「誘拐」66/郊外のパーキングエリア

「あー、何回死ぬと思ったか」
「意外と運転うまいじゃない」
「冗談じゃない。あんな運転そうそう出来るか。 大型トラックと一台も出会わなかったから良かったようなものの」
「さてと。お嬢ちゃん、お外に出てきなさい」
そう言われたので、仕方なく外に出た。まだ8月なのにかなり寒い。
「まあ本当に可愛らしいわよねー、ほんと」
二人が僕の前後に立ち、薄暗い中で僕を見下ろす。僕は手のやり場に困って、スカートを握り締める。
「スカートはきなれてなくて気持ち悪いの?でも女の子でしょ?似合ってるわよ」
僕の顔に手を伸ばして、撫でるようなしぐさをして。
バチン。いきなり顔を叩かれた。
「可愛いお顔がかわいそうだけどー、逃げようなんて考える悪い子だから、お仕置きしなきゃね」
バチン、バチン、バチン。立て続けにひっぱたかれた。痛くて涙が出てきた。
「泣いてるお顔も可愛いわね。女の子だもんね、もっと泣いていいのよ」
バチン、バチン、バチン、バチン。
「い、いた、ぐすっ、いた…」
その時いきなり後ろに引っ張られ、車の後ろに押し付けられた。
パン、パン、パン。今度は棒か何かでお尻を叩かれた。
「いたい、いたい、やめ…」
「可愛い声出しちゃって。でもまだお仕置きは終わらないわよ」
パン、パン、パン、パン。
「いた、やめ、やめて、いた」
パン、パン、パン、パン。
「ひぃーー」
スカートから外れて、直接足に当たった。
「あら、ごめんなさい、太ももに当たっちゃったわね。あーら、跡が付いちゃうかな?でも」
パン、パン、パン、パン。
「おまえも、小学生相手に容赦ないなー」
「そお?小学生の時に下級生いじめたのを思い出して、つい調子に乗っちゃったかしら?」
「じゃあ私も一発」
パン。思いっきり強く叩かれた。
「ひぃ、いたい、いた、ぐすっ」
「さあ、お嬢ちゃん、その可愛いお口で、 『もう暴れません、お姉さん達の言うことを素直に聞く女の子になります』って言いなさい」
そんな事を話しかけてくるが、こっちは痛くて返事する気も起きない。
「ぐすっ、いた…」
パン、パン、パン。
「いたい、やめて…」
「そのお口で早く言いなさい、でないと…」
「はい、ぐすっ、いいます。もう暴れません」
「うん」
「もう暴れません、お姉さん達の言うことを素直に聞いて、えっと」
「『物静かな女の子になります』」
「物静かな、女の子になります、ぐすっ」
「よし………本当に静かにしてる?」
「はい、ぐすっ」
「でもさ、また検問があると、さっきみたいに顔を見られるぞ。 どうする?カバンに入れてトランクの中に放り込もうか?」
「でもトランク開けろと言われたらおしまいじゃない」
「そうだなぁ。……おまえ、警察官にあっても、黙ってられるか?」

すぐに返事をする
痛くてすぐに返事が出来ない


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