亭主、関白(かんぱく)の位(くらい)。 解釈:一家の主人はその家の中では一番の権威者であるということ。 類義:主(あるじ)関白。亭主関白の位、嬶(かかあ)左衛門尉(さえもんのじょう)。 反義:嬶天下。女房は山の神、百石の位。 亭主三杯、客一杯。 解釈:客に酒肴(しゅこう)を勧めるために、亭主が客よりも多く酒を飲む こと。 類義:亭主八杯、客三杯。 亭主と箸は強いがよい。 解釈:弱気な亭主と折れやすい箸は困りものだということ。 類義:箸と主(しゅう)とは太いがよい。 亭主泣かせの雨。 解釈:朝は晴れていたのに、途中から天気が崩れて雨になること。こんな日 は人を使う戸外の仕事はお手上げになる。 亭主の好きな赤烏帽子(あかえぼし)。 解釈:烏帽子は黒塗りが普通だが、一家の主(あるじ)が赤い烏帽子が好き だと言えば、家族はこれに同調せざるを得ないとしいうこと。たとえ非常識な ことでも、家父長の言い分は通る。 類義:亭主が好きなら、薦(こも)でも被れ。亭主の好きな赤鰯。 亭主の好きを客に振る舞う。 解釈:自分の好きな物は他人も好むだろうと単純に考えて、これを客にも振 る舞うこと。 類義:我が好きを人に振る舞う。 貞女、両夫に見(まみ)えず。 解釈:貞操堅固な女性は、生涯一人の夫しか持たない。儒教に基づく教えで、 女性の再婚を厳しく拘束したもの。 泥酔(でいすい)。 解釈:酔っ払ってしまって正体がないことをいう。 手一合。 解釈:両手で掬(すく)うと、約一合(180ml)の量になるということ。 泥中(でいちゅう)の蓮(はす)。 解釈:泥沼の中に生えながら清らかに咲く蓮の花にたとえて、周囲の汚い環 境の中にあって、清廉潔白(せいれんけっぱく)に生きることの素晴らしさを いったもの。 丁寧早(ていねいばや)は出来ぬ。 解釈:入念な仕事をすれば、どうしても時間がかかる。急げば仕事は粗雑に なるということ。 丁寧も時による。 解釈:急ぐときには、念を入れ過ぎず、とにかく間に合わせることが肝心だ というたとえ。念を入れ過ぎて間に合わなければ何にもならない。 鼎立(ていりつ)。 解釈:鼎(かなえ)の三本の脚のように、三つの勢力がお互いに向き合って 対立すること。 手が明(あ)けば、口が明く。 解釈:仕事の手が空けば、食べる方が留守になる。余裕のないその日暮らし の意。 類義:叩き止めば、食い止む。 手書きあれども、文(ふみ)書きなし。 解釈:文字を上手に書く人は多いが、文章を上手に書ける人は少ないものだ。 手加減の一人舌打ち。 解釈:自分で味付けをした料理を、自分で褒めながら食べること。 類義:自画自賛。手前味噌で塩が鹹(から)い。 敵に糧(かて)。 解釈:敵軍に食糧を与える。敵に便宜を図り、利益を与えること。 類義:寇(あだ)に兵を藉(か)し盗(とう)に糧を齎す(もたらす)。敵 に刃物を預ける。盗人に鍵を預ける。 敵に塩を送る。 解釈:ライバルが競合分野でない面で困っているとき、その部分を援助する こと。戦国時代、上杉謙信(うえすぎけんしん)が敵対する武田信玄(たけだ しんげん)に塩を送って助けたという故事に基づく。 敵に味方あり、味方に敵あり。 解釈:敵方の人間は全て心の許せぬ者ばかりとは限らないし、味方は全て信 頼のおける者ばかりとも限らない。 敵は本能寺(ほんのうじ)にあり。 解釈:本当の目的は別の所にあること。明智光秀(あけちみつひで)が織田 信長(おだのぶなが)を本能寺に襲ったとき、本心を隠して備中(びっちゅう) の毛利(もうり)氏を攻めると称して出陣し、途中で急に方向を変え、「わが 敵は本能寺にあり」と言って主君を討った故事による。 敵もさるもの引っ掻くもの。 解釈:敵も流石に優れた者だという意。 梃子(てこ)でも動かぬ。 解釈:どうやってもびくともしないこと。人の意志や態度が堅く、どんな手 段を以ってしても、動かし難いことのたとえ。 手塩(てしお)にかける。 解釈:自分の手で世話をし、面倒をみて養い育てること。 弟子は師匠の半減(はんげん)。 解釈:弟子の学力が先生の学力を超えることは難しいということ。 類義:弟子賢しとも、師の半学に如(し)かず。弟子はその師に勝らず。 反義:青は藍より出でて藍よりも青し。 手酌貧乏(てじゃくびんぼう)。 解釈:酒席で自分で酌をして飲むのは、如何にも貧乏臭いし、見っとも無い という意。 