囁(ささや)き千里。 解釈:内緒話が直ぐに遠くまで伝わること。秘密の漏れやすいたとえ。 類義:壁に耳。口より出せば世間。こそこそ三里。囁き八丁。内緒話は江戸 まで聞こえる。初めの囁きは、後のどよみ。耳は壁を伝う。 囁き八丁。 類義:囁き千里。 坐して食らえば、山も空し(むなし)。 解釈:働かずにぶらぶら遊び暮らしていれば、山のような財産も直ぐに使い 果たしてしまう。 類義:遊んで食えば、山も尽きる。居て食らえば、山も空し。 差し出る杭は打たれる。 類義:出る杭は打たれる。 匙(さじ)の先より、口の先。 解釈:治療の技術の下手な医者を冷やかしていう言葉で、薬の調合する匙加 減(腕前)よりも、口(患者の機嫌取り)ばかり上手なこと。 砂上の楼閣(さじょうのろうかく)。 解釈:砂の上に建てられた高い建物のこと。基盤がしっかりしていないため に、崩れやすいたとえ。また、実現不可能なこと。 参考:House of cards. Tower in castle in the air.「砂上の楼閣」は 新約聖書に由来する。[我想] 匙を投げる。 解釈:薬を調合する匙を投げ出すという意から、医者が治療の方法がない病 人を見放すこと。また、物事の成功の見込みが無く諦めることのたとえ。 左遷(させん)。 解釈:官職や地位を下げること。昔、中国で右を尊び、左を卑しんだことに よる。 沙汰の限り。 解釈:理非を判断すべき限界内のものという意。一般には「沙汰の限りでな い」のように否定形で用い、もってのほか、言語道断(ごんごどうだん)、論 外の意。 類義:沙汰には及ばぬ。沙汰は外(ほか)。 左袒(さたん)。 解釈:左の肩を片肌脱ぎにすること。転じて、見方になること。中国前漢の 周勃(しゅうぼつ)が丞相(じょうしょう)陳平(ちんぺい)と謀って、呂氏 (りょし)一族を討った時、「呂氏に見方する者は右袒せよ、天子(劉氏)に 味方する者は左袒せよ」と軍中に命令したという故事から。 類義:片肌脱ぐ。見方贔屓(びいき)。 用例:力の強い者に左袒する。 沙中(さちゅう)の偶語(ぐうご)。 解釈:臣下が謀反を企んで密かに相談すること。 五月(さつき)の鯉の吹流し。 解釈:端午の節句の鯉幟(こいのぼり)には、腸(はらわた)が無いことか ら、心にわだかまりの無い様をいう。心がさっぱりしていることのたとえ。 類義:五月の鯉で口ばかり。 薩摩守(さつまのかみ)。 解釈:平忠度(たいらのただのり)が薩摩守であったことから、「忠度」と 「ただ乗り」をかけて、無賃乗車を洒落て言ったもの。 類義:薩摩守を決め込む。 蹉跌(さてつ)。 解釈:「蹉」も「跌」も、躓(つまず)き倒れる意。失敗すること。 砂糖食いの若死に。 解釈:糖分は大切な栄養分だが、摂り過ぎると健康を害してしまう。 里腹七日(さとばらなぬか)。 解釈:実家に帰ると気兼ねしないで沢山食べるので、七日間もお腹が空かな いということ。 類義:里腹三日。法事腹七日。 鯖の生き腐り(ぐさり)。 解釈:鯖は痛みやすく、外見が新鮮に見えるうちから腐っている。新しいも のでも、食べると中(あた)る場合があるので、注意せよということ。 鯖を読む。 解釈:計算を誤魔化すこと。 参考:語源については諸説ある。@「鯖読み」には、二つずつ数えるという 意味があり、魚市場では、鯖や鰯などを「ひとやひとや、ふたやふたや……」 と早口で二つずつ数えては箱に放り込んでいた。しかし、ちゃんと数えると数 が違っていることが多いことから出たという説。A「魚市読(いさばよみ)」 が略されてできたとする説。B鯖は腐りやすいので早く数えて売りさばいたこ とからとする説。 様に様を付ける。 解釈:敬う上にも敬うこと。丁寧な上にも丁寧な言い方をすること。 五月雨(さみだれ)は金(かね)を溶かす。 解釈:梅雨が長々と続くのを、金属でさえ溶けるほどであると形容した言葉。 類義:五月雨は腹の中まで腐らせる。 五月雨は腹の中まで腐らせる。 解釈:長雨が続いてじめじめした梅雨時の不快さをたとえた言葉。 類義:五月雨は金(かね)を溶かす。 左右の手を失うが如し。 解釈:最も信頼していた者を失ったときの落胆を形容した言葉。 白湯(さゆ)を飲むよう。 解釈:何も混ぜない湯を飲むように、味もそっけもない様。 類義:味もそっれもない。 皿嘗めた猫が科(とが)を負う。 解釈:魚を食べた猫は逃げてしまい、後から来て空の皿を嘗めた猫が捕まっ てひどい目に遭うこと。大悪人や主犯は捕まらずに、小物ばかりが捕らえられ て罰を受けることのたとえ。 