花一時(いっとき)、人一盛り。 解釈:何事も盛りは短い。花の満開期はほんの数日であり、人生の盛りの時 期も僅かだということ。 類義:花も一時。 花多ければ、実少なし。 解釈:花が沢山咲く木には実は少ない。上辺を飾る人には真実味が少ないと いうたとえ。 類義:巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すくな)し仁。 反義:花も実もある。 鼻欠け猿が、満足な猿を笑う。 解釈:正しい事も大勢の間違った考えには押し切られてしまうということ。 また、仲間が多ければ、自分達の欠点が欠点と自覚されないということのたと え。 類義:九百九十九匹の鼻欠け猿が、満足な一匹を笑う。千匹の鼻欠け猿。 端(はな)から和尚はいない。 解釈:物事には段階があって、順序を踏まなければならないということ。 類義:沙弥(しゃみ)から長老にはなれぬ。 鼻薬を嗅がせる。 解釈:一寸した便宜を図って貰うために使う小額の賄賂(わいろ)。 類義:鼻薬を飼う。 鼻糞が目糞を笑う。 解釈:自分の欠点には気が付かず、相手の欠点を論(あげつら)って馬鹿に することのたとえ。他人の欠点はよく気が付くが、自分の欠点は中々見えない ものだ。 類義:猿の尻笑い。目糞、鼻糞を笑う。 鼻糞で鯛を釣る。 解釈:詰まらない物でも大きな利益を得ること。 類義:蝦で鯛を釣る。 花曇り七日。 解釈:桜の花時には、冬の気圧配置が夏型に変わる時期で、天気も変わりや すく、薄曇りの日が続くこと。 鼻毛を抜く。 解釈:相手を出し抜くこと。また、誑(たぶら)かすこと。 類義:鼻毛を読む。 鼻毛を読む。 解釈:女が自分に惚れ込んで、現(うつつ)を抜かしている男の心中を見抜 き、それに付け込んで翻弄(ほんろう)すること。 類義:鼻毛を数える。鼻毛を抜く。 鼻先思案(はなさきしあん)。 解釈:ほんの軽い考え。目先の事だけ考えて、軽はずみに結論を出すこと。 類義:咽元思案。鼻先知恵。 反義:深謀遠慮(しんぼうえんりょ)。 花咲く春に遇う。 解釈:今まで不遇でいた人が、時節に巡り合って世に出ること。凡河内躬恒 (おおしこうちのみつね)の歌「三千年になるてふ桃の今年より花咲く春にあ ひにけるかな」から。 話し上手の、聞き下手。 解釈:話の上手い人は、自分の言葉に酔ってしまい、相手の話を謙虚に聞く 気持を忘れてしまう。つい一方的に喋って、相手の話を聞くゆとりがないとい うこと。 類義:話し上手に、聞き下手。 反義:話し上手は、聞き上手。 話し上手の、仕事下手。 解釈:口ばかり達者で、仕事はさほどでもない人に対する皮肉の言葉。 類義:話は立っても、足腰立たぬ。 話し上手は、聞き上手。 解釈:本当に話の上手い人は、自分の話に相手の耳を傾けさせ、また相手に も十分話させて、その言い分をよく聞くものだ。 反義:話し上手の、聞き下手。 話では腹は張らぬ。 解釈:幾ら上手い話を聞かされても、腹の足しにはならない。どんないい話 でも実行が伴わなければ何にもならないということ。 参考:The belly not filled with fair words.(腹は巧言では満たされぬ) 話の蓋は取らぬが秘密。 解釈:大事なことは、迂闊に人に喋ってはいけないということ。 話は下(しも)で果てる。 解釈:大概の話は、話しているうちに段々下がってきて、下の話で終わる。 類義:下衆(げす)の話は糞で収まる。話が下へ回ると仕舞になる。話ゃ糞 になる。 話は立っても、足腰立たぬ。 解釈:話は筋道が立って立派だが、実行しないことをいう。 反義:不言実行(ふげんじっこう)。有言実行(ゆうげんじっこう)。 