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桂 南なん

桂 南なん

強烈なフラを持っている噺家はと聞かれたら南なんさんと答える人は多いだろう。 ヌッと高座に出てくるだけでおかしいし、 「別に怪しい者ではございません」と言うだけで爆笑である。 夏の恒例である「住吉踊り」では、 「順子・ひろし」のひろしさんと並んでボケ役のスターだった。 脚を患ってここ数年出ていないのが淋しいが。 落語のほうでは子供や間抜けな泥棒の出てくるネタでそれが大いに発揮される。

それでもこの人はフラに頼ることなく努力を続けている。 というか、 フラというものはそれに頼らず一所懸命演じてこそ活きてくるのだろう。 小南一門だけに上方のネタや三代目金馬の得意ネタも持っているし、 「百年目」「景清」などのしんみりする噺を聴かせる力も身につけつつある。

南なんさんは確実に進化している。 将来の大看板になる可能性は十分だ。 やがて、 この人が 「芸協の怪人」 と呼ばれていたなんて信じられないという時代が来るかもしれない。 (2002-10-27)


寄席芸人似顔絵集