F英国福祉日記


Vol.09 1997年12月07日Sunday
 いつも通りに朝7時に仕事に行ったある日。生徒の部屋でヘルプをしている傍ら、目線をテレビのBBC2に移したら、クリントン米大統領が深刻な話をしているではありませんか。「どうせホワイトウォーター疑惑か何かだろう」と軽く聞き流していたら、どうやらそうではありませんでした。日本の金融が破綻危機におかれているとか、都市銀が倒産したとか、私の耳に飛び込んでくる恐ろしいニュース…思わず仕事の手が止まっちゃいました。『山一証券自主廃業』とは…。中国の新華社も「バブルのツケ」「総会屋との癒着で顧客の信用を欠落」を理由で報道していました。日銀特融もここ数年で相次ぎ、結局、そのツケが近い将来、我々に廻ってくるのでは…しばらく唖然としてしまいました。ただ、私の英語力にも限度があるので、詳細がわかりましたら、情報提供をお願いします。余談ですが、スタッフの数人にも同情されました(笑)。

 いきなり文頭で深刻なことを書いてしまいました。私らしくありませんよね。Y.S.早速のお手紙ありがとう。あなたもたくさん英国に友達がいるんだね。顔が広ければ広いほど(面積ではないよ)、様々な機会がやってくると思います。うーん、私も負けてられないな。T.S.北海道の畜産系大学からの自主留学で英国生活を送っている…若いのにしっかりした考えを持っていらっしゃるのですね。当時の私には(今の私もそうかも知れない)そこまで行動に移すまでの勇気と考えをまとめる能力を備えていませんでした。来春までスティのことですが、がんばってバター作りを学んでください。T.N.素敵なお手紙(?)受け取りましたよ。あなたは英国をそのように捉えていたのですか。私はジャラジャラ重いものをつけてなければ、モヒカンにもしていないし、ましてやドラッグなんぞ、見たこともありません。お仕事は順調そうだね。冬休みはどうするの?M.I.様々な資格試験を受けたようですが、満足のいく結果を得られたでしょうか?様々な事に目を向け、自己啓発している姿勢は私も見習わなければならないことです。11月は連休もあるようですが、きっと勉強の為に消化されてしまうのだろうな。私もTOEICでも受けてみないとね。でも、毎週のように行なわれている試験の為に、意外と実行に踏み切れない情けない自分です。試験が終われば楽しい年末が待っているのかな?Y.T.「聖職」ならではの悩みですね。「自分の存在意味」ですか…(今の私にはその意味自体存在しないなぁ)。でも、存在自体が無意味なハズはないでしょう。Y.T.にお世話になりましたから、今の私が存在するのです。自惚れになりますが、私の過去はどれもが誇れる事ばかりです。経験、友達、勉学…どれもY.T.を経由して習得していきました(英語の成績に反映されませんでしたが)。必ず、今の生徒もそう思える時が来ることでしょう。その日を信じてがんばってください。N.O.教員採用試験合格おめでとう!!なが〜い模索期間に終止符を打ちましたね。今までの努力は必ず、これからの教員生活に役立つことだと思います。確かに、これからが本番です。私もあなたの活躍を期待しております。K.W.愛情のこもった(?)FD&MDありがとう。5カ月ぶりに聞く日本の新曲です。MDは封筒に気楽に同封できるのでいいね。私も英国の曲でよければ同封します。興味があったら教えてね。

 私事ですが、この施設に新たな日本人が派遣されてきました。私の職場に一人の女性、そして別館にもう一人の男性です。日本人ボランティアの中で私が一番年下になってしまいました。今は日本語漬けにならない生活を送っていますが、日本に帰ってからも同じ話題が話せるからいいかも。とにかく今の私は英語習得が第一。もっと自分に厳しくならないとね。

 そうそう、またまた「小判鮫」をしてしまいました。前回に引き続いて、GloucesterのVirgin Cinema『Face/Off』をスタッフと生徒たちと見てきました。きゃ〜、トラボルタさ〜ん!! 最後の最後まで結果が分からない、ハラハラドキドキの内容に、私は満足のいく四つ星を付けてあげました。あえて内容は言いませんので、是非お試しあれ!そして翌日は、またまたGloucesterなのですが、YMCAで催されたRock'n Roll Partyに前者と同様、行ってきました。'50s がガンガンに流れる体育館で、大方50〜over60のカップルたちがぐるぐる回り踊る…とすごい光景でした。皆さん、とても若く見えたのはなぜかな?きっと当時はブイブイ言わせていたのだろうな。私も負けておられず、Rock'n Rollしてきました。結局帰宅したのが12時を回っていて、さらに3パイントのアルコール。翌日の仕事が最悪だったことは容易に想像できることでしょう。「Hiro, are you alright?」と一日中言われてました。恥ずかしい限りです。

