≪F1界の構造(その1)≫
このところ、琢磨選手の行き先について様々な憶測がされていますが、これはF1 において、所属するチームがその成績を大きく左右してしまうことの現れであると も言えます。 F1ではよく、トップチーム、中堅チーム、弱小チームとか、チームの規模や力の 差を示す表現がされます。しかし多くの場合、それはチームの成績のみによって判 断されがちです。何故って、F1ファンにとってはそれが一番分かりやすいからで す。では、本当の意味でのチーム力って何なのでしょうか?今回は、F1チームの 格差を題材に、F1界の構造について考えてみたいと思います。 まず、予算と人員数によって各チームを分類してみたいと思います。 先週も少し書きましたが、F1チームの予算というのはかなりピンキリで、さらに 全体としては高騰の一途を辿っています。 ちなみに、各チームの予算というのは、実際には厚いベールに包まれていて、正確 なところは来期のドライバーラインナップと同じくらい不透明なので、私自身も 色々な雑誌や本、ネット情報等からの類推に過ぎないということを最初にお断りし ておきます。 ①トップチーム:年間予算350億円以上、人員400人以上 フェラーリ、ウィリアムズ、マクラーレン、トヨタ!の4チームが該当します。 トヨタ以外は、この20年間を通しての戦績でもトップ3ですので、皆さん特に異 論はないと思います。 逆に、新参のトヨタチームの特色がここに現れているとも言えます。 彼らは、参戦初年度からトップチームと同様の予算と陣容で臨んだ訳ですが、実は スタッフの大半はWRCラリーやスポーツカーレースでこそ経験豊富ながら、F1 では全くのド素人だったのです。 そう考えると、今年の成績は予算からすれば最低レベルとも言えますが、1年間の 経験を積んだスタッフの底力からすれば、来年は凄いことになるかもしれません。 また、フェラーリとトヨタが他のチームと大きく異なるのは、自チーム内でエンジ ンも内製していることです。 実を言うとトヨタは、2年半ほど前にフェラーリのエンジン部門のナンバー2を引 き抜いて、エンジン設計を進めました。 現トヨタエンジンが”フェラーリエンジンに似ている”と言われる所以でもありま すが、この2チームは、一説には予算500億円以上、人員500人以上とも言わ れている点も含め、実は多くの共通点があるトップ中のトップなのです。 ちなみに、私が考えるトップチームの条件を1つだけ挙げるとすれば、 「持ち込み資金(スポンサー)を一切考慮せずに、ドライバーを選ぶチームである こと」だと思っています。 これは、過去20年間(もちろんトヨタを除く)、例外なく守られてきたトップチ ームの”伝統”で、だからこそドライバーにとってはトップチームに入ることに 価値がある訳です。 もちろん、ドライバーの国籍が微妙な影響を与えることはありますが、少なくとも F1の中でも相当な実力であると評価されない限り、どんな手段を使っても入るこ との出来ないチームなのです。 以上、トップチーム編でした。次号、中堅チーム編に乞うご期待! |