話は迎えに行く。 解釈:人の噂話をしていると、奇妙にその人がやって来る。まるで噂話がそ の人を迎えに行ったようである。 類義:噂をすれば影。呼ぶより謗(そし)れ。 話半分。 解釈:話は尾鰭(おひれ)を付けて面白可笑しく語られることが多いので、 聞く方は半分くらいに割り引いて聞けば、丁度よいということ。 類義:仲人口は半分に聞け。話半分、嘘半分。話半分、絵空言(えそらご と)。 話を画(え)に描いたよう。 解釈:たとえ話を誇張して絵にしたような、あまりに話が上手過ぎて信用で きない、ほとんど真実性のないことのたとえ。 花好きの畑に、花が集まる。 解釈:好きな人の所へは、自然にその人が好きな物が集まってくるというこ と。 類義:金が金を呼ぶ。類は友を呼ぶ。 洟(はな)垂らし順送り。 解釈:幼い子供達も、上から順々に成長していくこと。 類義:洟垂れ子も次第送り。 鼻面(はなづら)に藤を通す。 解釈:人を酷使することのたとえ。牛の鼻に通す輪の代わりに藤蔓を通すと 痛いので、牛は大人しく服従する。 花七日。 解釈:花の盛りの短いことのたとえ。桜の花が咲いてから散るまでは七日間 といわれるほど短いことから。 類義:桜は七日。 花に嵐。 解釈:折角美しく咲いた桜の花に、春先の突風が襲って散らしてしまう。と かく物事には邪魔が入りやすく、思うに任せないこと。 類義:月に叢雲(むらくも)、花に風。花には嵐の障りあり。花発(ひら) いて、風雨多し。 花に三春(さんしゅん)の約(やく)あり。 解釈:春になって花が咲くのは、約束でもしてあったかのように狂いがない。 「三春」は春の三ヶ月、孟(初)・仲・季(晩)のこと。 花盗人は風流のうち。 解釈:花の美しさに惹かれて、つい一枝折り取るのは、風流心に免じて咎め ないで欲しいということ。一脈通ずる歌で、藤原公任(ふじわらのきんとう) の作「われが名は花盗人と立てば立てただ一枝は折りて帰らん」がある。 花の下より鼻の下。 解釈:風情(ふぜい)よりは口過(くちすぎ)の方が先ということ。ひもじ い思いをしていては、花を愛でる心のゆとりも生まれない。 類義:花より団子。 花の降る日は浮かれこそすれ。 類義:雪の降る夜は寒くこそあれ。 花は折りたし、梢は高し。 解釈:美しい花を手折りたいが、その梢が高くて手が届かない。中々思うよ うにはいかないということ。 類義:高嶺(たかね)の花。 花は桜木、人は武士。 解釈:花の中でも桜が一番であるというように、人の中でも武士が優れてい るということ。桜は一時咲いて、散り際も見事なところから、武士の生き方の 潔(いさぎよ)さと並べて賞揚した言葉。 類義:木は檜、人は武士。花は三吉野、人は武士。 鼻柱(はなばしら)が強い。 解釈:向こう気が強くて、中々人に譲らないことをいう。 花は根に帰る、鳥は古巣に帰る。 解釈:物事には曲折があっても、結局全て元に戻るということ。 類義:花は根に、鳥は古巣。 花は根に、鳥は古巣。The flower returns to the root, and the bird returns to the old nest. 活用⇒人は、最後には故郷へ帰る。The person returns to the hometown last. 花は山、人は里。 解釈:物にはそれぞれに相応しい場所があるということ。桜の花は山奥に人 知れず咲いているのが美しく奥ゆかしい。だが人は里に出てみなければ、これ という人と巡り合うこともない。 花発(ひら)いて風雨多し。 解釈:花の咲く季節にはとかく風や雨が多いもので、物事にも邪魔は付き物 である。世の中は思うようにはならないということ。 