天衣無縫(てんいむほう)。 解釈:天人の衣には縫い目が無いところから、詩歌などに技巧の跡が感じら れず、自然であること。また、飾り気のない性格のこと。 参考:Flawless. 天下泰平(てんかたいへい)。 解釈:何事も無く、世の中が平穏無事で平和なこと。また、安らかにのんび り暮らして、何の心配もなく、年の初めを迎える様子。「泰平」は太平とも書 く。 活用⇒天下太平。The whole country is peaceful. 天下と粉糠(こんか)。 解釈:音は似ているが、実際は全く違っていることのたとえ。 類義:うんか(浮塵子)と天下。しっぺたと頬っぺた。眼こじきに味噌漉し。 義経と向こう脛(ずね)。 天下法度(はっと)、三日法度。 解釈:「法度」は法律、禁令。法律が短期間に次々と変わり、治世の方針が 一貫していないこと。 類義:朝令暮改(ちょうれいぼかい)。 天下は回り持ち。 解釈:一人が何時までも天下を取っていられるものではなく、何れ他の手に 渡るものである。同様に好運・不運もあらゆる人に巡って来る。 活用⇒好運や不運は、ぐるぐる回っている。Luck and the misfortune turn round and round. 天から横に降る雨はない。 解釈:人が生まれ持った性質は、本来善であるということ。 活用⇒人の性質は、元々善である。The nature of the beast is originally good. 天下を取っても二合半。 解釈:「二合半」とは、一日に必要な米の量、一人扶持を表す。幾ら出世し ても、結局はそれだけの米しか必要ではない。欲張っても仕方が無いというこ と。 天機(てんき)、泄(も)らすべからず。 解釈:天の神の秘密は漏らしてはならない。重要な秘密を人に話してはいけ ないこと。 活用⇒重要なことは、漏らさない。An important thing is not leaked. 天狗の飛び損い。 解釈:日頃から得意にしていることを、思い掛けなく失敗すること。 類義:河童の川流れ。弘法(こうぼう)にも筆の誤り。猿も木から落ちる。 天狗にも飛び損ね。 天高肥馬(てんこうひば)。 解釈:秋の空は晴れ上がって高く、馬は食欲が増し、肥えて逞しく成長する。 好天が多く快適で凌ぎやすい秋の気候を表す。 類義:天高く馬肥ゆ。 天災は忘れた頃にやってくる。 解釈:自然の災害はその恐ろしさを忘れた頃になって襲ってくるものであり、 備えがなければ被害も大きい。日頃の用心が大切である。 参考:寺田寅彦の言葉とされる。⇒鎮守の森と「日本人の自然観」 天定まって、亦能(よ)く人に勝つ。 解釈:道理を破って悪人が栄えることがあっても、天の正道が元通りになり 安定すれば、邪悪は滅ぼされ、善が復活する。悪は一時的なものに過ぎないと いうこと。 活用⇒悪は一時的なものであるので、必ず正しい道徳が行われる。 Because evil is temporary, correct morality is done without fail. 天井から目薬。 解釈:効果のないことのたとえ。また、回りくどいことのたとえ。 類義:二階から目薬。 天井天下(てんじょうてんが)唯我独尊(ゆいがどくそん)。 解釈:天地間に自分より貴いものはないということで、人格の貴さを表す。 釈迦(しゃか)は生まれ落ちると直ぐ立ち上がり、片方の手で天を、もう片方 の手で地を指差し、七歩歩んで四方を見回し、この言葉を唱えたと伝えられる。 天壌無窮(てんじょうむきゅう)。 活用⇒天地は、無限に続く。The universe continues infinitely. 類義:天長地久。 天知る地知る我知る人知る。 解釈:他人は知らないからと不正を働いても、天地の神々が知っている。自 分自身も知っているし、不正の相手も知っている。悪事は必ず露頭するものだ という戒め。昔中国で、中央政府の要人である楊震(ようしん)に地方役人が 賄賂(わいろ)を贈ろうとしたとき、楊震がそれを断って言った言葉から。 「四知」ともいう。 活用⇒天も地も自分も皆も、各々の行いを全て知っている。The heaven, the earth, I, and everyone all know each doing. 類義:神は見通し。天知る地知る子知る我知る。天道様は見通し。 天神様の刀。 解釈:刀の反り上がりにたとえて、おだてに乗って思い上がること。 天真爛漫(てんしんらんまん)。 解釈:本性を顕(あらわ)にして、飾らず思いのままに振る舞うこと。無邪 気な様子。 参考:Innocence. 天水桶(てんすいおけ)に竜(りゅう)。 解釈:雨水を溜める小さな桶に竜は不似合いである。詰まらない所に思いが けなく優秀な人材がいること。また優れた能力を持つ者は、それを生かせない 地位では働かないこと。 類義:大魚は小池に棲まず。掃溜(はきだめ)に鶴。 天水桶の孑孑(ぼうふら)。 