裸一貫(はだかいっかん)。 解釈:自分の健康な身体以外に何も資本がないこと。何も無いということを 逆手にとって、積極的に生きようという気概を表した言葉。 類義:腕一本。裸百貫。褌(ふんどし)一貫。 裸馬に怪我なし。 解釈:乗客や荷物を載せていない馬のように、財産を持たない者は損のしよ うがないということ。 類義:空馬(からうま)に怪我なし。 裸馬の捨て鞭。 解釈:財産をすっかり無くして無一物になった人が、一層捨て鉢になって無 茶をすること。 裸で道中はならぬ。 解釈:全く金を持たずに旅はできない。何をするにもそれなりの準備が必要 であるというたとえ。 裸で物を落とさず。 解釈:持っていない物を落とす訳がない。あり得ないことをたとえていう。 類義:裸馬、鞍返さず。裸で物を落とす例(ためし)なし。裸人形物落とさ ず。 裸で柚子(ゆず)の木に登る。 解釈:向こう見ずの勇気。苦痛のたとえ。柚子の枝幹、葉の付け根には棘が 多く、その木に裸で登ろうとする無鉄砲さをいった言葉。 裸百貫。 解釈:男は無一物でも、働いて稼ぐことができるので、百貫文の値打ちがあ るということ。 類義:裸一貫。裸花婿(はなむこ)百貫。裸百匹。 畠あっての芋種(いもだね)。 解釈:どんなに種がよくても、畑が無ければ子は生まれない。女親がよくな くては、よい子は生まれないということ。 畠水練(はたけすいれん)。 解釈:畑の中で水練をするの意で、空理空論をたとえていう。理論には通じ ていても、実際とは掛け離れていて、役に立たないことをいう。 類義:炬燵水練(こたつすいれん)。畳水練。 畠に蛤(はまぐり)。 解釈:畑を掘って蛤を探すように、あり得ないこと、見当違いのことを求め るたとえ。 類義:木に縁りて、魚を求む。畠に蛤掘っても無い。 二十後家(はたちごけ)は立つが、三十後家は立たぬ。 解釈:結婚生活の経験の浅い若妻は、夫に先立たれても独身で通せるが、長 く結婚生活を味わって未亡人となった女性は、禁欲生活が守り切れず、再婚し やすいということ。 類義:十八後家は立つが、四十後家は立たぬ。 二十過ぎての意見と、彼岸過ぎての肥(こえ)は効かぬ。 類義:矯(た)めるなら、若木のうち。 肌に粟を生ず。 解釈:さっと血の気が引いて肌が鳥肌立つほど、恐ろしい場面に遭遇するこ とのたとえ。 類義:身の毛が弥立つ(よだつ)。 機(はた)は裏から解かせ、話は本(もと)から話せ。 類義:始めを言わねば、末が聞こえぬ。 働けば回る。 解釈:よく働いて稼げば、それに連れて金回りもよくなる。また、よく働い ていれば、体が錆び付かないということ。 八月柴(はちがつしば)は嫁に焚かすな。 解釈:ただでさえ熱い八月に、更に熱い火を焚かせるような辛い仕事を妻に させるなということ。 類義:夏の火は娘に焚かせよ、冬の日は嫁に焚かせよ。 反義:夏の火は嫁に焚かせ。 破竹の勢い。 解釈:竹を割るとき、始めの一節を割れば、後は一気に割れることから、留 め難いほど激しい勢いをたとえた言葉。 類義:飛ぶ鳥を落とす。 八細工(はちざいく)七貧乏(しちびんぼう)。 解釈:あれもこれもできるという多芸多才の人は、一事に専念できないで結 局何一つ成し遂げられず貧乏することが多いということ。器用過ぎると、どの 道にも大成できないという戒め。 類義:器用貧乏。細工貧乏、人宝。七細工八貧乏。 八十の手習い。 解釈:年を取ってから新たな勉強を始めること。人生は一生が勉強だから、 幾つで始めても遅過ぎるということはない。 類義:七十の手習い。八十の手習い、九十の間に合う。六十の手習い。 反義:老いての後学。少年老い易く、学成り難し。 参考:It is never too late to learn.(学問をするのに、遅過ぎるという ことはない) 八十八夜の針長け(たけ)。 解釈:八十八夜は、立春から数えて八十八日目で、五月二、三日頃に当たる が、その頃には稲の苗が針ほどの大きさに育っているのが、農作業の目安だと いうこと。 八十八夜の別れ霜。 解釈:八十八夜を過ぎると晩霜の恐れもなくなるということ。この時期を種 蒔きの目安にした。 類義:五月五日の別れ霜。八十八夜の忘れ霜。 