クラシックの演奏家を目指して本格的に学んだという、 通常のギター漫談のレベルを遙かに超えてよく動く指と、 しょーもないギャグとの落差が、何ともおかしい。 と、最初は思った。 だがしばらくすると私はこの人の高座が苦痛になった。 やっていることがいつも同じで、 何の進歩もないような気がしたからだ。 ところが、 さらに寄席通いを続けているうちにまた印象が変わった。 今度はこの人が出てくるとホッとするようになった。 安心して聴けるテクニックと、 ちょっと斜に構えた、はにかんだような、すねたような口調とが、 耳に心地よく響くようになったのだ。 ペペさんは変わっていない。 私の脳が寄席になじんできたのだろう。 寄席の中は、どうやら外とは時間の進み方が違うようだ。 そのことに気がつくまでに、ずいぶん時間がかかってしまった。 (2002-03-23) |