F英国福祉日記


Vol.08 1997年11月16日Sunday
 日に日にお陽様の顔を出す時間が短くなってまいりました。朝8時にさわやかな朝焼けを見、昼2時頃に陰が伸び、夕方4時には沈んでしまうのです。実質8時間の「日中」と16時間の「夜中」の世界です。…天気も最近頻繁に変化して困っちゃいます。分刻みで晴れと雨が入れ代わるのだから。それにあわせて私の気分も晴れたり曇ったり…う〜ん、最近「負の安保」が頻繁に出てくるなぁ。しっかりしないと。ふぁいとぉ〜、Yukihiro!!

 今回の『Dis-Com』は予想以上早く完成したので、すぐ発信いたしました。というのも、Lomdonで張り切ってネタを集めすぎたためであり、また、その間に日本からの手紙が溜まっていたからなのです。お騒がせしました。

 Y.T.数々の語学習得の良きアドバイスをありがとうございました。生徒の中にも真剣に英語学習に励んでいる方がいるなんて…当時の私には考えられないことです。あまり頼りになりませんが、その生徒のためにも、私なりの英語圏の生活状況等をこの『Dis-Com』を通して伝えていきたいです。Y.S.ベトナムからのhotな便りありがとうございました。「ベトナムの人は笑顔がとてもGoodです。でも人がよすぎて親切なのか下心があるのかわかんない時があって困ります。でも、言葉がわからないながら会話をするのも今は楽しみのひとつです…」と。わぉ、アジアしているなぁ。K.B.長々とおじゃましました。今回体験した丸一週間ものVegetarian料理の生活は良い経験となりました。P.N.、J.D.、S.O.、B.S.らもいろいろとありがとうございました。私にとってLondonは第4の故郷です(第2は南京、第3は北京)。M.M.はるばるCheltenhamまでようこそ。私にとっての最初の訪問客となりました。…といっても下界にほとんど下りない私なので、観光ポイントの知識は皆無でした。英国一の障害競馬場、鉱泉の飲めるPump Room、『惑星』の作曲家・ホルストの生家など…今回初めて行きましたね。全部歩いて廻れるところなのにね。M.M.が今回Cheltenhamで会うPenpalとは8年の付き合いですか?しかも米、伊、豪などにもPenpalがいると言うからそれまたスゴイ!!年賀状しか書かない私としては見習うべきことですね。M.I.すみませんでした。せっかくのFDなのですが、私のではドキュメントファイル(DOC)は開かないのです。強引に開けると、第3の言語となって化けてしまうのでした。

 私ごとですが、とうとう風邪を引いてしまいました。しかもLondonから戻った翌日です。何を隠そう、今までの私の部屋は蛍光灯全てが壊れ、ヒーターも作動しない状況だったのです。今までは日も長かったし、暖かかったので、気にも留めませんでしたが、今回、私が実際に倒れてからというものの、余りに悲惨な環境にみんなが気づいてくれて、スタッフや友達らが動き、3日後に全部復活しました。今は人並みの生活を送れるようになりました。もっと早いときから実行すれば良かったのにね(…Yukihiroに言っているんだぞ!!)。

 風邪をひいているときに、ふと思ったのですが、「この部屋は殺風景すぎる」と。普段は長い時間部屋にいることがなかったので気がつきませんでしたが、3日間ほどいて耐えられなくなりました。私はどちらかというとシンプル派なので、壁にベタベタ貼るのは嫌いです…が、この部屋はtoo simple!、元気になり次第、街にて特大ポスターを購入してきました。知っているでしょうか?『Lunchtime Atop a Skyscraper』という白黒の写真で、超高層ビルの工事現場で、作業員達がのんびりと食事している内容です。個人的に気に入っております。すぐに部屋に飾りましたが、まだまだ足りず、日本から持ってきた友達と私との『2ショットシリーズ』をずら〜っと貼りました。80人分の個性的なポーズが私の孤独感を打ち消してくれます(撮影した方はすぐにピーンとくる写真なのですが、渡英前に会えなかった方は何のことか見当もつきませんよね?いわばプリクラの写真版で、渡英する為に、1年前から撮り続けてました。その賜物が今回の80枚の写真なのです)。