 教会訪問も今では私の習慣となりました。2つの異なる教会でのサービスは英国生活の文化なども習得できるからこれからも通いたいです。今回、初めて「儀式」を体験しました。パンとワインを頂くサービスです。聖書に書かれていますが、よく理解できぬままに体験しました。各教会によって、毎週だったり、3カ月ごとだったりと様々。私から言わせれば同じプロテスタントなのにね…私にはまだまだ理解できない世界です。毎回、どなたかにディナー(=夕食と考えるのは日本人だけ?身分によって昼食だったり夕食だったりするのです)に招待されております。英国の家庭が毎回体験できるので嬉しいです。それにしても、自費で食事をする機会がめっきりなくなったなぁ。

 この前、Christmas色に飾られた街の一角にある、大きな公園に移動遊園地が来ていました。スライドコースター(と呼ぶのかな?横長のベンチにみんな座り、真横にグルグル回るアトラクション)に乗りました(というより乗せられました)。£1.00(\200)と破格でした。…めちゃ腰が抜けてしまいました。£1相応の乗物にしてほしかった…

 ある日の夜、私のかわいい生徒が19歳の誕生日だったので、8人の生徒と共に街へ行きました。今回のpubは金&土となると大勢の客でごった返す人気店。私もハイネケンとサイダー(完全に定番となったこの飲みもの)を頂きました。結果的に生徒全員が酔っ払ってしまい、最後には私の頬にキスをした有り様(全員男だぞ!!)。〜恐かったよ〜。まぁ、誕生日に関係なく、よく生徒からご指名を受けるので、仕事中にもpubへ行くことが多くなりました。すこし肝臓を労ったほうがいいかな?余談ですが、ここのスタッフからも私のお酒の強さを指摘されました。そして、christmasにスタッフ宅での飲み比べ大会にエントリーされてしまいました。別に私がお酒強いわけではないと思うけれどなぁ(現に大学メンバーはみな強かったしなぁ)…困ったものだ…

 前述したGloucesterの映画館ですが、またまたまたCinemaに同行。今回は『Alien:Resurrection』というSFバリの恐い映画でした。どこにも笑いがなく、涙なく…日本に戻ってもレンタルしないだろうなぁ。ちなみに来週末は『007 ~Tomorrow Never Dies~』です。やったー。待望の作品です。今回のボンドガールは久々のアジア系の方です。激しいアクションとキザ(?)なセリフをきちんと習得しなきゃ(!?)他にも『Home Alone 3』『G.I.Jane』など、魅力ありそうな作品がどしどし英国入りしております。まぁ、さすがに『Spice World The Movie』(Spice Girls主演)だけは興味を抱きませんでしたが。これは日本には上陸しないだろうなぁ。話のついでに、ディズニータイアップの『もののけ姫』は来春、英国に上陸します。日本で社会現象となった(?)作品だけに、私も見逃せません。

 この前の週末は、生徒を率いてWorcesterに行ってきました。日本語で書くとみんなも知っていると思うけれど、「ウースター」、ウースターソースの発祥の地で、Cheltenhamからクルマで約1時間くらいに位置しています。絵本に出てくるようなかわいい町並に私は心を奪われました。生徒は家族へのChristmas giftを購入、私は先日切らした石鹸を購入しました(むなしい…)。今度はoffの時に、のんびり時間をかけて散策したいです。

 施設でもChristmas Partyが催されるようで、私もドイツ人の方とジョイントの生演奏をさせられるようです。今は、めちゃめちゃ鍵盤の重いピアノを一生懸命練習しております。今まで、YAMAHAの『V50』というオールインワン・シンセしか使ったことがなかったので、アナログ演奏の難しいこと難しいこと!! 彼はトロンボーンを使い、ちょっとしたジャズ形式なバンドとなりそうです。…できることなら辞退したいよ〜(かなり弱気な私でした。来年は念願のRock Bandを結成する予定!?)。

 今月は師走。てっきり英国ではのんびり過ごせるかと「お気楽極楽」モードでいたのに…毎日がなぜか忙しくて、『Dis-Com』の制作が遅れがちになってきております。day onの時は、引率がてら街へ夜遅くまで繰り出し(生徒やスタッフたちとお酒をたくさん飲み)、それが連日だから、寝不足気味。day offの時は、私を尋ねてくる友人が多くなり、その度、外出することになり、帰宅すれば、酒気帯のため即爆睡…。洗濯物と勉強課題と手紙が溜まる一方で困っています。そんな多忙な生活も、あと2週間足らずでChristmas Holidayに突入。おかげ様で私の休暇も予定が埋まり、楽しく年を越せそうです。前回のHalf Termに引き続いて、友人宅訪問ツアーです。今回は施設のスタッフ宅&生徒宅のパーティーなどに乱入してきます。またまたお酒漬けになりそうですが、肝臓を労りながら楽しんできます。皆さんも忘年会シーズン突入かと思いますが、何事も「楽しむ」ことを優先してください。それで体を壊したなんていったら洒落になりませんしね。

 それでは、また続報を送れると思います。その時まで、See you!

