07 晴れの食
 
                       参考:鹿角市発行「鹿角市史」ほか
 
〈行事食〉
△餅・赤飯
 餅は神仏の供物として、目出度い祝事には欠かせないものである。
 鹿角では混ぜ餅の種類が多い。白餅・粟餅・小豆餅・豆餅(黒豆や味噌豆入り)・蕎麦餅・
葛餅・菱形餅(桃の節句や食紅入り)・イナキミ餅・高黍タカキミ餅・シダミ(団栗ドングリ)餅・
梅干の葉を微塵切りにして混ぜた紫蘇の葉餅・栃餅・南瓜餅・牛蒡葉ゴボッパ餅・胡桃餅・豆
腐滓(オカラ)餅などがある。
 
 シトギ餅は米粉を潰して纏めたもので、神々の祭やヤドコ(茅屋根の葺き替え)、葬
式のときの四十九の餅、マタギの携帯食、馬が産まれた時、お八つなどに食べられた。
彼岸や葬式のときには、団子を食べたりした。
 赤飯は糯米モチゴメにテンコ小豆を混ぜて蒸かしたもので、小豆ママ、コワエ、オコワと
も言った。四月八日の花祭りや大日堂の祭り、旧七月の七日日ナノカビ、お盆、終大師講
シメデェシコ、試験の合格祝、初午、節句、豆名月の日などにも作った。主に冬は餅、夏は赤
飯が普通であった。
 
 トロロ飯は、正月や田植時などの時の特別食、五月五日にはホドイモを探して食べる
風習もあったと云う。
 この他晴れの日には、煮染め・焼魚・和え物・酢の物・鮫や烏賊、鮹の刺身・鶏貝焼トリカヤキ・
味噌付けタンポ・キリタンポ鍋などを作った。
 運動会のときには前の晩乃至は朝暗いうちから、煮染め・卵焼・漬物・和え物・海苔巻寿
司・稲荷寿司・餅などを作って重箱に詰め、塩引や梅漬の入った握り飯も持参した。
 
△正月・お盆料理
 鰰や鰯などの尾頭付、氷頭ヒズ(鮭の頭の軟骨)ナマス・海老入りナマス・メマキ(昆布
巻)・煮染め・ゴンボデンブ(牛蒡・大根・人参・鯣烏賊のキンピラ)・カスベ煮(エイの乾
物を戻して煮たもの)・烏賊と鮹の刺身・竹輪・蒲鉾・納豆汁・飴・佃煮・吸物(鱈か鮫)・雑
煮餅(スマシ餅かお汁ツユ餅)・切餅・煎餅餅・鰰の飯鮨・鰊漬(大根などの野菜とみがき鰊
と甘酒の漬物)・数の子・トロロ飯などを作った。
 一月十五日の小正月には柿ナマス(大根下ろしのナマス)、粥キャの汁(膾カイの汁)、
魚入り漬物などが作られた。この頃になると鰰の漬物には酢が入っているので、骨毎食
べられる。
 
 お盆(旧七月、現在は八月)の十三日から十六日朝までは精進料理を作った。赤飯・ト
コロテン・吸物・煮付け・酢の物・和え物・枝豆・素麺ソウメン・キミ(玉蜀黍)・豆モヤシ・漬物・
西瓜・桃・キンカ(瓜)などが食卓又はお膳に並べられた。
 
△田植時の食
 午前と午後に各一回づつ間食することを小昼コビルと云い、ご飯はお鉢、お汁は鍋に入
れて、田圃の畔まで運んで食べるのである。互いに手伝い合う「結こユイコ(よいこ)」に
より田植が行われるので、大勢で食べた。白米・煮染め・粥っこづけ・焼握り飯・味噌付け
みがき鰊・赤飯・納豆汁・酢の物・トロロ飯・塩茹で馬鈴薯ジャガイモ・餅などである。
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