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桂 文枝

桂 文枝

初めて生で聞いたのは7年前の「軽業講釈」。 歳を感じさせない艶のある声と柔らかな仕草に魅了された。

同じく上方落語四天王の一人である米朝さんの落語を聞くと、 「うまいなー」とか「すごいなー」とか思うのだが、 文枝さんの高座ではそう思うよりも生理的に心地よく感じる 脳の違う部分が反応しているような気がする。 この感覚は、 やはり大好きだった志ん朝さんを聞いたときと共通するものがある。

テレビで訃報を聞いて思わず「えーっ! えっえっえっえーーっ!?」 と叫んでしまった。 最後に聞いた一昨年の東京の独演会では 二席ともずいぶんアッサリしていて、 「もう大ネタは辛いのかなあ」とは思っていたが、 こんなに早く亡くなるとは……

文枝さんは亡くなったが、一門には元気な人がたくさんいる。 既成の落語家の枠をはみ出てユニークな活動をする人材を何人も育てたのも、 この人の功績だろう。

一番弟子が協会の会長になり、 大阪の定席がもうすぐオープンする。 上方落語界の大きな変化を見届けることができなかったのはさぞ残念だったろう。 (2005-03-12)


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