#1「可奈子」
脚本:葉月九ロウ 絵コンテ:岩崎良明 演出:成田歳法 作画監督:前田明寿
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◆四月。東大に合格した景太郎・なる・むつみは、入学式の会場に向かっていた。
だが景太郎は、喜びのあまりはしゃぎすぎて、左足を折ってしまう。
◆五月。大学に通えない景太郎は、親から合格を疑われ、説明するために実家に戻ることになる。
◆六月。実家から帰って来ない景太郎をなるは寂しい想いをして待っていた。
ある晩、景太郎はひょっこり帰って来るが、瀬田が一緒だった。
前期の出席が無理だと判断した彼は、休学の手続きを取って、瀬田の発掘調査を手伝うために海外へ旅立つことを決意していた。
景太郎は「瀬田さんみたいに世界を回って発掘する」という夢を見つけたのだった。
◆七月。出発の日。空港で景太郎は、ひなた荘の面々の見送りを受けていた。
だがそこには、なるの姿はなかった。
なるは、景太郎に気持ちを伝えられず、空港の外で一人で落ち込んでいた。
そこに、機体点検で離陸が延びてしまった景太郎が現れる。
彼は、クリスマスのときに「好きだ」と告白した気持ちは、まだ変わっていないことを伝える。
「本当にそう思っているなら、どうして‥‥」と泣くなるだったが、「ごめん」と一言だけ謝って景太郎は旅立ってしまう。
◆そして八月の終わり。ひなた荘を見上げる一人の少女の姿があった。
◆突然、なるが、ひなたガールズに対して奇行に走り出す。
素子の体を撫で回したり、キツネの胸を揉んだり、スゥやサラの持ち物を処分したり、しのぶのスカートを捲ったり。
◆怒ったひなたガールズは、なるを追い回すが、なんと偽者のなるがひなた荘に入り込んでいることが判明する。
◆追い詰められた偽なるは、むつみが届けに来た景太郎からの手紙を奪い取ると、その変装を解いた。
その正体は、景太郎の妹の可奈子だった。
彼女は、ひなた荘の新管理人としてやって来て、住人たちのことを調べ回っていたのだった。
反発するひなたガールズだったが、なるは可奈子を擁護する。
◆だが可奈子は、そんななるを無視して、厳しい規則で住人たちを苦しめていく。
◆可奈子が裏山の無人別館を立入禁止にしていることを不信に思ったひなたガールズは、
そこに可奈子の弱点があると確信して出かける。
◆みんなと可奈子が仲良くなって欲しいと願うなるは、そのことを可奈子に告げに行くが、
可奈子は景太郎と血のつながりのない妹であり、
幼い頃の約束のために今でも景太郎のことを想い続けていることを知ることになる。
◆可奈子は、地下で増殖していたメカタマを引き連れて、別館に向かう面々と衝突した。
◆そのとき、瀬田カーが突っ込んで来て、中から景太郎が現れた。
まだ誰も読んでいなかった手紙には、帰国のことが書かれていたのだった。
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#2「景太郎」
脚本:葉月九ロウ 絵コンテ:川崎逸朗 演出:高瀬節夫 作画監督:前田明寿
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◆景太郎がアメリカから帰って来たので、はしゃぐひなた荘の住人たち。
◆可奈子は久々に兄と再会するのだが、景太郎は成長した可奈子がわからないどころか、
彼女とした「約束」のことまですっかり忘れ去っていた。
◆なるは自分の部屋で物思いにふけっていた。
景太郎への返事のこと、可奈子が約束の女の子であると宣言したことについて、悩んでいたのだった。
だから、再会を喜ぶ景太郎が話しかけてきても、いまひとつ喜べないでいた。
◆景太郎は、素子の稽古の相手をしたり、自分の歓迎パーティの料理を手際よく作ったりして、住人たちに成長ぶりを見直される。
可奈子は、なるが景太郎の恋人であることまで知って、ひなた荘を去ろうとしていたが、
住人たちが景太郎に熱い視線を送る姿を見て、
「お兄ちゃんを一番好きなのは私‥‥あなたたちがどんなに見ていたって、私の方が好きなの‥‥」
と、諦めることができない自分に気づいてしまう。
◆景太郎を兄ではなく一人の男性として想うことを決意した可奈子は、翌日から行動を開始する。
住人たちを追い払う画策をして景太郎と二人っきりになり、あられもない姿で景太郎に迫るが、なるが割り込んで邪魔をする。
◆なるを足止めする必要があると考えた可奈子は、むつみを景太郎の姿に変装させてなるに迫らせ、
