
ねぢ梅、亀甲、立わく、いちまつ、菱形、杢目、千筋、折鷺、朽木形、あみ形、篭目、
さめ、将碁駒、矢筈、くつわ、瓢、やなぎ、桜、紅葉、石竹、菊、わらび、てふ、千鳥、
しのぶ、笹、鶴、貝、茶筌(小紋手鑑)
[詳細探訪(古来の植物染色「草木染」)]
[次へ進む] [バック]