好きなネタはいくつもあるが、特に「親子酒」がいい。 塩辛をつまみながら茶碗酒を飲む仕草が絶妙で、 何度見ても酒が飲みたくなる。 高座にかけるネタは多いほうではなかったが、 「蛙茶番」の芝居のセリフや「やかん」の講釈などが本寸法で、 他の芸能への造詣の深さを感じさせた。 体調が悪いらしいという噂を聞いてから 訃報が伝わるまではアッという間だった。 苦しまず、眠るように息をひきとったそうだが、 得意ネタである「長短」の短気な男のようで、 いかにも文治さんらしい。 とはいえ、第一線を退いたら気の向いたときに寄席に出て、 昔の寄席や芝居の話などしてくれるんじゃないかなと思っていただけに、 なんとも残念である。 (2004-02-07) |