類義:手酌は恥の元。 手千両。 解釈:手先が器用なこと。また、技術を身に付けていることは有利だという こと。また、能筆は一生の宝という意味もある。 類義:手は宝。手は娘。 手出し十層倍(じっそうばい)。 解釈:喧嘩のとき、先に手出しをした方の罪科は大きいということ。 鉄心石腸(てっしんせきちょう)。 解釈:鉄や石のように堅固な精神と、困難や誘惑に負けない志の高さのこと。 活用⇒堅い精神と高い志。Stiff spirit and noble ambition. 類義:鉄石心腸。鉄腸石心。 徹頭徹尾(てっとうてつび)。 解釈:始めから終わりまで。何処までも。押し通して。頭から尾まで突き通 すこと。 類義:一から十まで。終始一貫。首尾一貫。 用例:徹頭徹尾反対する。 参考:Thoroughly. 鉄は熱いうちに打て。 解釈:鉄は、真っ赤に解けて柔らかいうちに打てば、どのようにも鍛え上げ ることができる。人間も純真で感性の柔らかい若年のうちに十分に鍛えないと 効果が上がらない。好機逸すべからずというたとえ。 活用⇒人は若いうちに鍛えよ。Train the person before it is young. 類義:矯(た)めるなら若木のうち。 参考:融点 鉄1,535℃、錬鉄(鍛鉄・純鉄)1,530℃、鋼鉄1,400℃、銑鉄 (鋳物用銑鉄(鋳物銑))1,200℃。Strike while the iron is hot.の訳語。 轍鮒(てっぷ)の急(きゅう)。 解釈:車の轍(わだち)に溜まった水溜まりにいる鮒(ふな)が喘(あえ) いでいるような、差し迫った危難のたとえ。 類義:遠水、近火を救わず。牛蹄(ぎゅうてい)の魚。焦眉(しょうび)の 急。 鉄砲玉の使い。 解釈:行ったきりで帰って来ない使者。やりっ放しで、後の報告がないこと。 類義:雉子(きぎし)のひた使い。鉄砲玉の使いで行ったきり。鉄砲玉の飛 脚。 鉄面皮(てつめんぴ)。 解釈:鉄のように厚い顔の皮。恥を恥とも思わない厚かましさ。またその人 のこと。 類義:厚顔無恥(こうがんむち)。面の皮が厚い。面の皮の千枚張り。 鉄物は敵(かたき)の末にも貸せ。 解釈:鉄でできた道具は、使わないと錆び付くから、誰にでも貸して使って 貰う方がよい。 手でする事を足でする。 解釈:正しい方法を取らず、間違ったやり方をすること。まともな方法によ らず、いい加減にやってしまうこと。 蝸牛(ででむし・でんでんむし)が日和(ひより)を知る。 解釈:世間が狭く見聞の乏しい者が、天下の形勢について考えること。しな くてもよい身分不相応の言行のこと。 手鍋(てなべ)を下げる。 解釈:質素で貧しい暮らしのたとえ。雇い人を使わず、主婦が自ら煮炊きを する暮らし。 手習いは坂に車を押す如し。 解釈:学問は、少し油断をして怠けると、直ぐ後戻りしてしまうので、少し ずつでも毎日、休みなく勉強していかなくてはならない。 活用⇒毎日少しずつ勉強しなさい。Study little by little every day. 手に汗を握る。 解釈:緊張しながら見物すること。危険な物事に出遭ったり、勝負事を熱中 して見ているとき、思わず握り拳(こぶし)を固めてしまうが、その時掌(て のひら)はじっとりと汗ばんでいる。 類義:息を呑む。固唾(かたず)を呑む。手を握る。 手に据(す)えた鷹を逸(そ)らしたよう。 解釈:大切な物を失って、がっくりと気落ちすること。失望落胆すること。 類義:手に取りたる物を失いたる心地(ここち)。手に持った物を落とした よう。手の物を落としたよう。 手の裏を反すよう。 解釈:掌(てのひら)を返すように、僅かの間にがらりと変わること。簡単 に態度を変えること。 類義:掌を反す。手を反す。反掌。 手の無い将棋は負け将棋。 解釈:将棋では、攻める手も、守る手も全く無くなってしまうことがある (手詰まりという)。結局、負けということになる。 手の無い相撲。 解釈:力が強いばかりで、技(わざ)のない相撲。策略のないやり方で、押 していく以外に方法がないことのたとえ。 手の舞い足の踏む所を知らず。 解釈:思わず小躍りして喜ぶ様。有頂天。 類義:欣喜雀躍(きんきじゃくやく)。 出日(でひ)拝む者はあっても、入り日拝む者なし。 