 風邪をひいててもう一つ発見!…なんと私の洗濯物が溜まりすぎてました!!(汚い話ですね)。だから部屋のデコレートと並行して洗濯しました。今回は2台の洗濯機を同時に使わせてもらいました(とても1台じゃ終わらない量なのでした)。4本のズボン、9枚のパンツ、2枚のTシャッツ、5枚の長Tシャツ、9足のソックス、2枚のYシャツ、2枚のトレーナー、2枚のタオル…などです。あまりの量なので思わず数えてしまいました。皆さん、洗濯ものはマメにしましょうね。

 Cheltenhamに来て、またもこちらの教会に行ってみました。しかも2つの教会に掛け持ちです。一方がLondonで紹介された同系列の教会で、毎週土曜日に集いがあります。そしてもう一つが、私の職場の同世代のスタッフの通う教会で、毎週日曜日に集いがあるそうです。当初、私にとっての英国の教会は「京都&奈良の寺院」のようなものでしたが、英国人のキリストに対する考えが私の思っていた以上に奥深さがあり、「何故多くの日本人は無宗教なのだろう」と考えてしまいます。別に私がクリスチャンになるわけではありませんが、英国を知る上での一つの良い機会だと思いますので、これからも参加したいですね。…ところで今年の二年参りはどうしよう!?近くに神社はないかな?

 とある休みの日、私のかわいい(?)生徒たちが映画に行くので、私も便乗、しかもタダ見という特典付きでした。Cheltenhamからクルマで約20分の大きな街、Gloucestar(グロスター)というところで、この日が私にとって初めてのGloucestarでした(もう2ヶ月以上住んでいるのに…最近出不精になっちゃってるな…)。『Shooting Fish』という、英国のコメディー映画でしたが、映画評論家の私(?)から言わせるなら、日本ではまず上映しないようなB級映画でした。ビデオ化になれば幸いかも(でもランキング入りしているし…う〜ん、わからん)。個人的には、隣のブースの『Face/Off』『Hercules』の方がよかったなぁ…なんてムシのいいこといっているバチ当たりな私でした。

 そして久ぶりの『Air Balloon(Pub)』に行きました。やっぱりお酒っていいですね〜。帰り道はまったく街灯のない真暗な道…だったのですが、この日は最高に美しい満月で、陰が出来るほどの明るさでした。これで横にいる友達が女性だったら…なんて考えてしまう私って不純かなぁ…。

 次の日、久ぶりに朝寝坊。9時にシャワーを浴びて部屋に戻ると、見慣れない黒髪の女性が待ち構えていました。「Hiroですよね?」と。なんと彼女は、10月に「The National Star Centre College」の別館に、ボランティアとして派遣されたそうです。別館とは、Cheltenham市内にある生徒の寮で、私と同様の仕事を来年の夏までするそうです。彼女は生徒経由で私の名前を聞き、訪ねてきたそうです。わぁ、私の他にも日本人がいる〜!日本人が身近にいることって、とても心強いですね。

 今回の週末の仕事は2日間とも引率でしたので、遠足気分で楽しかったです。土曜日には私の9人のかわいいレジデンツを率いて、南の街、Bristol(ブリストル)の動物園に行きました。日本と同じタイプの動物園で、別に特徴のある動物などはいませんでしたが、やっぱり嬉しいものです。個人的にペンギンが好きで、VictorのDV-VideoのTV-CMに出てくる「That's a Video!!」と驚き叫び、そして踊るペンギンと同タイプがいました。いやー、持って帰りたかったですねぇ。