自分はなるの姿で景太郎に迫り、約束のことを思い出させようとするが失敗する。
◆このままではいけないと感じた景太郎は、かつて縁結びの宿と呼ばれていた無人別館になるを呼び出す。
別館は、告白したカップルは必ず結ばれ、泊まれば永遠に幸せになれるという霊験あらたかな場所だったのだ。
ところが、景太郎と可奈子を二人っきりしてあげようと仏心を出したなるは、可奈子を代わりに行かせてしまう。
◆はるかから別館の効力の恐ろしさを聞いたなるは、景太郎の元に駆けつけるが、とき既に遅く、
景太郎はなると間違えて可奈子に告白してしまった後だった。
◆別館の魔力が発動し、なるは景太郎に近づけないどころか、
景太郎が渡そうとしていた指輪さえもはめられない状態になった。
「私の勝ちです」と、可奈子は不敵に笑う。
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#3「なる」
脚本:葉月九ロウ 絵コンテ・演出:岩崎良明 作画監督:前田明寿
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◆景太郎は夢を見ていた。それは「一緒に別館に入って、ずっと一緒にいよう」と可奈子に約束している中学生の頃の自分自身だった。
◆なるも夢を見ていた。それは可奈子に指輪をはめる景太郎を止めようとする幼い頃の自分自身だった。
◆なるは別館の魔力のせいで、景太郎に近づけない状態が続いていた。
紛失した景太郎からの指輪も別館の時計台に発見するのだが、ここにも近づけないでいた。
ただ景太郎に寄り添う可奈子を遠目に眺めることしかできなかった。
◆そんななるを見て、ひなたガールズが詰め寄った。
「景太郎のことをどう思っているのか?」と。
返答に困ったなるは、その場から逃げ出す。
◆街を彷徨っていたなるは、健太朗の車に拾われて海へ行く。
なるは、「恋愛」を恐がっていた。
もし景太郎と恋人同士になったら、
しのぶや素子たちとの関係や景太郎との楽しい毎日も
失ってしまうのではないかと危惧していたのだ。
しかし反面、景太郎と恋愛をしたいという願望もあった。
その曖昧な態度に怒って、健太朗の変装を解いた可奈子が現れた。
可奈子も態度をはっきりするように詰め寄る。
しかし、誰にも愛されない子供時代の過去があるなるには返事ができなかった。
◆可奈子はなるに変装して、景太郎の前から逃げ出す。
追う景太郎。
可奈子は景太郎が自分に追いついたら、なるから奪い取るつもりで走ったのだが、
追いついた景太郎は、追いかけていたのが可奈子だと知っていた。
景太郎は約束を忘れていたことを謝り、兄として愛していることを告白する。
可奈子の心は揺らぐ。
◆そのとき、二人は別館は吸い込まれ、最上階に閉じ込められてしまう。
無人別館の呪力に逆らおうとしたためであった。
◆なるは景太郎を追って、ひとり別館の中に入る。
だが、別館の各階には、景太郎と可奈子を守るために、別館に呼び集められたガールズが待ち受けていた。
◆1階のキツネとむつみ、2階の素子とスゥ、3階のしのぶと、
景太郎との恋愛を決意したなるは、彼女たちに本当の気持ちを語り納得させながら突き進んで行く。
◆最上階では、可奈子が景太郎のなるへの強い気持ちを知り、退くことを決意していた。
◆ついに、なるは最上階に一人で居た景太郎の元に辿り着く。
だが、別館は半壊しながら二人を引き離そうとする。
なるは、時計台の針に捕われている指輪が別館の呪力に関係していることに気づき、
指輪を取り返すが、手から零れ落ちてしまう。
それを掴んだ景太郎は、最上階から落ちてしまう。
なるは、落ちて行く景太郎に抱きつき、「景太郎、好きーっ!」と叫ぶ。
◆その瞬間、別館は全壊し、呪力は消滅する。
景太郎となるは無事だった。
◆尚も「好き」を連発するなるに、景太郎は「ありがとう」と言って指輪を渡す。
なるは景太郎にキスをしながら抱きつき押し倒す。
二人は一連の様子をみんなが見ていたことに気づき逃げ出す。
◆突然、瀬田のセスナが現れ、景太郎を連れ去って行く。
なるもセスナに乗り込む。
「瀬田さん、どこまで行くんですか?」
「どこって‥‥どこでも行けるさ、そうだろ?」
「だったらまず、行きたいところがあるんですけど‥‥愛し合う二人で東大に!」
セスナは朝日の中へ飛んで行く。
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