解釈:天水桶という狭い世界しか知らないボウフラは、それが全てであると 思い込む。限られた環境の中で生活していると、自分の持っている知識だけが 全てで、他の広い世界や、更に優れたものの存在に気付かないこと。 類義:井の中の蛙、大海を知らず。夏の虫、雪を知らず。 天高く馬肥ゆ。 類義:天高肥馬(てんこうひば)。 天地は万物の逆旅(げきりょ)。 解釈:天地は、あらゆる物が現れては、次々と消え去っていく、短い間の仮 の宿屋(逆旅)のようなものだ。生の儚(はかな)さを嘆く言葉。 天長地久(てんちょうちきゅう)。 解釈:天地が永遠不変で滅びることのないように、物事が何時までも変化す ることなく続いていること。 類義:天壌無窮。 点滴、石をも穿つ(うがつ)。 解釈:水の滴りでも、長い年月の間には、石に穴を開ける。微力であっても、 持続することによって偉大な成果を得られるたとえ。 活用⇒小さなことでも、長い間続けると、大きな成果を生む。It gives birth to the big result when continuing for a long time by a small thing. 類義:雨垂れ石をも穿つ。塵も積もれば山となる。水滴りて石穿つ。 天道様(てんとうさま)と米の飯は、何処へも付いて回る。 解釈:日の光と生きていける程度の米の飯は、どんな厳しい境遇に遭っても、 何とか得られるものである。 天道様は見通し。 解釈:お日様はあらゆる事を見てご存知だから、偽ったり隠したりすること はできない。 活用⇒お日様は全てを知っている。The sun knows everything. 類義:神は見通し。 反義:網、呑舟(どんしゅう)の魚を漏らす。天道(てんどう)、是か非か。 天に目なし。 天道(てんどう)、是か非か。 解釈:善人が栄え、悪人が滅びるのが、天の正道であるが、現実には悪人が 蔓延(はびこ)り、善人が苦しむことが多い。天は真に正しいものなのかどう か分からなくなる。物事の判断を付け難いときに用いる言葉。 反義:天道様は見通し。天道は親(しん)無し。天道、人を殺さず。天に眼 (まなこ)。 天道は親(しん)無し。 解釈:天の神は常に公平で、贔屓(ひいき)などしない。善人の味方である。 類義:天道に私なし。天に眼(まなこ)。 反義:天道、是か非か。天に目なし。 天道、人を殺さず。 解釈:神は善人を見離したりしない。 類義:神は両手で打たない。天に眼(まなこ)。 反義:天道、是か非か。天に目なし。 天に口あり、地に耳あり。 解釈:知る人はいない筈の秘密でも、何処からともなく漏れ、何時の間にか 広まってしまうものである。 類義:壁に耳あり、障子の目あり。天に口なし、人を以て言わしむ。 天に口なし、人を以て言わしむ。 解釈:天には口はないので、人の口を借りて、その意志を広めるものである。 活用⇒天は物を言わないが、人がそれを言うのである。The person says it though the heaven doesn't say. 類義:天知る地知る。天に口あり、壁に耳あり。天に口あり、地に耳あり。 天に眼(まなこ)。 天に跼(せぐくま)り、地に蹐(ぬきあし)す。 解釈:高い天にも頭がつかえるのを恐れて背を屈(かが)め、堅固な地面を 踏み抜くのを心配して抜き足で歩く。非常に恐縮している様。 天に唾(つばき)す。 解釈:天を仰いで唾を吐いても、天には掛からず、戻ってきて自分を汚すだ けである。人に害を与えようとすれば、結局自分自身がひどい目に会うという たとえ。 類義:空向いて石を投げる。寝て吐く唾は身に掛かる。身から出た錆。 天に二日(にじつ)無し。 解釈:天に太陽は一つしかない。一国の君主も二人いることはなく、一人と 決まっているということ。 天に橋を架ける。 解釈:見当違いの方向で、無駄な努力をすることのたとえ。 類義:木に縁(よ)りて魚を求む。 天に風雨、人に疾病(しっぺい)。 解釈:天候には大雨や暴風のような荒天があるように、人も思いがけない病 気に襲われることがあるので、気をつけなければならない。 類義:天に不時の風雲あり、人に旦暮(たんぼ)の禍福(かふく)あり。 天、二物(にぶつ)を与えず。 解釈:神は一人の人間に、多くの美点や才能を与えることはない。あらゆる 長所を持った完璧な人はいないので、皆何かしらの欠点を持っている。 活用⇒人は、完璧でない。The person is not perfect. 天に眼(まなこ)。 解釈:天の神は人の行動を全て見通して、それに相応しい賞罰を与える。 活用⇒天の神は、人間の行動を知っている。そして賞罰をする。The god of heaven knows the person's behavior. And, rewards and punishments are done. 類義:神は見通し、天に口なし、人を以て言わしむ。天の眼。天網恢恢 (てんもうかいかい)、疎にして漏らさず。闇夜に目あり。 