≪F1界の構造(その10)≫

今朝ここを覗いた時に、私の先週の投稿がまだトップページにありましたが、これはこの連載
の開始後初めてのことです。このところ、この掲示板への書き込みが減ってきていて、ちょっ
と寂しいですね。ここに来られる方は、琢磨をきっかけにF1ファンになられた方が多いで
しょうし、やはり琢磨の走らない今年のF1にはあまり興味が湧かないのでしょうか?そんな
方に少しでも興味を持ってもらえるきっかけになれば、私としても嬉しいのですが。

さて今回は、新しい予選システムについて書こうと思っていたのですが、最近のF1テストで
絶不調が伝えられているジョーダンチームの現状をとても心配している一人として、衝動的に
私なりの応援演説?をしたくなったので、急遽予定を変更して「頑張れジョーダン編」をお送
りすることにしました。

ご存知の通り、ジョーダンは昨年まで琢磨が所属したチームですが、特にここ2年間は資金難
に苦しみ続けており、今年はホンダエンジンだけでなく昨年までのメインスポンサーであるド
イチェポストまで失って、非常に厳しいオフシーズンを迎えています。いかにその台所事情が
厳しいかは、ここ1ヶ月余りのチームの動きを見ていれば一目瞭然です。ジョーダンは今年から
エンジンが変わったために、昨年モデルの進化型であるハイブリッドマシンを走らせることが
出来ず、テスト開始はニューマシン待ちの状態だったにも関わらず、ようやくテストを始めた
のは他のチームがスペインで合同テストを開始してから10日以上経った、1月20日のこと
でした。

しかも、チームは新車EJ13をシルバーストンでシェイクダウンさせながら、ロウンチ(新
車発表会)らしいものは全く何も行わず、そのマシンも真っ黒なままで、まるでスポンサーが
全く決まっていないことを強調しているかのよう。思えば昨年も新車のシェイクダウンでは薄
い黄色という、何とも中途半端でスポンサー名も一切ない状態でしたが、今年は見ているだけ
でもさらなる深刻さが伝わってきます。そして、テストでは最初からトラブルの連続。それで
なくとも、今年からシーズン中のテスト制限を受け入れ、金曜日のテスト組に回ったジョーダ
ンにとって、開幕までにしっかりマシンを仕上げておくことは、他のチーム以上に重要だと言
うのに・・・。

これらの悪い流れは、元を辿れば全てが資金不足、つまりスポンサー確保の目処が立っていな
いことにあるのは明らかでしょう。一歩引いて冷静に見てみると、実はチームの資金力の差が
このオフシーズンのテスト状況にこそ、無残なまでに現れているとも言えます。トップチーム
は昨年の内からハイブリッドマシンでがんがんテストを繰り返しており、例えばウィリアムズ
のテスト走行距離は昨年中に、延べ1万キロを優に超えたと言われていました。さらに、ルノ
ー・ジャガー・BARは既にロウンチを済ませて、新車でのテストを複数のドライバーで行っ
ていますし、ザウバーも同様。唯一、まだテストを開始していないのがミナルディで、ここは
ジョーダン以上に深刻なのかもしれませんが、少なくとも2人のレースドライバーとテストド
ライバーが決定済みです。

最近、アロウズに支給されるはずだったTV放映権の分配金が、FIAから弱小チーム救済措
置としてジョーダンとミナルディに約20億円ずつ支給されたようですが、これはジョーダン
の年間予算の1割強に過ぎず、これで状況が変わるものではありません。もちろん、F1はマ
ネーゲームでもあり、エディもそんなことは百も承知でしょうから、これはある意味仕方のな
いことなのですが、私はジョーダンチームの面々、とりわけ1stドライバーであるジャンカ
ルロ(フィジケラ)の事を考えると、何ともいたたまれない気持ちになってしまいます。彼の
ドライバーとしての能力とこれまでの実績を考えると、彼がこのような状況に追い込まれてい
ること自体に、少し理不尽ささえ感じています。

昨年、私と同じように琢磨を熱心に応援されていた皆さんは、同時にチームメイトであるジャ
ンカルロというドライバーの素晴らしさを、何度も実感(というか痛感?)されたのではない
でしょうか。それは、琢磨の才能とひたむきな努力、性能の上がらないマシンと格闘している
姿を理解しているからこそ、より鮮明に感じられたと思うのです。特に、モナコでの決勝5位、
カナダでの予選6位・決勝5位、ドイツでの予選6位、ハンガリーでの予選5位・決勝6位な
どは、彼の実力が存分に発揮されたレースだったと言えるのではないでしょうか。

ジャンカルロは、96年のデビューからこれまでの7年間、常にチームメイトを上回るパフォ
ーマンスをみせてきたドライバーとして、F1界でも高く評価されています。ちなみに、彼の
これまでのチームメイトは、P・ラミー、R・シューマッハ、A・ブルツ、J・バトン、佐藤
琢磨という、錚々たる顔ぶれです。そして私は彼のことを、F1で10本の指に確実に入るド
ライバーだと思っています。それだけに、彼の置かれている状況には何とも言えない気持ちに
なるし、ジョーダンチームに頑張って欲しい、彼に良い車に乗せてあげて欲しい、と切に願っ
ている訳です。

何となくジャンカルロの応援歌になってしまったかもしれませんが、私は昨年琢磨と共に戦っ
た人々、つまりエディを始めギャリー・アンダーソン、ジェームス・キー、メカニックの方々
にも、大きなエールを送らずにはいられません。そして、ここに集まる皆さんにも「琢磨があ
のチームに残ってなくて良かった」とは思って欲しくないのです。この気持ち、分かって頂け
るでしょうか?

では、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

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