2000年6月下旬の日記

6月25日の衆議院議員選挙では思いっきり盛り上がってみたものの、結果を目にして思いっきり疲れてしまいました。ということもあって、日記の方は選挙ネタを少々。(2000年7月8日記)

6月21日(水) ストックがないと不安でたまらなくなる話。
[日記]銀河の自宅には、トイレット・ペーパーのストックがほぼいつも20個から30個ぐらいある。どんなに少ないときでも10個以下になることはない。残りが10個以下になりそうだと不安でたまらなくなって、すぐに近くのコンビニに買いに走るからだ。シャンプーやリンスの類(たぐい)は、絶えず10個ほどストックしてある。これも5個以下になると、不安で不安でいてもたってもいられなくなる。ビタミン剤なんかのボトルも、同じものをいつも5個以上はキープしている。食料品などは多めにストックし過ぎて、賞味期限が切れてしまうこともしばしばだ(苦笑)。
以前(5年ほど前だ)、当時使っていたワープロ専用機のインクが切れたのでカートリッジを入れ替えようとして、ストックが1個だけしかないことに気づいたときには、ひどいことになった。カートリッジが切れたわけではないのに、真夜中にインクのストックが1個もない状態でワープロを使っていると、心臓が口から飛び出しそうになったり冷や汗が出てきたりして、自分が今何をやっているのかさっぱりわからない状態になってしまったのだ。翌朝すぐにインク・カートリッジを10個ほど買いに行ったのだが、結局その日から3日ほど体調がおかしくなって、寝込んでしまった。
最近はそうでもないが、5年ほど前までは、気に入ったCD(またはアナログ・レコード)があると、同じものを2つ買うことも多かった。なんらかの事故で自分の持っているCDが壊れて聴けなくなり、しかも品切れや廃盤で2度と同じものが手に入らなくなるのではないかと考えると、心臓がドキドキしてどうしようもなくなるからだ。
こういうのも、なんらかの精神疾患なのだろうか。長*さん(銀河のパートナー/同居人)からは「食料品だけはすぐに使う分だけを買うようにしないと、食べきれないうちに賞味期限を過ぎてしまうから、もったいないよ。おなかが減ったときに家に食べ物がなくても、近くにコンビニやファミレスがあるんだからね」と言われるし、その通りだと頭ではわかるんだけど、お買い物に行くと、ついつい、何かあったときのためにって考えて、いっぺんに2週間分ほどの食料を買い込んでしまうんだよね。
[BGM]ZEEBRA『BASED ON A TRUE STORY』。日本語ラップは(スチャダラパー以外)ほとんど聴かないのだけど、先日のテレビの歌番組(たしか「HEY!HEY!HEY!」)で偶然目にして気に入ってしまったのが、このZEEBRA(たたずまい自体がかっこよかった)。これが2年ぶりのセカンド・アルバムらしい(当然のことながらファーストは未聴)。ラップってそもそもティーン・エイジの音楽だと思うし、事情にも疎いんで批評めいたことはなにも書けないんだけど、ZEEBRAのこのアルバムは脚韻の踏み方が説得力があって、言葉に対する感受性がただ者ではないって感じ。

6月22日(木) 全日本プロレスの社長室にグレープのiMacが。
[日記]先週の木曜日(6月15日の日記を参照)に引き続き、分裂した全日本プロレス両派のその後の様子を知りたくて『週刊プロレス』を買う。今日の出講校舎がある埼玉県内の某所から戻ってくる埼京線の中で熟読。
銀河の知る限りでは、(プロレス系のWebサイトでもMac系のWebサイトでも)まだ誰もそのことを話題にしていないようなのでここに書いておくことにするが、記者会見のあった全日本プロレスの社長室(ジャイアント馬場の等身大パネルなんかもある)のテーブルの上に、ぽつんとグレープのiMacが置いてあった。CD-ROMのトレイの形から見て、旧型のiMacだ。社長用の机や椅子は離脱した三沢光晴前社長の私物だということで、全部持ち出されたそうだから、残されたiMacはいったい誰のものなんだろう。会社の備品なのかなあ。なんだか今日一日妙に気になって仕方がなかった。
[BGM]スチャダラパー『ドコンパクトディスク』。日本語ラップで唯一愛聴しているのが、スチャダラパー。この最新アルバムはこれまでの最高作と言ってもよいんじゃないだろうか。真摯な問いかけを巧みなユーモアにくるんで、見事。非の打ち所がない。個人的にはAniのザラザラした声質が大好きだということを書いておこう。