蜂の巣を突(つつ)いたよう。 解釈:上を下への大騒ぎ。大勢の人が騒いで手も付けられないような混乱振 りをいう。 類義:蜂の巣に礫(つぶて)を打ち付けたよう。 罰は目の前。 解釈:悪行をなすと報いが直ぐに現れるという戒め。因果応報の一巡の速さ をたとえた言葉。 類義:因果は皿の縁(ふち)。天罰覿面(てんばつてきめん)。 八分(はちぶ)は足らず、十分(じゅうぶん)は零(こぼ)れる。 解釈:物事が八割方成就すれば、あと一息と思って満足しないが、そうかと いって完全に達成すればゆとりがなくなって欠けるところもできてくる。十全 を望まず、ほどほどのところで満足するのがよいということ。 類義:十分は零れる。腹八分目。 八面六臂(はちめんろっぴ)。 解釈:八つの顔と六つの肱(ひじ)を持った仏像からきた言葉。一人で多方 面に、また数人分の手腕を発揮するたとえ。 類義:口も八丁、手も八丁。三面六臂。 二十日鼠も獣の中(うち)。 解釈:幾ら小さくて弱い二十日鼠でも、獣の仲間であることに違いない。同 類は同類。 類義:ぼうふり(棒振)も虫の中。 白駒(はっく)の隙(げき)を過ぐるが如し。 解釈:年月の経つのが非常に早いことのたとえ。人間の一生は、白馬が走り 過ぎるのを壁の隙間から垣間見るように一瞬である。 類義:烏兎怱怱(うとそうそう)。光陰矢の如し。暇過ぐる駒。隙行く駒。 八卦裏返り。 解釈:占いは反対に出ることが多いということ。 類義:夢は逆夢(さかゆめ)。 八卦の八つ当たり。 解釈:占いは当たることもあれば、当たらないこともある。どう出ようとさ ほど気にすることはないということ。 類義:当たるも八卦、当たらぬも八卦。 跋扈(ばっこ)。 解釈:のさばり蔓延(はびこ)ること。思うままに振る舞うこと。権威を欲 しいままにして上を凌ぎ犯す意。 八歳の翁、百歳の童(わらべ)。 解釈:幼くても老人以上に思慮深い者もいれば、年を重ねていても考えが子 供以下という未熟な者もいる。人の器量は年齢では測れないということ。 類義:八十歳の三つ子、三歳の翁。 這っても黒豆。 解釈:はっきり結論が出ているのに、その結論に従わず、自説を曲げず強情 を張ること、またそのような人のたとえ。 類義:榎(え)の実は成らば成れ木は椋(むく)の木。這うても黒星。 八百八商売(はっぴゃくやしょうばい)。 解釈:商売の種類が多いことを語呂よくたとえたもの。 八方美人(はっぽうびじん)。 解釈:どの点から見ても欠点の無い美人ということから、誰に対しても如才 (じょさい)なく振る舞う人。いろいろの方面に抜け目なく対応する人を軽ん じていう。 八方塞(ふさ)がり。 解釈:陰陽道(おんみょうどう)で、どの方角も不吉であるということから、 どの方面にも障害があって手の打ちようのないこと。また、誰からも信用をな くして、頼る所がなく、途方に暮れること。 抜本塞源(ばっぽんそくげん)。 解釈:一番元になる原因を抜き取り、本源の弊害を塞ぐこと。 初物七十五日。 解釈:その年の初めての物を食べると、七十五日寿命が延びるという俗信。 初雪は目の薬。 解釈:初雪の美しさを褒めた言葉。 破天荒(はてんこう)。 解釈:今まで誰一人としてやれなかった事を成し遂げること。「天荒」は未 開の荒地のこと。かつて中国で官吏登用試験に及第した者のなかった荊州(け いしゅう)から初めて劉蛻(りゅうぜい)が合格したのを、人々が「天荒を破 った者」と呼んだ故事による。 類義:前代未聞(ぜんだいみもん)。未曾有(みぞう)。 鳩に三枝(さんし)の礼あり、烏に反哺(はんぽ)の孝あり。 解釈:礼儀と孝行を重んじることを説いた言葉。 類義:烏に反哺の孝あり。反哺の孝。 鳩に豆鉄砲。 解釈:突然のことにびっくりして、きょとんとしている有様をいう。 類義:豆鉄砲をくった鳩のよう。 鳩の豆使い。 解釈:使いの途中で道草を食ってしまい、帰るのを忘れること。 類義:猫に魚の番。鳩の使いに豆。 鳩を憎み、豆を作らぬ。 解釈:畑に蒔いた豆を鳩が啄(ついば)むのを嫌って、豆を栽培することを 止めてしまう。枝葉のことに拘って、本来の仕事を怠る本末転倒を戒めた言葉。 類義:鳩懲らすとて、豆蒔かぬ。 |