≪F1界の構造(その3)≫

このところ、仕事の関係で家を空けていることが多く、ちょっとご無沙汰してました。
早いもので、このシリーズも3回目、”週刊・ウンチク長文シリーズ”としては7回目?ぐらい
でしょうか。そろそろ、お前の長文はもういいよって声も聞こえてきそうですが(汗)、一方で熱烈な読者?の方からのリクエストもあるようなので、開幕までネタの続く限り(笑)書かせ
て頂きます。

では、弱小チーム編の始まり始まりィ〜なんですが、実は弱小チーム編には書きたいこと
があまりにも沢山あって、ちょっと1回では終わりそうにありません。
なので、今回は”弱小チーム編パート1”とさせて頂きます。(1つのネタで引っ張る引っ張
る!(笑))

B弱小チーム:年間予算200億円以下、人員250人以下
このクラスには、皆さんお待ちかねのジョーダン、ザウバー、ミナルディ、アロウズの4
チームが該当します。
実は、この順序は予算の大きい順でして、一説には今年のアロウズは70億円にも満た
ない資金しか集められず、シーズン途中で破産の憂き目を見ています。
最近のニュースでは、ついにチームが消滅の危機に立たされているようで、私がF1を見
始めた頃から存在した歴史のあるチームだけに、とても悲しく思っています。

さて、このシリーズの最初にもお断りしましたが、弱小チームとは言っても、それはあくまで予算と人員で分類しているだけですので、当然チームの成り立ちにはそれぞれに大きな違いがあります。
いや、このクラスのチームでは生き残ることこそが最優先課題なので、その為の戦略の違
いがそれぞれのチームをより個性的にしている
と言った方が良いでしょう。
各チームの内情をちょっと書いてみると、

■ジョーダン■
実は、わずか3年前には無限ホンダと組んで、年間2回の優勝とコンストラクターズ3位の
座を勝ち取った、輝かしい実績を持つチーム
でもあります。
エディが言うには、この成功があったことであまりにも性急にトップチームへの道を目指してしまい、年々予算と人員を増大させる政策をとったことが、結果的に今のチームの危機的な状況を作り出した大きな要因なんだそうです。
そんな背景があって、今年の始めには確か40〜50人のスタッフを解雇したはずで、実は昨年までは中堅チームだったのです。
いや、99年にはトップ3の一角を崩した訳で、実力的にも中堅チームの筆頭”だった”と言
えるのです。
昨年、琢磨がジョーダンと契約する時点では、まだ間違いなく中堅チームだったんですが、
開幕戦に現れたジョーダンは物量面でも、準備不足からくるドタバタぶりでも、既に弱小
チームに転落したことを露呈していました。

■ザウバー■
歴史的には、ほぼジョーダンと同じく90年代初頭からの参戦ということで、まだ新しい方のチームと言えます。
ペーター・ザウバーは、少ない予算で大きな実績を上げるという点で、F1界の筆頭と言え
ます。ここも、昨年にはコンストラクターズ4位に輝いており、今年5位であることからも実
力では中堅チーム
と言えます。
但し、これには一つのカラクリがあって、彼らはフェラーリと技術的なタッグを組むことで、
かなりのアドバンテージを得ているのです。

ご存知のように、ペトロナスエンジンは”1年落ちフェラーリエンジン”なんですが、実はこの
両者の関係はエンジン供給だけに留まりません。
簡単に言ってしまうと、ここはフェラーリの前年モデルの後ろ半分を、詳細な技術データご
とコピー出来る立場にあるようなのです。
これは、フェラーリに合わせて作られたと言っても過言ではない、ブリヂストン・タイヤとの
相性の面でもかなり有利であることが、分かっていただけると思います。
この”フェラーリのジュニアチーム”的な成り立ちを指して、エディはかつて「ザウバーのや
り方では、絶対にフェラーリに勝つことは出来ない。でも、俺んとこは違うよ。うちのチームはもちろん、フェラーリにだって挑戦できるんだ」
と皮肉を込めて言っています。

と、ここまで書いてきましたが、そろそろ長文の限界に達してしまったようです。
(えっ、とっくに越えてるって?(笑))
ということで、この続きは次回”弱小チーム編パート2”にて。お楽しみに!

P.S.来期のグランプリ金曜日テスト走行の件、何と6チーム(私が言うところの中堅と弱小)全てが、申し込みを行うみたいですね。
これが本当なら朗報です。F1がようやく、コストダウンへの第一歩を歩み始めるんですから。

 

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