6月23日(金) 長*さんの会社のお得意さまとお食事。
[日記]長*さんが、長*さんの会社の製品を40年近く前(会社がまだ長*さんのお父様の代だった頃)からの愛用されているお得意さまと食事をするというので、おつきあいすることに。いつもの行きつけの『嵯峨野』(新宿西口の居酒屋)から、新宿3丁目のスナックへとはしご。
名の通ったコンピューター関連大企業の人事担当責任者だったのを定年前に辞め、ご自分でマネージメント・コンサルタントの会社を経営されているというだけあって、押しの強い自信家タイプの人だったんだけど、なぜか銀河と意気投合して話が盛り上がる(企業でバリバリ働いて出世していくタイプの人って、ホントのところすごく苦手なんだけどね)。銀河が以前は事情があって男性として生活していた過去を持つ女性だということをご承知の上で、なにごともないように接してくださる心遣いがありがたい。
長*さんと銀河のために、結婚祝い(笑)の品物まで用意してくださっていて、うれしかった。
[読書記録]中野美代子『西遊記―トリック・ワールド探訪―』(岩波新書)。『西遊記』の研究で知られる筆者(中国文学者)の最新作。中野氏の仕事は、単純に言えば、一時期流行した文化人類学の構造分析の手法を『西遊記』に応用したものなのだが、とにかくその緻密さには舌を巻くしかない。論理的かつ大胆な推論で『西遊記』の構造を解明していく作業はたまらなくスリリングだ。諸星大二郎のマンガ『西遊妖猿伝』と併せて読めば、ますます興味深いはず。なお、同じ著者による『三蔵法師』(中公文庫)、『中国の妖怪』(岩波新書)もお勧め。

6月24日(土) 川越の赤心堂病院へ。
[日記]月に2回のホルモン注射のために、川越の赤心堂病院泌尿器科(内島豊先生)へ。今日の待合室はなんだかGID(用語についてを参照)当事者の数が多くて、MTF(用語についてを参照)の方を3人、FTM(用語についてを参照)の方を4人見かけた(MTFのうちおひとりは、「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催しで知り合った方だった)。
先週の「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催し(6月17日の日記を参照)で内島先生がおっしゃっていた天然型エストラジオールの貼付薬(アルコールを使わない新製品)が、秋には赤心堂病院にも入ってくる予定なのだそうだ。貼付薬の方が安全で効果も高い(おまけに1枚60円だか70円という安価)というので、内島先生と相談の上、入手できるようになったら、注射の代わりに貼付薬を使うことにする。

6月25日(日) 衆議院議員選挙の日。
[日記]昼過ぎから、長*さんと一緒に埼玉県某所へ。午後7時前に自宅に戻り、投票に行く(外見と投票券に記載されている戸籍名が食い違っていても、特に何の問題もない)。その後は、テレビの前に陣取り、8時からの各局の選挙速報番組をザッピングしながら視聴。
銀河は子供の頃から(それこそ小学校に入りたての頃から)選挙速報番組が大好きだった。両親も選挙関連番組だったら教育上も悪くはないと考えたのだろう。夜遅くまで起きていても、別にとがめられることもなかった。刻一刻と当落が決まっていくのに胸をわくわくさせ、選挙の後しばらくは、自分で考え出した「選挙速報ごっこ」に興じたりもした。
ところで、今回の速報番組なんだけど、いまいち面白くなかったなあ。特に不満なのは「出口調査」とかいうやつ。投票場の出口で誰に投票したのかをアンケート調査して、それをもとに当選者を予測するってものなんだけど、8時に投票が締め切られたとたんに、各局とも「出口調査」に基づいた各党の獲得議席数予想をバーンと打ち出しちゃうんだよね、開票はこれからだっていうのに。これからテレビを見ながらじわじわと楽しんでいこうと思っているのに、いきなり結果(予測)を見せられるのは興ざめだって思うのは、銀河だけだろうか。
とは言いつつも、明け方までテレビの前から離れられない。なんとか合格点だったのは基本に忠実なNHKと、久米宏と小宮悦子に安定感があったテレビ朝日。見るに耐えなかったのは日テレ(テリー伊藤とか優香とか)。高校時代に仲のよかった後輩(2期連続落選中だった)が久々に衆議院議員に復帰したのが、ちょっとだけうれしかった(九州の某区、所属は自民党)。