鼻へ食うと長者になる。 解釈:灯火の油を節約して暗所で手探りで食事をするような人は、金持にな るというたとえ。 花も一時(いっとき)。 類義:花一時、人一盛り。 花も折らず、実も取らず。 解釈:花と実の両方を欲しがって両方とも取れないように、あれもこれもと 狙っていて、結局どれも得られないこと。欲張り過ぎて失敗するたとえ。 類義:虻蜂(あぶはち)取らず。二兎を追う者、一兎を得ず。 反義:一挙両得(いっきょりょうとく)。一石二鳥。 花も実もある。 解釈:外見が美しいだけでなく、実質も備わっていること。名実共に優れて いる、義理も人情もよく弁(わきま)えていて、配慮が行き届いていること。 類義:色も香(か)もある。 反義:花多ければ、実少なし。 花より団子。 解釈:名よりも実を尊ぶことのたとえ。美しい花を見る楽しさより、美味し くて腹の膨れる団子の方がよいという実利主義。また、無風流なことのたとえ。 類義:一中節(いっちゅうぶし)より鰹節。酒なくて何の己が桜かな。花の 下より鼻の下。 鼻をかめと言えば、血の出る程かむ。 解釈:人に指図されると、面当て(つらあて)がましく度を越した行動を執 ること。我侭で協調性のない人を非難する言葉。 類義:そっと申せば、ぎゃっと申す。 花を持たせる。 解釈:相手を立てること。相手に名誉を譲る配慮。 歯に衣(きぬ)着せぬ。 解釈:相手の思案など構わずに、思ったことをずけずけと言うこと。 反義:奥歯に衣着せる。 跳ね火、子に払う。 解釈:わが身の危急を免れるためには、わが子の方へ火の粉を払うようなこ ともするということ。 類義:熱火(あつび)を子に払う。 反義:焼け野の雉子(きぎす)、夜の鶴。 跳ねる馬は死んでも跳ねる。 解釈:持って生まれた性癖は中々抜けないものだということ。 類義:雀百まで踊り忘れぬ。 母方より、食い方。 解釈:親類の問題よりも自分の暮らしの方が大切であるということ。 祖母(ばぱ)育ちは、三百文安い。 解釈:祖母に甘やかされて育った子は、しっかりしたところがないことをい う。 類義:後家育ちは三百安い。慈母に敗子(はいし)多し。祖母育ちは銭が安 い。 母の折檻(せっかん)より、隣の人の扱いが痛い。 解釈:親の折檻には慈愛が籠っているが、他人は上辺だけで真心がないこと。 類義:親の打つ拳(こぶし)より、他人の摩(さす)るが痛い。 歯亡び、舌存す。 解釈:ただ強靭な物はかえって早く駄目になり、柔軟な物が何時までも生き 残ることができるというたとえ。中国老子(ろうし)が常従(じょうしょう。 手偏+従)という友人を見舞い、その歯がすっかり駄目になっているのを見て、 「舌は柔らかいが無事で、歯は堅いから駄目になったのだ」と言い、常従は 「天下の事はこの一事に尽きる」と言ったという故事による。 類義:高木(こうぼく)風に折らる。歯墜(お)ちて、舌尚存す。柳に雪折 れなし。 蛤(はまぐり)で海を換える。 解釈:蛤の貝殻で海水を汲み換えるということから、自分の狭い見聞を尺度 にして大きな問題を議論する愚かしさをいう。 類義:貝殻で海を量る。針の穴から天上覗く。針を以て地を刺す。 浜の真砂(まさご)。 解釈:浜辺の美しい砂粒のように、無数にあって数え切れないことのたとえ。 羽目(はめ)を外す。 解釈:調子に乗って度を過ごすこと。 鱧(はも)も一期(いちご)、海老も一期。 解釈:人間の一生は生まれや育ち、境遇や考え方など千差万別だが、生まれ て高々数十年を生きて死ぬということでは、皆同じであるというたとえ。 類義:蛇(じゃ)も一生、蛞蝓(なめくじ)も一生。十年の亦死し、百年も 亦死す。 |