 そして日曜日には私の愛しい53人のレジデンスを連れて、北の街、Birmingham(バーミンガム)のチョコレートファクトリー『Cadbuery World』というチョコレート専門のアミューズメントパークに行ってきました。チョコレートの歴史、チョコレートの製造過程、チョコレートのCM制作…とチョコレートだらけの観光地で、チョコレートを食べながらいろいろと廻る仕組みとなっております。ここは英国の家族で大繁盛でした。英国の皆さんは本当に甘いものが好きなのですね。私は胸焼けしてました。もしよければ、みなさん方も6パイント(約3kg)のチョコレートを一気に召し上がってくださいな。きっと英国での経験が自宅にて出来ることでしょう。

 日本では気の早い話題でしょうが、英国では10月の中旬からX'mas色が強くなっております。店先にはもらってうれしいアイテムの数々、通りにはうっとりするようなイルミネーション、耳に入るX'mas Song、夕方になれば、カップルが恋を語らいながらゆっくり歩くプロムナード…。私にとっては最悪の環境です〜。なおさら孤独感が身に凍みるじゃないの〜!!。誰がX'masをこんな「カップル」や「家族」のモノにしたのでしょうか?何か気を紛らすことでも見つけないと…。皆さんは私のようにならないように、早め早めの予定をたてましょう。

 それでは、また続報を送れると思います(落ち込んでいなければ)。その時まで、See you!

トピックス

『欧州通貨統合、原則支持を表明』
−蔵省「向こう5年間は不参加」−
 ブラウン蔵相は10月27日、欧州通貨統合に関する政府法案を下院で発表した。向こう5年以内に加盟する可能性を排除した上で、「国内経済の諸条件が整った場合、次期政権の早い時期に加盟する」と述べ、英国政府として初めて通貨統合に原則支持の方針を持ち出した。
 蔵相は、通貨統合参加について5つの判断基準、●英国と欧州の経済の収れん
●国内経済の弾力性 ●投資への影響 ●金融サービスへの影響 ●雇用への影響、
を示した。これらを考慮した結果、現政権中の加盟は次期早々と判断、99年の第一派での参加を事実上否定した上で、次期総選挙後、これらの諸条件が整い、単一通貨「ユーロ」が軌道に乗った場合、加盟する意向を明らかにした。加盟時期の特定は避けたものの、2001年ないし2002年に予定される総選挙で労働党が再選された場合、6カ月以内に通貨統合参加をめぐる国民投票が実施される公算が大きい。
 保守党はこれより前、今後10年間は通貨統合に参加しない方針を明らかにしていることから、通貨統合が次期総選挙の争点となるのは確実だ。
 蔵相は、産業界に対し通貨統合参加に向けてユーロ導入などの準備を進めるよう要請した。
 蔵相は10月18日付のタイムズ紙のインタビューで、非公式に通貨統合に対する方針を明らかにし、株式相場に影響を与えていた。その収拾を図るとともに、野党から政府方針の明確化を求める声が高まったのを受けて、国会開会初日での発表に踏み切ったもの。

『「医療少年院送致」の処分に決定』
−神戸市小学生連続殺傷事件−
 神戸市須磨区で、今年2月から5月にかけて、小学生の男児1人、女児4人を殺傷する事件を起こした容疑者の中三の少年に対する終局裁判が10月17日、神戸家裁で行われ、「医療少年院送致」が言い渡された。
 当時14歳だった少年は、小学六年の女児二人をハンマーで殴り、四年女児の頭をげんのうで殴って殺害し、三年女児の腹部を小刀で刺して二週間の怪我をさせた。また、知り合いの六年男児を誘い出し、絞殺してその頭部を切断して、中学正門に置くなど、残忍な一連の殺人事件を起こした。少年は6月28日逮捕され、7月25日、神戸家裁に送られた。
 長男である少年は、両親から大きな期待を受け、厳しくしつけられたため、両親から愛されていないという感覚を持ち「自分の人生は無価値」などの劣等感を抱いていた。小学五年の時、かばってくれる祖母が死亡して以来、猫などの小動物の解剖を始めた。約二年前から殺人の衝動を抱くようになり、劣等感から「強者になることで弱者を支配できる」と、殺人を正当化している。
 少年犯罪史上異例の凶悪事件であったため、同家裁は決定内容の要旨の公表に踏み切った。「性格的偏りが見られるが精神病ではなく心神耗弱ではない」と判定された少年は、今後、深刻な精神障害に陥る可能性もあり、「十分更生されるまで」関東医療少年院に長期収容される。