解釈:日の出の勢いの権勢者の所へ出入りする者は沢山あるが、落ち目の人 の所に寄り付く人はない。 手ぶっちょうの口八丁。 類義:口自慢の仕事下手。 出船に船頭待たず。 解釈:帆船は風任せだから、一旦追風(おいて)が吹いてくれば、肝心の船 頭が不在でも待ってはいられず、出帆してしまうこと。好機が到来すれば待っ ていてはいけないという教え。 出船によい風は、入船に悪い。 解釈:両方に都合がよいことはない、両方によい顔はできないということ。 類義:彼方(あちら)立てれば、此方(こちら)が立たぬ。あなたを祝えば、 こなたの怨み。 手前味噌で塩が鹹(から)い。 解釈:自分で作った味噌なら、少々塩辛くても旨いと思ってしまうこと。 類義:手加減の一人舌打ち。 手前味噌を並べる。 解釈:自分で自分の事を褒め立てること。あれこれと身内の自慢を並べるこ と。 手飯(てめし)で力持。 解釈:手弁当で他人のために骨を折ること。何の得にもならないのに、他人 の世話を焼くこと。 類義:我が物食うて、主(あるじ)の力持。 手も足も付けられない。 解釈:事情が込み入っていて、何をどうしたらよいかさっぱり分からない。 手の付けようがない事態のたとえ。 類義:手の出しようがない。手も足も出ない。 手も足も出ない。 解釈:施す術(すべ)なく、お手上げの状態。どうしようもなく、困りきっ た様子。 出物(でもの)腫れ物、所嫌わず。 解釈:おならやおできは、出る場所が決まっていないので困る。うっかりお ならが出てしまったときなどに弁解する言葉。 類義:出物腫れ物時知らず。 寺から里へ。 解釈:寺から檀家(だんか)に物を贈ること。物事の順序があべこべである ことのたとえ。 類義:鞍馬山から干鱈(ひだら)取る。山から里。 寺から出れば坊主。 解釈:寺から出て来る人は坊さんだと思う人が多いのだから、そう思われて も仕方がないというたとえ。 寺突き(てらつつき)の子は卵から頷(うなず)く。 解釈:啄木鳥(きつつき)の子は、雛のうちから首を上下するが、天性は自 然に早くから表れるものだというたとえ。「てらつつき」は啄木鳥の異称。 類義:栴檀(せんだん)は双葉より芳し(かんばし)。 寺に神楽があった。 解釈:神楽は神社にあるべきもので、寺にはない。あまり例のないことやあ り得ないことのたとえ。 類義:男猫が子を産む。雄鶏(おんどり)が卵を生む。 寺に勝った太鼓。 解釈:貧しい寺に不相応な太鼓が備えてあることから、貧乏に家に釣り合わ ない立派な道具があること。 類義:家に買った太鼓。 寺にも葬式。 解釈:他人の不幸を扱っている寺も、時には自家の葬式をしなければならな い。何事も自分に順番が回ってくるものだ。 寺の隣に鬼が棲む。 解釈:慈悲深い人の側には、無慈悲な人もいる。善人もいれば悪人もいるの が世の中の常である。 類義:寺の門前に鬼が棲む。仏の前に鬼が棲む。 参考:The devil lurks behind the cross.(悪魔は十字架の陰に潜む) 出る息、入る息を待たず。 解釈:人の生死は、吐き出した息が、吸う息に変わるほんの一呼吸の間も待 ってはいない。一瞬の後も当てにはならない命の儚(はかな)さのこと。 出る杭(くい)は打たれる。 解釈:才能があって頭角を現した者や、差し出がましいことをする者は、と かく他人の嫉(ねた)みを受けて憎まれたり邪魔されたりし勝ちだという意。 類義:大木は風に折らる。高釘(たかくぎ)必ず打たるる。出る杭は波に打 たれる。誉れは毀(そし)りの基。 参考:Tall trees catch much wind.(高い木は風辺りが強い) 出る船の纜(ともづな)を引く。 解釈:出航して行く船の纜を引いて止めようとする。既に仕様が無いのに、 未練たらしく振る舞うこと。 手六十(てろくじゅう)。 解釈:手習い、つまり文字を書く能力は、練習次第で六十歳までも上達し続 けるものである。 類義:算用十八、手六十。 手を拱(こまね)く。 解釈:物事を傍観する。また考え込んで何もしないこと。「拱く」は、両手 を胸の前で組み合わせて敬意を表す礼。 類義:拱手傍観(きょうしゅぼうかん)。 手を出して火傷(やけど)する。 解釈:知らない振りをしていれば済むものを、なまじ手を出したばかりに、 災いに遭ってしまうこと。 類義:火中の栗を拾う。雉子(きじ)も鳴かずば打たれまい。 |