6月26日(月) 初めての選挙の思い出。
[日記]昨日の日記のネタの続きなんだけど、20歳になって初めて迎えた選挙のことを思い出した。20歳の誕生日(1976年12月5日)の当日が衆議院議員選挙の投票日で、ぎりぎりで投票権を行使することができたのだ。当時の東京7区(小金井市に住んでいた)。ロッキード事件で大揺れの最中の総選挙だった。
で、初めての選挙で一票を投じたのが、なんと菅直人(当時は無所属で、選挙に出るのもこのときが初めてだったはず)。東工大卒で、市川房枝の支援活動をしていた市民運動家という経歴と、30歳そこそこという若さと、ルックスのよさ。街頭演説とかでは抜群の人気を誇っていたのだが、政党の指定席には割り込めず、残念ながら落選。彼が衆議院議員に初当選するのは、その次の次ぐらいの総選挙(1980年かな?)だったはずだ(銀河は旧東京7区に10年近く居住していたんだけど、その間はずっと菅直人に投票していました)。
旧東京7区で菅直人に投票できるってことを、(若い頃の銀河は)結構誇りに思っていたんだけど、それに比べて今住んでいる東京1区はあんまり投票しがいのある候補者がいないんだよね。一応、典型的東京人の投票パターンとして(小選挙区も比例区も)民主党に一票を入れたんだけど、東京1区に出ていた民主党の候補者(海江田万里)は正直言ってあんまり好感の持てる人ではなかったので、相当悩んだ末の投票でした(とは言っても、代替案は白紙投票しかないしね)。
昨日からずっとテレビを見ながら、民主党(若い議員は自民党よりもずっとしっかりしているのだから)も早いところ党首を代えなきゃどうしようもないなと思いつつ、初めての選挙のことを思い出していた一日でした。
[BGM]平井堅『THE CHANGING SAME』。デビュー5年目にして、シングル「楽園」「Why」、そしてこのニュー・アルバムで突如ブレイクした平井堅。無茶苦茶いい男です(笑)。とにかく、1曲目のゴスペルでぶっ飛んだ(ていうか、CDショップで1曲目を試聴して、買うことに決めたのだ)。サウンドといい歌いまわしといい、これぞ正しいR&Bのジャパニーズ・ヴァージョンという感じ(吉田美奈子の男性版と言ってもいいけど)。この人の最大の魅力はなんといってもその美しいとしか言いようのない声。ちょっと粘っこくって、セクシー。正直なところ、ヘッドフォーンで聴いていると頭はクラクラするし、腰は抜けそうになる(笑)。ゴスペル調のサウンドでアルバム全体を統一していたら、もっとよかったのにな。

6月27日(火) 寝不足でダウンの一日。
[日記]25日(日)の夜、選挙速報を見ながら徹夜してしまったのがたたって、昨日今日と寝不足を引きずってしまう。というわけで、仕事が休みの今日は、ほとんど一日中ダウンしていました。
[読書記録]三田誠広『書く前に読もう超明解文学史』(集英社文庫)。早稲田大学文学部文芸専修での授業をもとにしたエッセイも、『天気の好い日は小説を書こう』『深くておいしい小説の書き方』(いずれも集英社文庫)に続き、これで3冊目。三田先生(授業を聴講したことのある身にとっては、「小説家」三田誠広と言うよりも、三田先生だ)のこの本は、明治以降の文学史をこれ以上ないほどに簡略化し、しかもポイントはきっちりと押さえた一冊に仕上がっている。埴谷雄高とか高橋和巳とか、また読みたくなったなあ。

6月28日(水) 支持政党鑑定。
[日記]選挙が終わったので、(法的な問題で)選挙期間中はお休みしていた支持政党鑑定っていうホームページ(6月13日の日記で紹介した)のサービスが再開になった。政策に関する質問(「君が代を国歌にすべきか」「情報公開法を制定すべきか」「原子力発電を推進すべきか」など)にイエス/ノーで答えていくと、自分の考えにいちばん近い政党を表示してくれる仕組み。鑑定自体もゲームみたいで楽しいのだが、なんと言っても、それぞれの政策に関する充実したリンク集がとても便利で勉強になる。興味がおありでしたら、一度試してみてください。
ちなみに銀河の鑑定結果は、以下の通りです。

鑑定結果:あなたの支持政党は共産党だと考えます。
政策一致率とは、あなたが回答した政策項目の範囲内での政策の一致した割合です。
あなたと自民党:政策一致率 = 36%
あなたと民主党:政策一致率 = 83%
あなたと公明党:政策一致率 = 61%
あなたと共産党:政策一致率 = 89%
あなたと自由党:政策一致率 = 50%
あなたと社民党:政策一致率 = 81%
あなたと国民会議:政策一致率 = 86%
あなたの政策の不明数 = 0