『公立学校卒の学生の割合を増やす計画』
−ケンブリッジ大学−
 英国政府は、英国高等教育基金審議会に、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学が、個々の学生の授業及び教育設備補自費としてた大学よりも年間£3,500万(約\70億)を受け取っていることに対する再検討を行うように要請していた。これに対する対策として、ケンブリッジ大学は、公立学校から入学する学生の割合を3倍増やすことを計画している。
 労働党大会でブラウン蔵相は「オックスフォード大学とケンブリッジ大学が、学生の半分を私立学校から入学させ続けるのであれば、資金をほかの大学にも分散すべきである」と述べた。そのため、ケンブリッジ大学は、公立学校からより多くの学生を入学させることが大学への援助金確保につながると見ている。現在ケンブリッジ大学の学生半数が公立学校から来ているが、新しい案では、3人のうち2人を公立学校から入学させる計画。
 ケンブリッジ入学討議会の会長、スーザン・ストッブ博士は、最も優秀な学生をとるために、公立学校から65%。私立学校から35%の学生を取るというのが妥当な目安であるが、同時に、このような割当制度を導入するつもりはないと述べている。
 一方、オックスフォード大学では、来月、この問題についての意向を発表する。

『爆弾テロで死傷者125人以上』
−平和へのプロセスを妨害、スリランカ−
 スリランカの大都市コロンボの中心部のホテルの駐車場で、10月15日午前7時頃、トラック爆弾が爆発、死者15人、負傷者110人以上が出た。負傷者の中には英国、日本、仏国、米国などからの約30名の旅行者が含まれている。スリランカ政府は、タメル人過激派「タメル・イーラム開放のトラ」の、政府の過激な平和プロセスへの妨害テロであると見ているが、タミル側はそれを否定している。
 爆撃者らは、都心の高級ホテル、ガラダリホテルの警備員4人を射殺し、駐車場に侵入し、爆弾を仕掛けたトラックを置いた。爆弾は約6メートルの深さの穴を残した。
 コロンボ中心部は昨年1月の大爆発の後の再建設をまだ終えていなかったが、今回の爆発は更に国の経済に影響を与えることになる。国の収益の柱となっている観光業に大きな打撃が与えられた。
 クマラトゥンガ大統領は、爆撃を非難しつつも、国内の人種争いを終わらせるための政治的解決を見出す計画を強行する意志を述べた。

『9月の小売売上高、大幅に落ち込む』
−暑さとダイアナ葬儀が主因−
 国立統計局(ONS)の発表によると、9月の小売売上高は前月比で1.9%減少し、予想を上回る落ち込みを示した。例年より暖かい日に恵まれたことや、ダイアナ妃の葬儀が行なわれた土曜日に小売店の多くが半日休業したことが主因と見られている。
 9月の小売売上高は前月から2億5千万ポンド減少し、91年4月以来最大の下げ幅となった。ONSでは特別な事情が重なったことによる一時的な現象で、小売市場は安定基調にあるとしている。
 しかし投資筋では、これまでの消費ブームに影がさし始めたとの見方が強まっている。8月の時点での小売売上高の年間の比率5.4%は、9月に3.7%となり、11月には4%前後に落ち着くと予想されてる。
 ビルディングソサイエティーの銀行転換にともなう一時金の配当により好調だった家財製品の売上高も、前月比5.6%減と急激に落ち込んだ。インフレ懸念の一因とされてきた一時金の影響も、ほぼ収束した模様だ。シティ筋では11月中の金利は据え置かれるとの見方が有力だ。