04 むすび
参考:堀書店発行「神道辞典」
〈むすび〉
△用字例
産霊日・産日・産霊・産魂・魂(結)、古代神名に多い。
△出典
タカミムスビ=高御産巣日神(記)、高御産日神(神名式)、高皇産霊尊(紀)、高
皇産霊神(拾遺)、高皇産霊命(姓氏録)、高御魂(式、四時祭ほか)、高御魂神(拾
遺)、高御魂神社(式、臨時祭ほか)、高御魂命(出雲国造神賀詞)、高魂命(姓氏録
)。カミムスビ=神産巣日神(記)、神産巣日之命(同)、神産巣日御祖命(同)、神
産日神(神名式)、神魂命(神賀詞・姓氏録・出雲風土記)、神産魂命子邑日女命神社(
神名式)。イクムスビ=生産霊(拾遺)、生魂(式四時祭ほか)、生産日神(神名式)、
伊久魂命(姓氏録)。タルムスビ=足産日神(神名式)、足魂(四時祭式ほか)、足産
霊(拾遺)。タマツメムスビ=魂留産霊(拾遺)、魂留魂(四時祭式)、玉留魂(祝詞
式)、玉積産日神(神名式)。ツハヤムスビ=津速産霊神(拾遺)、津速魂命(姓氏録
)。ホムスビ=火産霊(紀)、火結神(祝詞式)。ワカムスビ=稚産霊(紀)。ツヌコ
リムスビ=角凝魂命(姓氏録)。コゴトムスビ=興台産霊(紀)、己己都牟須比命(姓
氏録)。
△語釈
古事記伝巻三に、高御産巣日神・神産巣日神についての詳しい解説がある。「産巣日
は、字は借字にて、産巣は生(ムス)なり。其は男子(ムスコ)女子(ムスメ)又苔の
牟須ムスなど云イフ牟須にて、物の成出るを云ふ。」「日は、書紀に産霊と書れたる霊字よ
く当れり。凡て物の霊異(クシビ)なるを云ふ」「されば、産霊とは、凡て物を生成す
ことの霊異なる神霊(ミタマ)を申すなり」「さて世間に有とあることは、此ノ天地を
始めて、万の物も事業(コト)も悉に皆、此ノ二柱の産巣日大御神の産霊に資(ヨリ)
て成出るものなり」などがその主旨を示すものである。多く、この語釈に従っている。
△造化三神
記に、天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神が天地初発のとき出現したと見える。
これにより、三神を造化三神と呼び、明治初年大教宣布運動が行われたとき、大教院の
祭神に、造化三神と天照大神の四柱を主神として奉斎した。今日教派神道、新興宗教の
神道中には、この伝統を承け、或いは影響を受けて、祭神にこれを加えているものが多
数ある。
△宮中八神と産霊神
宮中八神、即ち天皇の玉体を守るため神代以来宮中に奉斎され、現在八神殿に鎮祭さ
れている八神のうち、五柱は産霊神で、神産日神・高御産日神・玉積産日神・生産日神・足
産日神と申し上げる。玉積とは魂留めの義で、鎮魂であり、生・足は生々発展を意味す
る。何れも産霊の徳を示す御名である。
[詳細探訪(宮中八神)]
△カムロギ・カムロミと産霊神
古語拾遺に拠れば、高御産霊神は皇親神留伎命で、津速産霊神は皇親神留弥命であり、
古事記(上)に拠れば、神産巣日神は御祖となっている。
△氏族と産霊
古語拾遺に拠れば、高皇産霊神は伴・佐伯の祖、津速産霊神は中臣朝臣の祖、神皇産霊
神は紀直の祖で、共に天之御中主神の男子とある。産霊の神学=産霊の神秘を重視、神
道の根本原理をこの信仰に掛けて説くものは多い。(ただし、ムス霊と宛て名詞として
解するのが本居宣長以来通説となっているが、「び」を動詞の語尾と考えて、「結び」
の意味と混同している例がある)
△結神
「人知れぬむすぶの神をしるしにていかにすべきと歎く下紐」(空穂物語)の「むす
ぶの神」は、男女の縁を結ぶ髪である。出雲大社の神は、縁結びの神と云う俗信がある。
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