≪F1界の構造(その2)≫
長らくお待たせしました。前回からの続編として、今回は中堅チーム編を書いてみ たいと思います。 A中堅チーム:年間予算200〜350億円、 人員250〜400人 ルノー、ジャガー、BARの3チームが該当します。 実は、このあたりになるとチーム力を計る尺度によっては、その顔ぶれが相当変動 するのも事実で、皆さんの中にはザウバーやジョーダンが入らないのを不思議に感 じる方もおられるかと思います。 しかし、今回はあくまで予算と人員(私の推測での)で分類していますので、その 点ご理解下さい。 以前にもお話しましたが、現在のF1は5年前と比較しても自動車メーカーの影響 力が極端に大きくなってきており、トップチームを含めたこれら7チームが、いわ ゆるメーカー系チームと呼ばれていることも大きな特徴です。 これらのチームは、単に自動車メーカーからエンジンの供給を受けるに留まらず、 何らかの形で資本が入っています。 簡単に言うとメーカーから(しかもかなりの額の)資金提供を受けている、という ことです。 世界的にスポンサーを獲得しにくい現在の経済状況において、自動車メーカーの 資金的なバックアップは、特にこのクラスのチームにとっては生死を分けるほどの 重要な条件です。逆に言うと、これら3チームはタッグを組んでいるメーカーが 突然撤退を決めれば、いきなり路頭に迷う危険性を常に孕んでいるとも言えます。 さて、これらの3チームの特色についてですが、前回のフェラーリ・トヨタと同様 にチーム内でエンジンを内製しているルノーが、このクラスの筆頭でしょう。 但し、フランス製のエンジンを使っているイギリスチームというのがその実態であ り、その意味では他の2チームと変わらないのですが、ここはかなりシャシー設計 を重視したエンジン作りをしているのが、他との違いでしょうか。 その分、トヨタなどとは逆に、シャシーは良いけどエンジンパワーが・・・、に なってしまっています。 あと、このクラスのチーム力を示す一つとして、個人的には風洞施設を所有してい るかどうかが大きいと思っています。 現代のF1はその空力性能の優劣によって勝敗が決まっていると言っても良いのは、 皆さんご存知の通りです。 そして、この風洞施設ってのが実は大変な代物なんです。 20年前に風洞というと、所詮は”空気の回廊”みたいなもんで、そこにマシンを 置いて相当な速度の風を当てるといったものでしたが、実はこの程度のものでは、 現在のF1には全く役に立たないんです。 何が変わったかというと、地面がその速度で動くようにしたことです。 専門的にはムービングベルト式と呼ばれたりしますが、例えば時速100キロの風 を当てると同時に、地面に設置したコンベアを時速100キロで動くようにした。 これによってタイヤも時速100キロで回転し、実際に走る時とかなり近い状況 (空気の流れ)を作り出せる訳です。 そして、この中で車の角度を微妙に変えたりしながら、発生するダウンフォースや ドラッグ(抵抗)を極めて正確に測定できるのが現代の”F1風洞”であり、 1/2スケールモデル用の風洞が現在の主流です。 一説によると、フェラーリは1/1モデル用のものもあるとか無いとか・・・。 少し難しい話になりましたが、要はとてつもなくお金のかかる設備であり、これを チームで所有するのはその維持費も含め、大変な負担になることが分かってもらえ るでしょう。 ちなみに、今回の3チームではルノーとBARが所有していますが、ジャガーはア メリカにある施設を借用しているそうです。 オフシーズンともなれば、F1チームの風洞設備は1日16時間以上稼動している とも言われてるぐらいで、これを持たないチームの不利は歴然としています。 もちろん、トップチームが全て風洞を持っていることは、言うまでもありません。 但し、次回に登場する予定のアロウズなんかは、もちろん風洞なんて持ってません が、今年のシャシーは抜群でしたよね。 これはマイク・コフランという人がデザインしたんですが、やっぱりデザイナーの センスって大きいんですね。いくら良い風洞を持っていても、今年のBARみたい になってしまうところが、面白いとこでもあります。 だって、そういう所が残ってないと「地獄の沙汰まで金次第」になっちゃうし。 今回はちょっと難しい話になってしまいましたが、中堅チーム編、お楽しみ頂けた でしょうか?次回、弱小チーム編に乞うご期待!皆さんの応援する○磨のチームも もちろん登場します。 えっ?藤麿さんじゃないですよ(爆)私は藤麿さんも応援してますが(笑) |