念のため申し添えておくと、銀河は是々非々主義なので特定の支持政党はない。選挙権を得てからの20数年で、日本共産党の候補者に投票したのは2回だけです。

6月29日(木) りのが「泥酔」状態で、銀河の自宅に泊まっていった。
[日記]夕方、長*さんが会社にいる緑川りのちゃんに電話して、一緒に飲む約束をした。夜6時過ぎから長*さんと2人で新宿西口の居酒屋で待機。7時過ぎにりのが登場し、3人で飲み始める(お酒の飲めない銀河はウーロン茶)。今日のりのはなぜだか酔いがまわるのがいつもよりもずっと早くて、2時間後には「ぐでんぐでん」(昔、萩原健一がそんなタイトルの歌をうたっていたっけ)。10時頃に「今日はお開きにしてまた明日会おうね」ということになったのだが、りのは足取りもおぼつかないし(ひとりでは真っ直ぐに歩けない)、「銀河さんとふたりでゆっくり話がしたい」と言うので、銀河の自宅に連れて帰ることにする(長*さんはひとりで別の店に寄ることになった)。
最寄りのJRの駅のホームに降り立つと、りのは急に懐かしい学生時代を思い出したようで、銀河に向かって「先輩!」なんて言いながら、肩を組んで大声で「都の西北」(笑)を歌い出す。超ハズカシイので、引きずるようにして自宅へ。「ゆっくり話がしたい」って言ってたわりには、すぐに毛布にくるまってリヴィングルームで横になったりのは、飲み過ぎて気分がひどく悪くなってしまったらしく、5分ごとに起き出してはトイレへ。結局、落ち着いて眠りに入ったのは2時頃だった。
翌朝、すっかり酔いのさめたりのは、なぜ自分がこんなところにいるのか、よく理解できていない様子(まったく記憶がないらしい)。銀河は仕事があるので先に家を出たのだが、りのは朝方戻ってきた長*さんとふたり、ゆっくり朝食をとってから一緒に家を出たそうだ。
しようがない酔っぱらいだけど、かわいい後輩です、りのは。また、泊まりにおいで!

6月30日(金) ちょっと不快だったこと、そしてある決意。
[日記]昨日の今日なんだけど、緑川りのちゃんが新宿に遊びに出てくるというので、長*さんと3人で、歌舞伎町にある長*さんの行きつけのスナックへ。長崎の五島列島出身のママがひとりでやっているこぢんまりとしたアットホームなお店。夜8時から日付が変わる時間まで、のんびりと過ごす。途中で、りのに呼び出された南麻衣子さん(半年ぶりにお会いした)と関あゆみちゃんも合流してくれた。
で、気持ちよく遊んでいたんだけど、12時過ぎにやってきた常連のお客さん(銀河は初対面なんだけど、長*さんとは顔見知りらしい)が我々を「おかま」呼ばわりし始めたので、ひどく気分が悪くなる。キレる寸前(よっぽど殴ってやろうかと思った)で、横にいる長*さんをちらっと見ると、すでに完全にキレている様子。ちょっとヤバイ状態だったので(長*さんが激怒しているのを目にすると、銀河の方は急に冷静になってしまった)、他の人たちには悪かったけど、長*さんとふたり、抜け出して別の店に移動した。
ひとりで(あるいは長*さんとふたりで)行動している限りは、何の問題もなくパス(用語についてを参照)できても、MTF(用語についてを参照)が3人、4人とつるんでいると、簡単にリード(用語についてを参照)されてしまうことが多い。同じMTFの中にも、「おかま」という蔑称で呼ばれてもそんなに気にならない人や、ニューハーフのお姉さんのふりをして「おかま」呼ばわりする相手の期待に応えてあげる芸当ができる人もいるけど、一方には不快感を抱いたり傷ついてしまう人(こちらの方が多数派だ)もいる。そんなことをいろいろ考えていたら、逃げ出すようにしてその場を抜け出してしまったことを、ひどく後悔してしまった。
捨てられるプライドもあるけど、絶対に捨てられないプライドだってある。パスできていないMTFや、「おかま」と呼ばれても平気なMTFとは一緒に行動しないっていう対処法もあるんだけど(で、実際にそうしている人が多いんだけど)、銀河はそんな方法に逃げたくはないんだよね(それじゃあ、問題の本質は解決されずに温存されたままだ)。で、覚悟を決めたんだけど、次回から同じようなことがあったら、「自分は不快だ」ということをはっきりと言葉で表明することにした。相手がなかなかわからないんだったら、真っ正面からケンカすることも厭わない。で、そういう時に一緒になってケンカしてくれる人のことを「友達」って呼ぶことにする。
一歩も引かないよ。私は私の生き方を誇りに思っているのだから。


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