トピックス

人権保護法案を発表』
−政府−
 政府は来年をめどに「欧州人権条約」を国内法に盛り込む意向を固めた。
 英国内における個人の基本的人権は欧州人権条約により守られているが、国内法には反映されていないため、これまで半世紀の間、人権をめぐる訴訟はストラスブールの欧州人権裁判所に持ち込まれてきた。
 新法案ではプライバシー尊重や公正な裁判を受ける権利、言論や集会の自由など、同条約の主要条項のほか、財産の享受、教育、自由選挙などに対する権利を定めた追加規約が盛り込まれる予定。しかし、死刑の恒久廃止は当面対象外となる。
 法制化されれば、国内の裁判所は人権に基づく判断を下せるようになり、警察や入国管理局などの司法当局に対しても人権上の歯止めがかかることになる。

『IRAが内部分裂?』
−停戦継続めぐり意見対立−
 北アイルランド和平交渉が波乱気味のスタートを切った中で、停戦継続をめぐってアイルランド共和軍(IRA)内の意見が割れていると報じられた。
 政府情報部筋がデイリー・テレグラフ紙に明らかにしたところによると、IRA幹部50人が10月11日、秘密会合を行ない、停戦の継続について協議した。会合に加わったIRA政治機関シン・フェイン党の幹部は、和平交渉は前進しているとし、停戦の継続を主張。最終的には停戦継続が決まったが、南北アイルランド統一という大義を実現するためには武力闘争しかないと主張するIRA幹部は半数近くに及んだ。
 主な闘争再開派は、軍参謀長や前参謀長、南部司令部長の3人で、いずれもテロの主犯として指名手配中。IRAメンバーの3割までがテロ再開を支持したとされる。
 情報部筋は、IRAが分裂する可能性は現時点では薄いと見ている。しかし、IRA幹部が他のテロリスト集団と水面下で協力しているとの報告もあり、和平交渉の進展次第ではIRAの武力闘争再開も今後十分考えられる、と見られている。

『各国警察の連携強化を』
−ストロー内相が呼びかけ…サッカー暴動対策−
 来年6月にフランスで開かれるサッカーのワールドカップ(W杯)を前に、ジャック・ストロー内相は10月21日、フランスの内相及び法務相と会見。サッカーファンの暴動を防ぐために、両国の警察が協力することを確認した。
 ストロー内相はまた、欧州各国の警察・サッカー関係者を招いて、ブラックバーンでサッカー暴力に関する欧州連合(EU)会議を来年初旬に主催すると発表。「確固たるフーリガン対策を立てる」と強調した。
 W杯観戦のため海外からフランスを訪れるサッカーファンは、英国人約4万人を含む約80万人と推定されている。決勝戦の入場券予約はフランス国内だけですでに100万枚に達した。先月ローマで行なわれたイタリア対イングランドの予選では、英国人ファンと地元警官隊との衝突騒ぎがあり、本大会でも同様のトラブルの発生が懸念されている。
 国外の試合で暴動を扇動した前歴のあるものには、裁判所が渡航制限命令を出せるが、実効力は薄い。情報収集などて各国警察が一致団結できるかどうかがカギとなると見られている。

『9歳少年が轢死』
−ホルボーン地下鉄駅−
 ロンドンの地下鉄ピカデリー線のホルボーン駅で10月21日15時10分、車両の扉にアノラックのボタンを挟まれた少年が、発車した列車に轢かれて死亡した。
 ロンドン北東部ハックニー在住のアジット・シン君(9)は、同行していた義父より一足早くプラットホームに到着し、北方向行の列車に乗ろうとしたところを閉まりかけた扉にアノラックのボタンを挟まれた。列車はそのまま発車し、父親や他の乗客数百人がなす術もなく見守る中、列車に引きずられたアジット君は、壁に叩き付けられた後、車両に轢まれて即死した。
 地下鉄の車両は、扉が完全に閉まらない限り発車しないよう設計されている。しかしボタンは小さすぎて扉の障害物と認知されなかったのと、ロンドン地下鉄は説明している。
 同地下鉄は94年、安全委員会から、列車を即時停止させる非常用コードの設置を勧告されていた。