類義:網にかかるは雑魚(ざこ)ばかり。鈎を盗む者は誅(ちゅう)せられ、 国を盗む者は諸侯となる。笊(ざる)嘗めた犬が科被る。 去り跡へ往くとも、死に跡へは行くな。 解釈:先妻と離縁した男のところに後妻に行くのはよいが、死別した後に行 ってはいけない。亡くなった先妻の思い出が美化されて記憶に残っているので、 比較されてやりにくいということ。 類義:往(い)に跡へ行くとも、死に跡へ行くな。 猿が髭(ひげ)揉む(もむ)。 解釈:つまらぬ小物が人真似をして威厳を繕(つくろ)う様を嘲っていう言 葉。 類義:猿が稗(ひえ)揉む。猿の人真似。 猿が仏を笑う。 解釈:小賢しい者が、深い知恵のある人の本当の考えや偉大さが分からずに、 嘲笑することのたとえ。 猿知恵。 解釈:小賢しい知恵。利口そうに見えるが、浅はかで間の抜けている知恵。 類義:猿かしこ。猿利口。 猿に烏帽子。 解釈:猿に烏帽子を被せるように、取るに足らぬ人間が柄(がら)に似合わ ず、偉そうな装いをしたり、言動をとること。 類義:猿に冠。猿の烏帽子、狼の十徳。 反義:馬子(まご)に温袍(おんぽう)。 猿に絵馬(えま)。 解釈:取り合わせのよい物のたとえ。猿と馬を取り合わせた図柄が多いが、 これは猿を厩(うまや)の守護とする信仰からきているという。 類義:梅に鶯。牡丹(ぼたん)に唐獅子(からじし)。 猿に木登り。 解釈:無駄なことをするたとえ。木登りの上手い猿に、木登りを教えること。 類義:孔子(こうし)に論語。釈迦に経(きょう)。 猿の尻は真っ赤。 解釈:決まりきったことのたとえ。 猿の尻笑い。 解釈:自分の至らぬ点に気付かず、他人の欠点を馬鹿にすることのたとえ。 類義:五十歩百歩。熟し柿がうみ柿を笑う。人の一寸、わが一寸。不身持ち の儒者が医者の不養生を謗る(そしる)。目糞、鼻糞を笑う。 猿の水練、魚の木登り。 解釈:することが逆なこと。見当違いのことをするたとえ。 猿の空虱(そらじらみ)。 解釈:猿は時々虱を取るような仕草をするが、実際は虱を取っているのでは ないこと。用事や仕事がある振りをしながら、実際は何もしないことのたとえ。 猿の花見。 解釈:酔って顔が赤い様をいう。 猿の人真似。 解釈:自分の考えなしに、人のことをそのまま真似する者を嘲っていう言葉。 類義:猿が人真似。猿真似。 猿は人間に毛が三筋(みすじ)足らぬ。 解釈:猿は人間によく似ているが、人間より毛が三本少ないから知恵も浅い ということ。 猿回しの長刀(なががたな)。 解釈:不要な物のたとえ。昔の猿回しは長い刀を差していたが、それは単な る飾り物に過ぎなかった。 類義:猿使いの長刀。猿引きの長刀。 猿も木から落ちる。 解釈:木登りの上手な猿でも、時には失敗して落ちることがある。その道に 秀でた人でも、失敗することがあるというたとえ。 類義:河童の川流れ。弘法にも筆の誤り。釈迦にも経の読み違い。 去る者は追わず。 解釈:去っていく者をあえて引き止めない。また、過ぎたことに未練を持た ない。 類義:往く者は追わず。 去る者は日々に疎し(うとし)。 解釈:一旦遠ざかってしまうと、親しかった友人でも、その友情が薄れると いうこと。死んだ者も同じで、月日が経つに連れて忘れられてしまうものであ る。 類義:縁が遠けりゃ契りが薄い。遠い親戚より、近くの他人。遠くなれば薄 くなる。遠ざかるは縁の切れ目。遠ざかる者、日々に疎し。 騒ぐ烏も団子一つ、騒がぬ烏も団子一つ。 解釈:騒いでも騒がなくても結果は同じということ。どうあがいてみても、 一生は一生であるというたとえ。 類義:泣いても笑っても一生。 触らぬ神に祟り無し。 解釈:関わらなければ、災いを受けることもない。余計な口出し、手出しを せずに、知らぬ顔をしていた方が得だということ。 類義:当たる蜂には刺されぬ。知らぬ神に祟り無し。七日通る漆も、手に取 らねばかぶれない。無用の神叩き。 参考:Let sleeping dog lie.(眠っている犬は、寝かせておけ) 触り三百。 解釈:少し触っただけで三百文の損をする。喧嘩などに一寸口出しをしただ けで迷惑を蒙ることのたとえ。 類義:逢えば五百の損がいく。歩く足には泥が付く。 座を見て皿をねぶれ(舐めれ)。 解釈:上品な人ばかり集まった所で料理を持った皿を舐めれば、育ちが知れ る。多数の意見がどこに落ち着くかを見極めてから、発言するのが利口だとい うこと。 座を見て法を説け(とけ)。 解釈:相手によって臨機応変に対処すべきであるということ。 類義:人を見て法を説く。 |