反義:天道是か非か。天に目なし。 天に三日の晴無し。 解釈:晴天も三日と続くことはめったにないように、人生もよいことばかり があるものではない。 天に向かって唾(つば)を吐く。 類義:天に唾(つばき)す。 天に目なし。 解釈:神といってもあらゆる事を見ているわけではないから、少しくらい悪 事を働いても心配はないということ。 類義:網、呑舟(どんしゅう)の魚を漏らす。天道、是か非か。 反義:神は見通し。天に眼(まなこ)。 天の時は地の利に如(し)かず。 解釈:日柄の吉凶や天候を利用して敵を攻めるのは有利だが、地の利を得た 相手には通用しないということ。 天の配剤(はいざい)。 解釈:天は善人にはよい報いを与え、悪人には罰を下す。悪の栄えは一時的 ことで、必ず何時かは滅びる。「配剤」は薬を調合すること。 活用⇒天は善人を褒め、悪人を罰する。The god of heaven praises the good man, and punishes the bad man. 類義:神は見通し。天道は親(しん)無し。点に眼(まなこ)。 反義:天道、是か非か。天に目なし。 天の美禄(びろく)。 解釈:酒の別称。天の神から授かった美味しい物。 天馬(てんば)、空を行く。 解釈:天に住む馬が、空を自在に駆けるように、考えや行動が自由で、捉わ れることなく、その上失敗しない様。 活用⇒言動が、自由自在で、完全無欠なこと。Thing that speech and behavior is freely, and absolutely perfect. 天罰覿面(てんばつてきめん)。 解釈:悪には必ず天罰が下る。 活用⇒悪には必ず天罰が下る。Damnation descends on evil without fail. 類義:天罰は当たり次第。天網恢恢(てんもうかいかい)、疎にして漏らさ ず。 参考:The damnation effectiveness. 天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。 解釈:人間は生まれたときから全て平等であり、身分の上下、貧富貴賎の差、 家柄や職業の違いによる差別など、決してあるべきではない。 参考:The god of heaven doesn't make the person on the person, and not make the person under the person. 天は自ら助くるものを助く。 解釈:人を当てにせず、努力で困難を乗り越えて事を成そうと努力する人間 にこそ、天は好運を与える。 類義:人事を尽くして、天命を待つ。 反義:棚から牡丹餅。 参考:Heaven helps those who help themselves.の訳語。 天は見通し。 解釈:天の神は、地上の人間の行いを全て見通しているのだから、隠れた善 行も悪事もやがては相応の報いを受けるものである。 活用⇒天の神は、善行には褒美を与え、悪行に罰を与える。The god of heaven gives beneficence the reward, and metes out punishment to the evil doing. 類義:神は見通し。天に眼(まなこ)。 反義:天道、是か非か。天に目なし。 天法(てんぽう)、八つ当たり。 解釈:自然の法則は、善人悪人の区別なく、万人の上に等しく行き渡る。 活用⇒自然の法則は、善人悪人の区別なく、万人の上に等しく行き渡る。 Nature's laws spread equally on everyone without the distinction of the good man bad man. 天網恢恢(てんもうかいかい)、疎にして漏らさず。 解釈:天の法の網目は粗くて、かいくぐる者があるように思えても、悪人は 残らずこれにかかるものであり、漏らすことはない。悪事の報いは必ずあるも のだということ。 活用⇒天の法の網は粗く、悪行は漏れることがある。しかし、悪行は必ず 罰を受ける。The net of the law of the heaven might be rough, and the evil doing leak. However, the evil must be punished. 類義:神の見通し。天に眼(まなこ)。天罰覿面(てんばつてきめん)。罰 は目の前。 反義:大魚は網を破る。 天を怨みず、人を尤(とが)めず。 解釈:どんな困難に遭っても、天を恨んだり、他人を咎めたりせずに、自身 の修養に励むべきである。 活用⇒天を恨んだり、人を咎めてはいけない。自分自身のために修養しな さい。Do not have a grudge against the heaven, and do not criticize the person. Cultivate oneself for oneself. |