謡長じて舞となる。 解釈:謡(うたい)が上達してくると、今度は舞を習いたくなる。人は欲が 出て段々上を望むようになるという意。 疑わぬ者に悟りなし。 類義:大疑は大悟(たいご)の基(もとい)。 ウダツが上がらぬ。 解釈:出世ができないという意味。ウダツは梁の上に立てられ、棟木(むな ぎ)を支える短い柱のこと。ウダツのように何時も頭を押さえられているとい う意と、ウダツも上げられず、家らしい家にも住めないという意がある。また 隣家との境につける防火壁は、卯達(うだつ)というが、富裕な者しかこれを つけられなかったところから。 打たねば鳴らぬ。 解釈:手をこまねいていたのでは、何も得られないことのたとえ。 類義:打たぬ鐘は鳴らぬ。蒔かぬ種は生えぬ。 歌は世に連れ、世は歌に連れ。 解釈:流行歌はその世相を反映し、世の中もまた歌の影響を受ける。 歌より囃子(はやし)。 解釈:歌の文句よりも囃子の方が面白い。絶妙の受け手があってこそ主役が 生きるのである。 類義:搗(つ)くより、手返し。 打たれても親の杖。 解釈:子を思って打つ親の杖は情がこもっているから、打たれても憎くない。 類義:親の打つ拳より、他人の撫でる方が痛い。母の折檻(せっかん)より 隣の人の扱いが痛い。 内閻魔(うちえんま)の外恵比寿(そとえびす)。 解釈:家の中では仏頂面(ぶっちょうづら)をしているのに、外では愛想が よい人のこと。 類義:内天下の外地蔵。家(うち)泣きの外笑い。 内兜(うちかぶと)を見すかす。 解釈:相手の弱点を見抜くこと。 類語:足元を見る。 内で掃除せぬ馬は、外で毛を振る。 解釈:悪い事は内部だけに留まらず、直ぐに露見する。丹精してない馬は、 外で毛を振り落とすから手入れの悪いことが直ぐ分かる。 内の米の飯より、隣の麦飯。 解釈:とかく他人の事は何でも羨ましく思われるということのたとえ。 類義:内の鯛より、隣の鰯。内の飯より、隣の雑炊(ぞうすい)。他人の飯 は白い。隣の糂汰味噌(じんだみそ)。他所の花は赤い。 内の鯛より、隣の鰯。 解釈:他所の物は、わが家よりよく見え、つい羨ましく思うものである。 類義:内の米の飯より、隣の麦飯。他人の飯は白い。他所の花は赤い。 家(うち)の中の盗人は掴まらぬ。 解釈:ごく身近なことには案外気づかぬものであるという意。 類語:詮索もの目の前にあり。灯台下(もと)暗し。 家(うち)の前の痩犬。 解釈:内弁慶のこと。痩せた弱い犬でも、飼い主の家の前に来ると、気が強 くなって吠え出すものである。 類義:内の庭の鳴き犬。内の前の痩犬は吠える。我が門(かど)で吠えぬ犬 なし。 内裸でも外錦。 解釈:内情はやりくりに追われていても、世間体(せけんてい)は立派につ くろうことが、世の中をうまく渡る一策である。 類義:世間は張り物。 内ひろがりの外すぼまり。 解釈:うちの中では威張っているが、外へ出ると全く意気地をなくしてしま うこと。 類義:内で蛤、外でしじみ貝。内ふんばりの外ひっこみ。内弁慶の外地蔵。 内弁慶の外鼠。内弁慶の外幽霊。炬燵弁慶。袖すぼまりの内ひろがり。外すぼ まりの内ひろがり。 参考:Every dog is a lion at home.(どの犬も家ではみんなライオンだ) 内弁慶の外地蔵。 解釈:家の中では威勢がよいが、外へ出ると意気地がなくなり小さくなって いる人のこと。 類義:家の中の赤弁慶。家前の痩犬。内はだかりの外すぼまり。内蛤の外蜆 (しじみ)。内ひろがりの外すぼまり。内弁慶外菜虫(なむし)。内弁慶の外 すぼまり。楽屋弁慶。陰弁慶。外幽霊。二階猫。平和時のライオン戦時の鹿。 炉端弁慶。 内股膏薬(うちまたごうやく)。 解釈:内股に貼った膏薬のようにあちこちに付き、方針・態度が定まらない こと。 類義:内股膏薬当てにはならぬ。蝙蝠(こうもり)。二股膏薬。洞(ほら) が峠を決め込む。 美しい花には実はならぬ。 解釈:一見して美しいものは、中身もよいものであるかどうか分らない。 打つも撫でるも親の恩。 解釈:親は子を打ったり撫でたりするが、これは全て子を思う愛情のなせる わざである。 類義:打つも撫でるも親の慈悲。 移れば変わる世の習い。 解釈:世の中は移ろいやすく常態をとどめることがない。 類義:移り変わるは浮世の習い。移れば変わる習い。 自惚(うぬぼれ)と瘡気(かさけ)の無い者はない。 解釈:人間誰しも多少の自惚れ心は持っているという意。 類義:色気と痔(じ)の気の無い者はない。 産屋(うぶや)の風邪は一生つく。 解釈:小さいときからの癖はなかなか直らないという意。赤ん坊に風邪をひ かせると、気管を弱め後に風邪をひきやすくなる。 類義:産屋の癖は八十まで治らぬ。 |